それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
こんな清々しい朝は久しぶりかもしれない、起きた彼女が初めに思ったのはそれだった。たとえ使われなくてもふかふかに整備されているベッドの上、普段であれば普段着のまま適当な職場のソファで軽く寝る程度、正直、寝具が変わった所でもう自分の体はどうにもならないでしょとすら思っていた、いたが
比べるのも烏滸がましい位に違った、快適だった、正しいてあげるならば朝日が眩しいくらいであり、それもそこまで文句をあげたくなるようなものではない、いや、太陽に関しては自分の今までの不衛生な生活のせいとカーテンがあるのに閉めなかった自分の所為なのでこれに関してとやかく言うのは筋違いというものである。
「これが、快眠」
感動したという声、正体は【ペルシカリア】そしてここは彼女のラボではなくP基地、そう昨日はあの後、ユノ達も帰ってきてから話し込んでしまえば気付けば夕方、コレ以上は良くないねと帰ろうとしたのだがそこで引き止めたのはユノ、ではなくノアで
『これから帰るったって危ねぇだろ、泊まってけばいいじゃねぇか』
これにはその場全員が驚いた表情で彼女を見つめてしまい、安全性を考慮だっての!?と叫ばれることになったのだが彼女の言い分も分からなくはないということと、親子関係になってるんだから此処もある意味家だからゆっくりしていって欲しいとユノにも言われれば無碍にも出来ないということで一晩過ごしたのだが。
どれも快適だった、いや、彼女に言わせるのならば
「お風呂に、料理に、こうして快適な部屋にベッド、ここ最前線よね」
下手な宿泊施設よりも快適だと思いながらもだからこそ、この基地の面々は皆伸び伸びと過ごし、職務には全力で取り掛かるのだろうと納得してから、名残惜しいがとベッドから起きて洗濯されていたいつもの服に着替えた所でコンコンと扉がノックされて出てみれば
「おはようございますペルシカリア様、朝食の準備が済みましたのでご案内いたします」
「いやぁ、至れり尽くせりだね、ありがとう、じゃあ頼めるかい?」
昨日も食堂には行ってはいるが迷わずに辿り着けるかと言われると少々怪しいのでと彼女の案内を素直に受けることにして食堂に向かえば朝から相変わらずな量を食べているユノとノア、それと一家総出で集まっている所の席に断りを入れてから席に座り、最早どれくらい振りかすら思い出せないほどに久しぶりなきちんとした朝食を食べ始めるのであった。
「ペルシカお母さんは今日は?」
「別にすぐに帰らなきゃいけない要件はなかったはずだし、お昼まで頂いたら戻ろうかな、美味しいなコレ……」
「ふーん、まぁいいんじゃねぇの」
ノアはあれから少しは態度が軟化したにはした、がそれでもまだ刺々しい部分が出てしまえばクフェアに笑顔で見つめられて頭を掻く、そしてそれを見てヴァルター一家が笑う、勿論周りの人形たちも微笑ましいものを見たという表情をしており、ペルシカはその光景を見つめて、あの時の彼女がこうして本当に幸せそうな空間に居られることに、柄にでもなく良かったと思いながらトーストを齧る。
齧ってから、これももしかしてこの基地で自家栽培してるものを使っているのかなと思っているとまた食堂に誰かが入ってきて見てみれば
「お、ペルっちじゃーん、おっは~」
「やぁアーちゃん、相変わらず元気そうで何よりだよ」
「お主ら、いつからそんな仲になったのじゃ……」
「ん?まぁ、ユノっちの治療からも交流はあったからね~、気付けばこんな仲よ、うん」
「えぇ……」
アーキテクトの言葉にペルシカが頷いてから肯定する、どうやら、と言うよりもやはり波長が合ってしまったらしい、これにはゲーガーも軽く頭痛でもしたのか額に手を当ててしまい、同じく着いてきていたアナも困惑の声を上げてしまう。
対して88式と89式は目の前にいるのがあの有名すぎる科学者であり自分達の生みの親に近い存在である彼女にガッチガチに緊張してしまっている、ペルシカは気にしなくてもと言うのだがそれとこれとは別の話である。
「っとそうだユノっち、昨日S10地区から届いたヤツあるじゃん、まぁ大丈夫だとは思ってたけど解析が終わって安全が確認できたよ」
「うぅ、信用してないわけじゃないのにこういう事してるって少し胸が痛い」
「無理もございませんわ、何があるかが分かりませんし」
S10地区からの届け物、それは何やら【ギルヴァ】からこの地区に討ち漏らした悪魔を秘密裏に討伐し、そちらの地区を騒がして申し訳ないという内容の手紙と【クイーン】と呼ばれる特殊機構搭載の大剣、また向こうの指揮官である【シーナ・ナギサ】からいつでも遊びに来てくれという内容と、大型兵器の運用試験でこの地区の上空を通るかもしれないという内容の手紙。
更に言えばこのバタバタですっかり解析を忘れていた向こうの作戦に参加した時の報酬である大型特殊拳銃【レーゾンデートルⅡ】と同じく大型の2丁拳銃【アジダート&フォルツァンド】またこちらもアーキテクト曰くなんぞこれという技術が使われているらしい籠手と具足である【フードゥルⅡ】の解析が終えたという内容。
だが終えたのは良いのだがこれを扱える存在となると、人形たちは興味はあれど戦場で振り回せる、扱えるかと言われると微妙なライン、とりあえずフードゥルⅡとレーゾンデートルⅡはゲーガーが受け取ることにして、あと2つアジダート&フォルツァンドとクイーンはどうしようかと言う内容を話せば、先ず食らいついてのはアナ
「あの、それ私に扱えるように出来ませんか?」
「む?出来ると思うけど、アナっちには特殊な義手を渡すつもりだよ?」
「手数は多いほうが良い、それにその二丁拳銃なら火力も期待できそうってところかな?」
「はい、アーキテクトが言う義手、私自身の愛銃、それにその二丁拳銃があればいざという時は役立てるかと」
また、彼女はあの単独時代の経験からもアジダート&フォルツァンドⅡの耐久の高さも是非とも欲しいと言わせる、壊れにくいというのはそれだけで強いのだ。だが流石にクイーンは扱える自信がない、だがこの基地に剣とか扱うの居たっけとなるのだがそれは直ぐに解決した。
あの作戦の時、親玉の異形の存在に攻撃する際に使った時のあの感覚が忘れられなかったノアである、あの後アーキテクトに同じの作ってくれと頼むほどだったのだが、まさか向こうから送られてくるとはと思いながら
「だったらそれ、アタシにくれ!ほ、ほら、近接戦闘の時に武器が合ったほうが良い、うん」
「子供が欲しいおもちゃを前にしたときってこういう顔するのかね」
「あはは……」
んじゃ、今日中にアナっちの改修作業しちゃって少し模擬戦してみようか、アーキテクトとしてはデータが欲しいからの言葉だったのだろうが、二人の空気が変わった。変わってからゲーガーが悟る、この二人、どうやらバトルジャンキーだと、いや
「負けず嫌いか」
「面白そうだ、私も見学し……あれは、キャロル?」
「ん?あぁ、毎朝、57ちゃんに運ばれてるんですよ」
えぇ、ペルシカの声が漏れる先には何時ものように57に抱き抱えられながら食堂に現れた上下ジャージ白衣姿のキャロルだった
キャロルちゃん@57をタクシー扱いし始める。
明日はアナちゃんとノアちゃんの模擬戦とか書ければいいなとか思ってる(無計画