それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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こんな動きしてるからキネクリパイセン言われるんやぞ


義母と次女と時々嫁。

何だこの空間の状況、それがカフェに安らぎに来た人形たちの総意である。周りからそんな視線を受けながらも気にする様子もなく腕を組み苛立っているような表情のまま椅子に座るノア、そして彼女の対面にはその彼女とユノの義母になったペルシカリアの姿。

 

彼女が来たのはついさっき、朝からAR小隊が彼女に呼ばれ、昼過ぎに帰ってきたと思えばペルシカも付いて来ていたのだ、それからこれまた偶々その彼女たちの前を通りかかったノアを見つけ

 

「やぁノア」

 

「……んだよ、能天気バカならヘリアンに呼ばれたとかで本社行ってから居ねぇぞ」

 

折角いい気分で散歩してたのにという表情と雰囲気を隠す素振りも見せずにノアは彼女が来たであろう目的の人物は不在だと告げてからまた歩き出そうとしたところ、ペルシカに呼び止められる。

 

イラッとした、自分は用は無いと言う視線をぶつけるも向こうは姿勢も態度も崩さずに

 

「まぁまぁ、ほら、折角だし、さ。駄目なら、まぁ引き下げるけど」

 

言葉が後半になるにつれて妙に弱々しくなる声、弱気になる表情、それを見せられればノアという少女は、ガシガシと頭を数回掻いてから、分かったと頷いてしまう。

 

そして今の場面になる、のだが来てからこの二人未だに一言も会話していない、ノアはこんな態度でありペルシカはペルシカでどう会話を切り出したものかと悩ましていた、しかしこのままでは埒が開かないと遂にペルシカから

 

「えっと、何か変わったこととかは」

 

「ねぇよ」

 

「そ、そう、あっ、クフェアはどうかな?」

 

「変わりねぇな、悪阻がきつそうだけど、そんくらいだ」

 

これはキツイ、イベリスが思わずそう思ってしまうほどに会話が成り立たない、ノアの態度も態度なのだがペルシカも普段であればこうなってものらりくらりと会話を続けると言うのに今はそれが鳴りを潜めてしまっている。

 

別にノアも会話がしたくないというわけではない、ないのだがやはり心の中ではまだ彼女を義母として認めたくないという感情が強い、彼女はユノの様に衣食住を共に過ごしたというわけでもない、寧ろ科学者という役職から若干の苦手意識すらある。

 

だけどユノから聞いただけだが向こうはそれでも自分たちの母親であろうと振る舞っていることも知っている、だからこそこうして席に座っている。が何をどう仲良しこよしで会話しろってんだよというのが今の彼女の気持ち、だからついぶっきらぼうに会話を途切らせてしまう。

 

どうにもこうにも出来ない空気が二人の間を漂う中、この状況を好転させる存在が現れた、丁度それは互いのコーヒーが無くなったというタイミングでどうぞと出されたそれ、ペルシカは感謝を言おうとそっちに視線を動かせば

 

「クフェア、貴女動いて大丈夫なの?」

 

「別にまだ動けないほどお腹が大きくなったわけでもないですから大丈夫です、それにしてもノア、今イベリスさんから聞きましたけど少し態度が横暴なのではありませんか?」

 

「うっ、だ、だけど」

 

「だけども何もありません、確かに直ぐに彼女をお義母さんと認めろとは言いません、難しい問題ですからね。でも会話くらいは良いじゃないですか」

 

嫁であるクフェアにそこまで言われてしまえばノアはうぐぅと押し黙ってからチラッとペルシカを見る。

 

分かってはいる、分かってはいるのだが

 

(どう、いや、何を話せってんだよ……)

 

会話が苦手というわけではない、寧ろ好きな方だしクフェアとだったら数時間だって会話だけで潰せるとすら思っている程なのだが、ペルシカと、しかも親子のような会話と言われても経験が全く無いのでどんな会話だよと思ってしまい切り出せず、ペルシカも先ほどバサッと斬られたからだろう、話題を探すのに時間を掛けてしまっている様子だ。

 

そんな不器用な二人、もとい親子にクフェアが溜息を吐いてから助け船を出すことに決めた、このままではこの二人は禄に会話せずにユノが帰ってくれば解散してしまうだろうと、ならばその前に少しでも前に進めるんだと

 

「よいしょっと、ノアはなんでそこまで頑なになるのですか?もしかしてペルシカお義母さんが信頼できません?」

 

「え、いや、そんなんじゃねぇ、こいつが色々してくれてるってのは能天気バカから聞いてるし……だから、別に信頼してねぇとかじゃない」

 

それを聞いたペルシカは少し安心したとばかりに息を吐いてからコーヒーを飲む、正直に言えばそれも考えていたりはした、彼女の過去の境遇から考えれば科学者である自分を簡単に信頼できないだろうと。

 

しかしそれは杞憂だったと分かればそれは安堵してしまうものである、だがそれはそれとして堂々と【こいつ】呼ばわりされるのは割とダメージが出るものなのかと笑みを浮かべ

 

「『お義母さん』呼びはまだまだ掛かりそうかな」

 

「あ?なんで、あぁ、いや、ああもう!」

 

「ごめんなさいペルシカお義母さん、ノアも少しはどうにかしようとは考えているみたいなのですが」

 

「……分かんねぇんだよ、母親ってのが、何をどういうのがそうなのかってのが」

 

椅子の背もたれに体重を預けて顔を俯かせながら、彼女はそう語る。分からないから理解しようとしたい、だけど理解するための材料がない、だからついあんな感じに返してしまう、本当はそれじゃ駄目だと言うのは分かっているのだけど

 

ポツリポツリと話すノア、それをクフェアも、そしてペルシカも静かに、穏やかな表情で聞いてあげる、だってペルシカも母親というものがどんなものか理解していない、と言うよりも自分にも母親は居たはずなのだがどう過ごしたかの記憶なんて殆ど無かったりするので今も手探りでらしいことを調べている状態である。

 

そして今こうして娘である彼女の話を真剣に聞いてあげる、それも母親としての行動なのかもしれないなんて思いながらノアの告白を聞き終えてからペルシカは穏やかん笑みのまま

 

「ノア」

 

「……んだよ」

 

「話してくれてありがとう」

 

え?と顔を上げる、そこに映ったのはさっきからずっとその表情の穏やかな笑みの彼女。それを見た時、自分の胸の奥でポッと暖かい物を感じた、クフェアと一緒にいるものとはまた違う、初めてで、なのに不思議と安らぐ、そんな小さな暖かさ。

 

なんだこれ、と考えるよりも先に理解できた、もしかしてこれが、そうなのかと。

 

(まだ分かんねぇ、分かんねぇけど……悪くはねぇかもな)

 

意識はしてないだろう、だがクフェアとペルシカの目には嬉しそうに何かを感じて笑う彼女の姿が映っていた。




皆さん、気付きましたか?ユノっち何と三話連続でセリフが出てないんですよ……
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