それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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トランプ大会


吹雪じゃどうしようもないよね

今日の業務は開店休業にします、唐突に流れたその放送、だが誰もそのことに疑問は思わない、寧ろこの状況で働いてこいとか鬼かと言われるだろうと。

 

基地の窓から見える光景はいつもの風景、ではなくて真っ白、決して雪が積もっているとか白銀の世界とかそんな素敵な言い回しが出来るような可愛い天気ではなく、吹雪である、もし外で活動しようものならば数分としないで雪に埋もれるか、遭難することになるだろう。

 

なので本日は開店休業、強いてあげるならばキャロルがナデシコで監視の任に着いているくらいだが彼女をして言わせた一言が

 

「彼奴等がこの悪天候の中で活動するわけ無いだろうがな」

 

「そうなの?いや、まぁ前の嵐の時も動きが無かったからそうなのかなとは思ったけど」

 

「いくらIOPよりも堅牢に作られているとは言えこの吹雪の中進軍するとなれば大して前に進めずに埋もれるだろうさ、しかも人型でそれだ、ダイナゲートは即座に機能停止するだろうし、スカウトなどは飛ぶことすらかなわんだろう」

 

だからこそ視るとすれば人間だろうが、人形ですら動けないのに人間が早々に動けるわけもない。そう締めて電脳内のキャロルはぐっと伸びをする、ここでしか57が関与してこない空間が無いので今のうちに羽根を伸ばしておこうという算段らしい。

 

という訳でスクランブルに備えて待機ということで基地では久しぶりな突発的な休みに何して過ごそうかと賑やかになっている中、ユノはと言うと休憩室の炬燵にてぬくぬくと過ごしていた。

 

「暖か~い」

 

「朝急に冷え込んだなと思えばこの天気、やれやれ今年はないと思っていたのじゃがの、お主もだがクフェアもしっかり着込むのじゃぞ、体を冷やしたら大変じゃからな」

 

「はい、お気遣いありがとうございます」

 

見ればクフェアのお腹は少しぽっこりとし始めており確かに彼女たちの子供が育っていることがはっきりと分かり始めていた、聞けばもうお腹の中の胎児も機械を通してならば見えるくらいには育っていると嬉しそうに話していた。

 

しかしと、休憩室に備え付けられた窓から外を眺めてみるナガン。風景は相変わらずに吹雪でありその勢いは弱まるどころか強まる一方、これは明日は総出で雪かきかもしれぬなと思っていると別の席からルピナスの唸る声が、見ればアニス達と集まりトランプをしているようなのだが

 

「あっれ~?おねえちゃん(ほ ん た い)もしかしてまたパス~?」

 

「だああああ!!誰よ、さっきから私が出そうとしてる所の数字を止めてるの!てかアニスでしょ!」

 

「はぁ~?私なわけ無いじゃん、そんな事するのはビビに決まってるじゃない!」

 

「言い掛かり、私はもっと綺麗にやる……クレアでしょ」

 

「え、私じゃないよ、ディアナだよ!」

 

「ディアナ悪くないもん!!アニスがやれって言ったんだもん!」

 

どうやら七並べをしていたようだがアニス達が結託してルピナスを嵌めたようでこれには姉であるルピナスは激昂しながらもどうにかしようと頭を悩ませる、側ではあらあらと64式が見守っているがリアルファイトに持っていかないだけ教育、と言うよりも『お母さんを困らせることはしない』共通意識のお陰なのかもしれない。

 

では他の二人はと言うとステアーはシムスと『スピード』と呼ばれるトランプを使う遊びをしているのだが、両者真剣な表情でピクリとも顔を動かさずに手だけを素早く動かしてカードを重ねていくのだが、周りの人形たち、特にSMGではない彼女達には手が消えて動いているようにしか見えない、そして

 

「っく!?」

 

「ふふん、私の勝ち、途中で迷ったのが致命的だねぇ」

 

「……もう一度」

 

「いいよ、何度だって負かしてあげるよ」

 

余裕の表情でカードの山をシャッフルするシムスにステアーは闘志を燃やした瞳で見つめる、どうやら勝負は一日続きそうだねとユノは思いながらシャフトを探せば、また別の炬燵でノアとウェルロッド、K5達と何やらやっているようだと立ち上がり覗いてみれば

 

「ポーカー?」

 

「あ、お母さん。うん、ノアさんがやってみようって誘ってくれて」

 

フゥンと彼女を見てみれば暇そうだったからなとユノを見ずに答え、手札を二枚、ディーラー役のウェルロッドに差し出して向こうから渡された二枚を手札に加えるも苦い顔を晒す。

 

K5も少し悩む素振りをしてから一枚、こちらは返ってきたカードを見ても眉一つ動かさずに手札に加えて、また考え始める。最後にシャフトはと言うとユノは彼女の手札を見た時に声を上げなかっただけ凄いと言えるような手札だった。

 

右からスペードの【10】【J】【Q】【K】【A】つまりは

 

(ろ、ロイヤル・ストレート・フラッシュ!?)

 

自分だったらこんな手札の時点でニコニコ笑顔に少し硬さが生まれバレる、と言うよりもこんな手札で来たこと無いんですけど!?と言うのが彼女である、何故かポーカーなどをやると急激に運が落ち込む、それはもう酷いもので良くてスリーカードが最大とかザラである。

 

兎も角、シャフトはこのゲームに置いて最大手を握っていた、握っていたのだが当の本人は皆と遊べていることが嬉しいのかにへらと緩い笑顔を浮かべたまま、皆を眺めていた。後に彼女は我が娘ながら末恐ろしいポーカーフェイスだったよとAR小隊に語るがそこで返されたのは

 

『いや、指揮官も大概だぞ?』

 

周りに言わせればシャフトとユノは似た波長とポーカーフェイスをするのでカードゲームの際は強敵らしい、それから全員がどうするか決めてからノアから手札を公開、彼女のは

 

「フォアカードだ、こりゃ勝てっだろ」

 

「ぐ、フラッシュだよ。はぁ、占いみたいには行かないものだね~」

 

「申し訳ございません、ストレートフラッシュです、シャフトちゃん?」

 

「あ、えっと……これです」

 

パサッと出されたスペードのロイヤル・ストレート・フラッシュ、嘘だろとノアの、いや、あのウェルロッドも驚愕した表情でシャフトを見つめる。勿論だがイカサマはありえない、寧ろこの人畜無害な彼女がイカサマしてましたとか言われた日には今後は何を信じれば良いのかと言う問題に直面してしまうだろう。

 

結局、勝負はシャフトの一人勝ち、驚くことにイカサマ上等のウェルロッドをも抑えた勝利だった模様。その後はシャフトとクフェアが入れ替わり行ったのだがそこで判明したのは

 

「おめぇ、その特技何処で会得したんだよ……」

 

「まぁ、昔にちょっと」

 

「私ちょっと自信無くしそうですよ」

 

彼女は昔にどういう訳か会得したらしい、ウェルロッドすら欺くイカサマ使いだった。




シャフトちゃんは前の基地にいる間では運の値は最低値だったけどユノっちの娘となってからは振り切れた感じらしいぞ

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