それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

547 / 794
とにかく打ち込まれた魔改造!


テストドール

朝食後、アーキテクトの言葉通りアナは彼女のラボにてボディの改修を施された、だがそれだけでもペルシカには驚きだった。

 

彼女は当初、新規ボディを改修してそれにマインドマップを移すという流れを想定していたのだが彼女は自身の今のボディをそのまま改修するという選択を取っていた。理由を聞けば彼女が内容しているあのファイル、あれは今の彼女のボディが稼働不可能、もしくは何らかの理由でメンタルモデルが崩壊したなどで機能停止になった際に自壊するように設定されており、なのでいまここでボディを移したとなればあの情報がなくなってしまう、ならばという事なのだが

 

「……彼女、一体どんなメンタルしてるんだい」

 

「強固としか言いよう無いよ、あたしだって驚いてる、確かにスリープ状態とは言えメンタルが入ったままの体を弄られてるんだ、しかも今回のはMOD化みたいな安全が確約されてるものじゃないのに、ブレ一つ無い」

 

ある意味、もう壊れてるからこそ彼女は保ててるのかもしれない。アーキテクトの言葉がラボに響く、普通であれば異常が出てもおかしくない作業だと言うのにアナのメンタル図に動き一つなく、寧ろ終わりが近づくにつれて喜びにも似た反応が出始めていることにラボの四人は思う。

 

恐らくは彼女はまた守れることが嬉しいんだと、一度守れなかった光を、今度は彼女の形見とも言える彼女を守るためにまた戦えることを、そうでも思わなければもう彼女の心は崩れてしまうのだと。だがその御蔭でスムーズに改修作業は終わり、場所を移して演習場、そこには既に全員揃っておりアーキテクトの姿を見れば

 

「あ、終わったんだね」

 

「おうとも、びっくりするくらいにスムーズにね……ほら、アナっち!」

 

呼ばれ入口から歩いてきたアナはついさっきまでとは違う姿で現れた、大元のAN-94のような長い髪は実を言えば救出された時点で首より少し長い程度になっており、失い他の人形の目を無理やり適合させていた右目はユノやAK-12と同じくワインレッドの新たな義眼を、失っていた左腕には新たに義手が装着され、戦闘時に塵などを防ぐ為のマスクは修理され、服装には大きな変化は見られないがその腰には明らかに飛行ユニットが装着されていた。

 

これが新たな彼女の姿、アナは全員の前に付けば綺麗な敬礼を行い。

 

「AN-94、いえ、もうこの名で呼ぶには少々難しいですね。【アナ】改修作業を無事終えました」

 

勿論変わったのは見た目だけではないと説明を始めるのだがノアが待ちきれないというのもあれば、アナ自身も早いところ改修された体に慣れてないとたいので動きを見たいのですがという視線にペルシカが元気で何よりだねと笑いながら

 

「まぁ長々と説明するのはアレだろうから簡単に言っちゃえば彼女の体はIOP、つまりはAR小隊の技術と鉄血のハイエンドモデル達の技術の合わせ技で改修したのさ、これで今までと比べ物にならないほどに性能が飛躍的に向上、更に今回は二丁の大型拳銃を使う前提があるから【ハンター】のデータも流用してみたのさ」

 

「むぅ、ペルっちが出番奪った~。それで右目の義眼は射撃アシストと暗視機能、それと音と生体反応を感知してアナっちの周りに波として反応を示してくれる機能を乗せた試作品、まぁボディの技術も試作品だけど……」

 

「え、試作品?それ、大丈夫なのアナ?」

 

「問題ありません、寧ろ私から懇願したものですから」

 

そう、彼女のボディを改修するにあたり彼女自身が登録抹消済みだという点を使って本来であればあのボディを直しても戦闘行動なんて出来なかったものを試作技術を流用することで此処までの改修を可能としたのだ。

 

なので全てが試作品だと言っても過言ではない、勿論安定して稼働するレベルにはしてあるのだが。勿論、左腕の義手も腰の飛行ユニットもそう、義手の方は装甲兵を殴って問題ないほどの強度でありながら彼女の思考一つでガトリングアームに変形、こちらには弾丸のみを生成できるコーラップス技術を使うことで無限、とまでは行かずとも大容量とも言える弾数を確保、問題は壊れた場合の汚染が起きてしまう可能性があるという点。

 

続いて腰の飛行ユニット、これはノアの物から得たデータを元にアーキテクトとペルシカが共同開発、反重力ユニットとブースターによって人形にも地上での高速移動、及び短時間なら飛行も可能にするというコンセプトのもので、シミュレーターでは成功しているのだが人形そのものの耐久、及び生産コストの高さからこの試作機のみとなっている、これも電脳との直結であり彼女の意思一つで制御できるのだが慣れるまでは飛ぶのは一苦労らしい。

 

と此処まで書けば分かるかもしれないが、ようは彼女を戦闘可能域まで改修する為に登録抹消されてたのを利用して彼女を【試作技術実験人形】として再登録、だからこそ此処まで技術を使うことが出来たのである。

 

「君には色々と不便を掛けるかもしれない、特にデータに関しては月一で提出してもらうことになるね」

 

「それくらいならば構いません、戦う力を得るためですから……さて、ノア、そちらの準備は如何ですか?」

 

「やっとか、こっちはもうこいつの慣らしは終わって今すぐにでも出来んぞ!」

 

どうやら模擬戦の件は忘れてなかったようでスッと腰のホルダーからアジダート&フォルツァンドを抜いて挑発的な笑みを浮かべれば、ノアも犬歯をむき出しにした笑みのまま、彼女が来るまで試運転だとぶん回して調子を確認していた【クイーン】の切っ先を地面に立ててグリップ部分を捻ればバイクのエンジン音にも似た音を響かせる。

 

これは止めても始まりますねと周りが悟れば急ぎ気味に演習場に作られた観戦用の別室へと避難、それが完了してから二人にユノが代表して

 

《じゃあ、模擬戦を始めるけど、そもそも二人が戦うわけじゃないって分かってるよね!?》

 

「たりめぇだ!刃を潰したって危ねぇこれをこいつにぶつけるわきゃねぇだろ!」

 

「こちらも理解してます、確か少数対多数の戦闘でしたよね?」

 

《分かって居るならばそれで良い、アナの言う通りのシチュエーションで始める、二人には恐らくは今後同じ部隊で動いてもらうからな、今から連携も掴んでおいてくれ》

 

ふぅんとノアはアナを見れば、向こうも彼女に視線を送り、そして

 

「脚だけは引っ張らないでくださいよ」

 

「言うじゃねぇか、オメェこそ引っ張るなよ、遠慮はしねぇからな」

 

ブザーと同時にダミー鉄血兵が現れ、同時に動き出す二人、その日の模擬戦で分かったのはノアはクイーンをまだ扱いきれないようではあったが数戦もすれば何とかなりそうなこと、そして

 

アナは早くも飛行ユニットの扱いに慣れ高機動戦闘を行えるのだが義手のガトリングアームは制御しきれない感じであるということだった、しかしこの模擬戦後に彼女は【ランページゴースト】に組み込まれることになった、なったのだが

 

「部隊長、そこの指示は早めにしてもらわないと困ります」

 

「うぐ、なぁオメェが部隊長じゃ駄目なのかよ」

 

「駄目です、貴女のほうが上空にて戦場を見れる以上適任ですから」

 

こんなやり取りを良くする部隊長と副部隊長が見られるようになったらしい、因みにこの厳しさはアナがレイラに教わった方法らしい。




なんだこれはたまげたなぁ……

簡単な解説

『試作技術実験人形【アナ】』
本編の通り、現状において作ったは良いが適応できる人形などが居なかったとかでホコリを被ってた技術を贅沢に使われた存在。性能は今までの人形より段違いなのだがまだまだ稼働データ不足なために何かしら不具合が出るかもしれないとのこと。
現在は【ランページゴースト】の副部隊長として部隊長である【ノア】を立派な部隊長にすべく色々と教えているが厳しいらしい。

義眼
ぶっちゃけちゃえばMGS4のあれ。それを人形用に色々調整を施した感じだと思ってもらえれば良いかと。

義手
通常時は物凄く頑丈な普通のデザイン。
変形ギミックはFF7ACのバレットに近い感じ、ただ変形した後のガトリングの形は割と普通の物であり、しかし弾丸の嵐はどんな装甲も食い破るとは言っているがお陰で反動は凄まじいらしい。

飛行ユニット
デザインはブラック ロックシューター THE GAMEの主人公が装備してた腰の奴とほぼ似てる感じで非戦闘時は目立たないように畳まれる。本編では飛行とは言ったが実際は飛翔といった感じであり、その辺りはまだまだ技術不足である、地上での高速移動がメインかもしれない。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。