それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
昨日の猛吹雪から一日経った朝、ユノが起床してからクリミナと挨拶を交わしそれから自室のカーテンを思いっきり開ければ映った光景に感嘆の声をあげる
ほぼ一日中吹雪いていた昨日の天気、これにより基地全体及び周囲、いや、この地区は見事なまでに白銀の世界と化していた。しかも気温はそこまで下がっていないとなれば暫くは溶けそうにないことは明白であり、雪でどんな遊びをしようかなどと夢を広げる彼女だが、決して良いことだけではない。
「ふむ、予想はしておったがこりゃ一日かけんと道すら出来そうにないの」
《ガーデンまでの道も見事に埋まってるね~……》
執務室で基地等の雪の被害状況を聞いていたナガンはまぁ埋まらん理由は無いよなとオモイカネの報告に呟き、全体放送のスイッチを入れてから彼女はこう告げた。
《ナガンじゃ、基地全員に告ぐ、雪かきの準備をせよ、今日中に基地とガーデンまでの道を終わらせるつもりで行うからな》
S09P基地、本日は昨日の吹雪が嘘のように晴天ではあるがここでは鉄血とは関係ない戦いが始まろうとしていた、その相手の名は【雪】自然にはいつの時代も勝てないもの、だからこそ起きた後をどうにかしようと知恵を凝らすのである。
と言う放送が入ってからどんだけ酷いのだろうかと出てきた人形たちは声を揃えてうわぁと声を漏らす、一部の人形たちはテンション爆上がりで雪遊びを始めようとするが流石に状況が状況だとは分かっているので先に雪かきを優先してくれてはいる。そんな作業をしていると朝食後に哨戒に出ていたノアからナガンへガーデンまでの道の状態の報告が入る
《こちらイチイバル、何かあれだ、道って何処に合ったっけってレベルだぞこれ、手作業で終わんのか?》
「ふむ、となればアーキテクト、除雪機は完成してあるのじゃよな?」
「もちもち、警備部門の誰かが運転するつもりで待機してるはずだよ~」
「ならばすぐに出させよう、警備部門、除雪機を出動させてくれ!」
雪かきというのは何も基地だけでの話ではない、地区を管理しているという関係上、街までの整備されていた道に積もっている雪の除雪も彼女たちの仕事には入っている、これは自分たちが移動しやすいようにというのもあれば、そのまま街の除雪に貢献し用という考えも合ってのもの。
更に言えばガーデンからは出来ればで宜しいので街の雪かきを手伝っては貰えないかという依頼が来てたりもする、中央とかならばまだしもスラム等の貧困街となると雪一つで家が潰れたりなんだりという事故がよく起きる、この寒空で家まで潰れましたは死活問題、だがあの街といえど全ての除雪を補えるほどに人員が潤沢というわけではない、ならばと白羽の矢が立つのがこの基地というわけだ。
なので警備部門の面々はダミー含めたほぼ全員でこれからガーデンへと向かうことになる、コレにより除雪も捗るし、人形が数を揃えて警邏することにもなるので防犯にも繋がることになる。
「ふひぃ、寒いね~。でもやっぱり雪は綺麗だね、うーむ……」
「ユノ、分かっていると思いますが派手な遊びは控えてくださいね」
「転けないという自信がないからね、まぁでも雪だるまとかなら作れるし良いか」
なんて基地総出で雪かきが行われている中、見事に蚊帳の外になっているユノはと言うと基地の中でジッとしている訳もなく着込みに着込んで基地の一角、運動場兼遊び場にクリミナと共に足を運んでいた、ルピナス達は雪かきの手伝いに行っており、いい子たちだねと感心したように頷くユノがいたとか。
来た、とは言ってもなにか遊ぶというわけではない、本人的には遊ぶ気はあるのだが此処も雪に埋もれており、また足を取られて転ける可能性も否定はできない、なので遊びたい欲は非常にあるがお腹の子供のために我慢であると心に誓いつつも小さな雪だるまを作り始める。
「でも、また暫くは天気荒れたりするのかな」
「どうでしょうか……もしそうだとすれば大変になりますわね」
「うーん、流石にナデシコでも天気は見れないからなぁ、見れないよねオモイカネ?」
《無理だねー、それに天気ってなればこの地区じゃなくて結構な範囲から雲の流れとか観測しなくちゃだから、一基地がやるには難しいんじゃないかな》
それによしんば天気図とか見れても読める人居るの?と言われるとユノもそもそも天気図ってなんぞやから始まるため、この計画は早くもお流れになる、しかしこうして雪だるまを作っているだけでは暇だなと思い始めるユノ、本当ならば自分も雪かきの手伝いをと思っていたのだが全員から良いからゆっくりしててくれと促されれば彼女も強くは出れずに此処に来た、が
「手持ち無沙汰だ、何かいい考えないかなクリミナ」
「と言いますと?」
「書類仕事は昨日の内に終わらしちゃったし、ナデシコは当たり前だけど繋がれないからキャロルちゃんがやってるし、皆は雪かきでせっせと働いてるのに私だけ何もしてないのはどうかなぁって」
うーん、このワーカーホリック、と思いながら切実な想いなんですというユノの視線に負けたクリミナは思考を巡らす、まずは簡単な雪かきでもと思ったが開始当初ならばまだしも既に雪かきが行われてそこそこの時間が経っているのでそういった箇所はもう終わってるだろうと思い却下。
他にはとなると重労働は出来る限りさせたくない、しかし軽作業も人形たちがダミーまで引っ張り出しているために恐らくはユノが出る幕はないだろうとなる、どうしたものかと思案してると急に冷たい北風が彼女たちを襲い思わず
「ひゃっ!今日は本当に冷えますわね……あぁ、そうですわユノ」
「ん?」
彼女は閃いた、コレならば彼女の願望も叶えられるだろうと、なのでそれを伝えればユノは目を輝かせて
「さっすがクリミナ!じゃあ早速用意しよう、あ、もしかしたらクフェアちゃんも同じ気持ちかもしれないし通信入れておこ」
先ほどまで楽しげではあるが寂しそうに雪だるまを量産していたのとは打って変わったテンションの彼女を見つめクリミナも思わず自分のことのように嬉しくなり笑みが浮かぶ。
それから数十分後、まだまだ雪かきは終わりを見えないし、冷たい風も容赦なく襲うためそれぞれが手を擦ったりしながら作業が行われている場所にガラガラと屋台を引く音と共に現れたのは着込んだ上にエプロンと三角巾を付けたユノ、そして屋台にはコーンポタージュが作られた大鍋
「みんな~、一旦休憩にして暖かいの食べよ~!」
皆が寒空の中で働いているのならば、自分たちは暖かい物を提供しよう、それがクリミナが出した案だったがこれが大好評で士気が上がったからなのか基地の雪かきは驚く速度で終わりを告げ、またガーデンの方も無事に終え、本日の業務は終わりを告げるのであった。のだが翌日……
「雪だね~」
「吹雪じゃないだけ良かったのでしょうか?」
「この降り方じゃ結局は積もるじゃろうて……」
本日は雪のち曇り、チラチラと降る雪にそれぞれがまたかと思うのであった。
何で妊娠してもワーカーホリック治らんのやこの指揮官……!!
明日は最近新規人形で丸々一本書いてない気がするしその方向にしようかね?