それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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バレンタイン前日だけどこんな話である。


ウサギとジャージ少女とオシャレさん

P基地の引きこもり少女、三姉妹の姉(妹)、57のマスコットガール、等など割と好き勝手に言われているキャロル・エストレーヤは今日も今日とて引きこもり言われる所以であるラボでの開発に勤しんでいた。

 

寧ろ休日くらい開発に携わらせてくれというのが彼女の本音である、ユノが妊娠してからというものの平日はナデシコ業務に務めることが殆どなので自身の開発が進まないのである、まぁコレについては本人も納得しているし、個人的な物なので文句は無いと言っているのだが。

 

(よし、システム面、武装、共に問題なさそうだな、それにしてもまさか素体を丸々用意されるとは思わなかったな、お陰で完璧に近い形でアイツラを復活させられるかもしれない)

 

チラッとラボの一角に視線を送ればそこに鎮座されているのは【スプリングフィールド】【M1918】【XM8】【G41】の姿、しかし現状では彼女たちには何一つデータは入っていない。

 

これはキャロルが以前ペルシカが一泊していった時にダメ元で話したところ、それくらいならば別に融通を利かすよと送ってもらった素体たちである、なので以前の計画ではJrAR小隊の様な存在で復活させるつもりだったのがこちらに急遽変更になり今日まで調整を施していたのだ。

 

そして今日の時点で【スユーフ】【ダラーヒム】【トゥーマーン】【ジャウカーン】の四名の武装、及び特殊機構やシステム面の復元はほぼ終えている、居るのだがまだ問題が、しかも大きなそれが残っていた、それが

 

(あとは例のウィルス、アーキテクトに聞けば【傘】とも違うらしいのだが、コレは果たして空っぽな素体に適合するのか?)

 

今まで行ってきた経験で稼働している人形に声をかければ適合するという事は分かっている、だが今回みたいなケースは全く経験も実験もしていなかった、では先に起動させてからすればと思ったのだがその場合は一度記憶データなどを組み込んでからIOPの人形として起動させてからウィルスを打ち込み適合させるというプロセスになるのだが、そこでまた別の問題が浮上する。

 

このウィルスは記憶の改竄が行われる、もしスユーフ達の記憶データを組み込んで同意の上で行ったとしても彼女たちの記憶が改ざんされてしまうのではないかという疑惑、ハァと思わず溜息を吐いてからドカッと椅子に座る。

 

(ちっ、こんな事ならば適合失敗した素体でも実験をすれば良かったか、いや、あの時は資金にも時間にも余裕がなかったから仕方が、ないわけないな、それこそ、いやだがニコイチパーツも必要だったしな……)

 

などと言い訳を脳内で並べつつも結局は自分の検証不足なので、また一つため息を吐く、ぶっつけでは流石の彼女もやりたくはない、だが検証するにしたってどうすればと思っているとラボの扉が勝手に開く、こんな事をするのは一人しか居ないので仏頂面のまま椅子を回転させて振り向けば

 

「はぁい、今日も籠もってるのね」

 

「何の用だ57」

 

用ってほどじゃないけどねとさも当たり前のようにクローゼットを漁り始めるFive-sevenに最早何も苦言も漏らさないキャロル、コレは別に慣れたとかではなくて諦めたという点が強いだけである、流石に毎日のように現れては何を言っても手を止めずに着せかえ人形にされていては文句の一つもかき消えるというものである。

 

なので今日も無事にジャージ姿からお洒落した私服に着替えさせられ、何時も通りに抱き抱えられることになる、これも彼女は諦めの境地に達したために文句の一つも言わずに、それよりもと基地の様子を眺めていて思ったことを口にする。

 

「何だか、基地が騒がしいな」

 

「ん?あ~、明日がもうその日だからね」

 

「その日?なにかあるのか?」

 

心から知りませんという声でキャロルが顔だけを動かして57を見上げるように質問すれば、その小動物じみた行動にああもう可愛すぎるわねこの娘はという感情を抑えつつ、明日、2月の14日が何の日なのかを説明することに。

 

「明日はバレンタインデーっていう日、内容は国ごとに違うらしいのだけどここでは基本的に日本風の物がメジャーね」

 

「国ごとという点も気になるがそこはまぁ後で調べるか、それで?周りの騒がしさを感じるに祭りなのか?」

 

「祭り、ではないわね。バレンタインデーにはお世話になった人や親しい友人、意中の人とかにチョコとか贈り物をする日、だからその準備のためにバタバタしてるって感じかしら」

 

なるほどなと感心した所で目的地に着いたようで彼女を抱えたまま椅子に座る57、今日は何処にと思えば目の前に居たのは呆れた表情を晒しているFAL、どうやら彼女たちの日課であるお茶会の席に連れてこられたらしい。

 

「貴女、本当にキャロルを抱えたまま移動するのね……」

 

「えぇ、丁度いい大きさで可愛らしいでしょ?はい、あぁミルクティーの方が良いかしら?」

 

「コレでも構わん、ただ砂糖は多めにくれ、ではければ甘さを感じられんからな」

 

はいどーぞとキャロルの言葉通りに角砂糖を8個近く入れて溶かした紅茶を渡せばキャロルは礼を言ってから飲み始める、その一連の流れにFALはえぇと困惑気味の声を上げてしまう、何かもうツーカーに近い仲を感じるんだけどと。

 

実際、事あることに57がキャロルに色々と世話を焼いてるせいもあるからなのか彼女はキャロルの好みの甘さも把握し始めており、コーヒーもキャロルにとって丁度良い甘さの物を提供できる用意になっている、と言うよりも

 

「キャロル、貴女も貴女で文句とか拒否しても良いのよ?こいつ、一応だけど断ればちゃんと聞くくらいには聞き分けは良いからね?」

 

「最初の断ったつもりなんだがな……それに別段慣れれば便利なやつだと思えている」

 

「あらあら、もしかして頼りにされちゃってるのかしら私、もう、ほらクッキー食べる?」

 

頼りにされてるんじゃない、間違いなく良いように使おうって混んたんだと思うのだけどと口にしようかとも思ったが57が幸せそうな笑みを浮かべているので良いかと蓋をした。

 

が、57とてそれは理解している、そしてコレすら彼女の中で計算通りだと、最初は拒否されていた、だが次第に着せ替えも受け入れられ、抱き抱えられることにも受け入れられ、そして今では便利に使ってやろうとキャロル言った、それは

 

(そうそう、そうやってどんどん頼りにしてくれて頂戴……ふふっ)

 

ウサギでありながら、蛇のように口を広げているとはキャロルは思っても居なかったのであった、尚、FALは後ですぐに気づいた模様。




アカン、このままじゃキャロルが57に食われるぅ!!

あ、でも明日のバレンタインの話はこの二人じゃないです。
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