それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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少なくとも成立させたいカップルは二組ある


恋愛相談窓口はカフェかBARに居る

もはや趣味ですとは言い切れないレベルに本格的になった農場があり、養鶏場、養蜂場があったり、ヤギが飼われ独特なあの鳴き声が響いたり、時たま大福が来たと思えば丸まり、カラスのチョコパイが飛んできて羽休めしたり、救護班と言うなのペット大好き人形の集いが犬の散歩に来たり、しまいにはファルコンやBallistaのロボペットである相棒の鳥たちまで飛んできては休憩に使ったりするここは誰が呼んだか【スリーピースとゲーガーの大農場】

 

「改修の折にデカくなってないか此処」

 

「気の所為ですよ~」

 

ゲーガーの呟きにPP-90が即座に反応して返しているが実際デカくなっている、スリーピースとしては栽培している種類が大幅に増えたこともあり手狭になってきていたのでコレ幸いとユノとナガンに直談判、結果としてそれが通り敷地面積はまた少し広がった。

 

広がったので人手も増えた、流石にスリーピースに入る者は出てこなかったが大農場の手伝いならばしてみたいと言う人形がそこそこ居たので広くなりすぎて管理が疎かになんて事態は避けている。

 

まぁ指揮官達が問題ないと言っているのならば別にいいかと休憩しようとベンチに座り、ふぅと息を吐いた所で

 

「あ、隣、良いでしょうか?」

 

「あぁ構わんぞって88式か、アイツと一緒じゃないのか」

 

「何時も主任と一緒って訳じゃないですよ」

 

失礼しますと隣りに座った彼女は何をするというわけでもなく、ゆっくりと大農場を見渡しては嬉しそうに微笑みを漏らす、彼女はこの基地に来るまでは車椅子生活であり自分一人で何処かへということが殆どできなかった人形。

 

それが理想の職場とも言えるこの基地に来て、更にはアーキテクトの手によって脚まで手に入れ、こうして基地を歩き回っては喧騒が広がる場所を行き来出来るようになった、ただこれだけのことが今の彼女にとっては嬉しく、気付けばこうして喧騒を眺め聞く事が毎日の日課になるほどに。

 

「所でだ、脚の調子は良いのか?まぁアイツの作品に限って不良品なんてことはないだろうが」

 

「問題ありません、日常生活ならば不便はなくて、主任には本当に感謝してもしたり無いです」

 

声が半トーン程上がったのをゲーガーは聞いた、前々からこうして88式と話している際にアーキテクトの話題を振ると日常会話ではそこまで口が回らないと本人も言っていてゲーガーもそう思うほどの彼女が別人かと思うほどにハキハキと、そして楽しげに話題を出し続ける。

 

アーキテクトの事を物凄く気に入っている、と書ければそれだけで良かったのだが時々88式の眼の感じが、何よりも途中でアーキテクトがやってきた時の見つめる視線が、完全にホの字のそれであることにゲーガーは気づいていた。

 

「という事なんだがってどうしたIDW」

 

「どうもこうもねぇにゃ」

 

というのが今日のハイライトだとばかりにゲーガーは珍しくBARにてIDWに話してみれば返ってきたのはそんな言葉、と言うよりも表情が既に妙に疲れていることに気付けばもしや彼女は自分以外にもなにか相談を受けていたのかと聞いてみてれば彼女はぐいっとウォッカを煽り飲んでからドンッ!とグラスをテーブルに置いて

 

「二件にゃ」

 

「……それはもしかしなくても、そういう案件か」

 

「あぁ、そうにゃ、しかも片方はまたノアの被害者にゃ、マジいい加減にしてほしいにゃあの天然たらし……」

 

思わず同情の視線を送ってしまったのは仕方のないことだろう、そして心当りは彼女もある、恐らくは今日配属された【P226】だろう、確か彼女は数週間ほど前に哨戒中だったノアへユノが危機に陥ってる部隊があるという通信で助けに入ったのだが、例のごとくあの少女はヒーロームーブをかました、それだけでは飽き足らず、それでも状況が変わってないように見えたのだろう弱音を彼女たちが吐けば

 

『諦めんな!アタシがオメェらを生かして基地に、家に帰してやる、だから諦めんじゃねぇ!!』

 

本人的にはP基地から増援が来るまで頑張れ的なサムシングで放ったこの言葉、だがその時の表情と声の覇気にその部隊は勿論士気が急上昇したのだがし過ぎた結果P226のメンタルにぶっ刺さってしまった、別に元の基地でも扱いが悪かったとかではないはずなのに向こうは異動を希望したとかで今日この基地に漸く来れたとのことなのだが

 

「その、何と言うか……」

 

「はっきり言ってアグレッシブ過ぎて尊敬するにゃ、うん」

 

早い話がSSG69展開である、しかも今回はあの時よりも生々しく現実を見せられ彼女は誰に聞いたのかIDWの元へ走り込んできて涙ながらに相談をしてだったら同じ様なヤツラが居るにゃと助言、そんな一瞬にして初恋が失恋に変わってしまったP226はと言うと同じ空間でSSG69、の他に彼女の後に被害者となってしまった【SPR A3G】と共に慰め合いながら呑んでいた、とても見ていて辛いものを感じるその光景に二人はそっと目を逸らすことしか出来なかった。

 

だが忘れてはいけない、IDWの本日の相談件数は二件、つまりはもう一件あるということを。ではそれが誰なのかと聞けば

 

「SOCOMが持ってきたんだけどにゃ、どうにもリベロールの奴がG11にらしいとのことにゃ」

 

「ふむ、確かによく同じベッドで昼寝をしている所を見るには見るが、あれは昼寝仲間とかではなかったのか?」

 

「知らねぇにゃ、ただSOCOMが言うには決まった時間になるとリベロールがベッドメイキングを初めて、終わる頃にG11が来て眠った後にそそくさと眠りに行くらしいにゃ、んでアイツだって毎日来るわけじゃないから来ない日は察せなくても分かるほどに落ち込むんだとにゃ」

 

なるほどなとテキーラを呑みながらゲーガーは呟き、IDWはもう本当にどうして私がこういう立ち位置にゃとお代わりしたウォッカを呑みながら愚痴る。

 

愚痴るとは書いたのだが彼女の口元は確かに笑っていた、無論愉悦とかの笑みではなく、嬉しさと羨ましさが混ざった感じの笑み。それが何なのかゲーガーは聞いてみたいとは思ったが止める、この基地に居るということはこのIDWだって何かしらの事情を抱えているのだろうと判断したからだ。

 

「今更なんだが、この基地って個性が強い基地だとは思ったが恋愛も結構、我が強いよな」

 

「全くにゃ、で今思ったんだがどうして本人じゃなくて同じ部署のやつが他人の恋愛持ってきて私に相談するにゃ、本人もってこいにゃ」

 

彼女の言葉にゲーガーはテキーラを呑み干してから、確かにご尤もだと呟くのであった。




そろそろこのIDWを使って恋愛相談ラジオとかやらせても面白いかもしれないと思ったけど彼女の胃が破裂するから止めておこう、うん。
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