それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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バレンタインデーです


親友以上はまだ早い

始まりも切っ掛けがどれだったのも、それは分からない。彼女と私が出会ったのはこの基地で医療スタッフの一人として配属されてから、自身の強制スリープを改善するための似たような症状を持っている人形の話を聞こうということで紹介されたのが【G11】さんだった。

 

「ん~、君が?あたしは【G11】うーん、まぁ呼び方は自由でいいよ~」

 

「り、【リベロール】です、えっと、よろしくおねがいします」

 

「よろ~」

 

正確には彼女は自分の強制スリープとは違うのだが、向こうも事あることにオンとオフの切り替えが激しく、基地に居るときなんかはそこら中でよく寝ている姿が目撃されるくらいだ、だけど任務になれば覚醒してあの時の自分のように突如として意識が落ちていくということは決して起きないでいる、と言うところから医務長は何かしらアドバイスでも貰えるのではないかと考えたらしい。

 

のだが、聞いてみて返ってきたアドバイスは

 

「うーん、頑張る?」

 

「へ?」

 

「頑張って仕事中は起きる、起きたら寝る、それだけかな。起きて働けば後で寝てても怒られないし、ゆっくり色んな所で寝れるし、だから仕事中は頑張って起きる、それだけ」

 

はぁとその時は返せなかったが、とりあえず先輩の言葉だしと彼女の言葉を電脳に刻みつけて、自分でも頑張る頑張ると念じながら医務スタッフとしての勉強や業務を携わってみようということになった、しかし今までそういうのに抗わなかった身としては気を抜けば即座に落ちそうになってしまう。

 

確かにスリープまでの時間は長くなっているような気がする、だけど自身の意志でオン・オフが出来ない、やはり自分は出来損ないなんだと医務室のベッドで落ち込んでいた時、フラッとお昼寝のために現れたG11が私を見て、事情を聞いてから

 

「ごめん、あたしの言葉で無理させてる感じだね……」

 

「え、いや、私が駄目なだけ、です」

 

「君は真面目な子だって理解できずにあんなアドバイスを送るほうが悪いんだ、うーん、とりあえず気張りすぎない、起きていようって考えるのも悪くはないけど、それだと逆に疲れちゃうからさ」

 

そう言いながらもゴソゴソと私が座っているベッドに潜り込んで寝る準備を整え始めるG11、でもじゃあどうすればという風に聞いてみれば

 

「起きようって頑張るんじゃなくて、目の前の事を、リベロールだったら医療班としてのお仕事をこなそうとか考えるのが良いんじゃないかな、そうすれば気づけばなんかこう、上手くいくよ」

 

「ず、随分と抽象的、ですね」

 

「こればかりはあたしも上手く説明できないんだ、感覚みたいなものだしね。でも今後はあたしも協力するよ、何かあったら相談して、あ、そうだ今一緒に寝よう、あたしと同じ様に昼寝を挟めば上手くいくかもしれない、うん、我ながら名案だ」

 

言い切るのが早いか、それとも言い終わる前か、ともかくG11はモゾモゾとシーツに潜りポンポンと態々空けた隣のスペースを手で叩く、何を言うとしてるのかは分かる、分かるのだが添い寝と言う事実に若干思考が止まり周りに、医務長と副医務長に助けを求めるように視線を送る

 

が、返ってきたのは副医務長からは優しい瞳、医務長からはありかもしれませんねという表情に止めないのかと思いながらG11に視線を戻せば

 

(ってもう寝てる!?……はぁ、まぁ、はい)

 

動こうにも動けば起こしてしまいそうだったので私は覚悟を決めて寝ることにした、その時は唯の添い寝だし、そもそも寝たからどうなるっていうんですかと半信半疑でした、でも二時間、寝てみてG11が起きたと同時に起きてみれば、変化があった

 

「……あれ、軽い?」

 

「ふっん~、はぁよく寝た、リベロールもよく寝れたみたいだし、じゃあ私は他の場所行ってくるね~」

 

のっそりと起きてから彼女はヒラヒラと手を降って医務室を出ていき、私も起きてからその日の業務に携わったのだがその日は夜の就寝時間まで落ちることがなかった、たった一度の睡眠、それだけで後も変わることに驚いたものだ。だが寝ることならば普段も行っている、だと言うのに何故今回は?

 

この事を医務長達に話せば、ふむと彼女は顎に手を当てて考えてから

 

「ふむ、誰かと添い寝、と言うのが鍵かもしれませんね、それにより深すぎず、浅すぎないスリープ状態を維持できた結果、貴女の抱える昏睡レベルとも言えるスリープに陥ることが無くなったと推測はできます」

 

「あら、じゃあ今後もG11にはここで一度は寝てもらうように頼みましょうかね」

 

「え、いや、それはあっちにも迷惑じゃ……」

 

なんて私の考えとは反して、G11、いや、共に昼寝をする中になってからは【ゲヴェーア】と呼んでいるのだが、とにかく彼女はベッドで寝れるなら喜んでと定期的に添い寝をする中になった。

 

とはいっても特別な感情とかはその時は考えなかった、まだまだスリープを自分の意志でのオン・オフの不安は残っていたし、それに向こうとは何と言うべきか共に昼寝をしちょっと雑談して、という友達、とも言える存在くらいにしか考えてなかった。

 

だけど、スリープ問題もいい感じに光明が見えて私自身もオン・オフがある程度コントロールが出来始めた頃から、あまり私に縛るのはよくないと今後は自由にしてもいいですよと伝え、来る日と来ない日が出るようになってから、気付いてしまった。

 

(今日は、来ない日ですか。まぁ、寝ますけど)

 

きちんと整えたベッドに一人で潜り目を瞑る、がツマラナイと感じてしまった。隣りにあった存在がないだけだと言うのに、別に眠れないというわけでもないのに、何でか胸に穴が空いた感覚に囚われた。

 

もしかしたらまた異常かもしれない、そう思い偶々近くに居た副医務長に相談してみれば、向こうはまぁまぁと手を合わせて

 

「そうね、そうよね~、うん、私に任せなさい」

 

何をどう任せるのだろうかと思う間もなく去っていってしまった副医務長、それから少ししてから戻ってきた時に教わった事を今こうして思い出しても顔が赤くなってしまう。

 

教えてくれたのは私がゲヴェーアに友達以上の感情を持っているという内容、でもそれだとは私は思わなかった、もしかしたら自分が寂しがり屋だけなのかもしれないのだから、でも、と私はその今日までの事を思い出しなんとも言えない表情を晒す。

 

こうして、チョコがメインのお菓子を楽しく作ったということはもしかしたら副医務長の言葉通りなのかもしれない、しれないけど、今はまだ

 

「およ~、リベロールじゃん」

 

「ゲヴェーア、丁度良かった、今日ちょっとラムレーズンを使ったチョコを作ってみたのですが、食べてくれませんか?ほら、私のスリープの事のお礼、してなかったから」

 

「ラムレーズンのチョコ、良いね、食べるよ。ありがと」

 

この気持ちに答えを付けたくない、もう少しだけ同じ寝ることが好きな親友の間柄で居させて下さい。




青春みたいなやり取りさせたかったなどと供述しており、P基地では作者にさらなる余罪を云々かんぬん

後輩系リベロールちゃんって電波拾っただけなんです!本当です、信じて下さい!!
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