それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ブーケトスのブーケを私の前に出してきたってことは(ry


貴女、覚悟してきてる娘ですよね?

短いようで長く、長かったようで短く感じた幸せなDG小隊の結婚式も無事に終わり彼女たちはクリミナが運転するDBSがP基地に到着し全員が降りたと同時に事前に報告を聞いていたジェリコが前に現れてからビシッとした見てる彼女たちも思わず指揮帰りの疲れなんて無視するほどに姿勢を正してしまいそうな敬礼をしてから、ふふっと彼女らしからぬ微笑みを浮かべ

 

「おかえりなさい、皆さん」

 

「ただいま~、ジェリコもお疲れ様、大変だったでしょ副官代理って」

 

「いえ、良い経験になりました、今日の報告はどうしましょうか?本日はお疲れでしょうし手短に今ここで行いましょうか?」

 

「細かなモノは明日にでも報告してくれれば良い、で、餌に獲物は掛かったか?」

 

「入れ食いでした」

 

それを聞いたナガンは呵々と笑うのだがユノを始めとする四人は何の事だとなる、今の会話から今日、何か罠を張っていてそれにターゲットが引っかかった、とまでは分かるの、ではそのターゲットはとなった所でクリミナとキャロルが先ず気付いたのかジト目でナガンに視線を送ってから

 

「何かやるだろうとは思ってたのですが……」

 

「態々、俺達全員で出席したのはそういう事か」

 

「あぁ、分かった、この基地丸々餌にしたってことか……」

 

「もしかして過激派?」

 

最後にユノが答えを呟けば大当たりじゃとナガンはまた笑いながらそう返して、ジェリコに向き合い弔いの言葉を掛ける、自分と彼女の読みが早々外れはしないだろうとは思ってはいたが不安がなかったわけではない、なので無事に作戦を終えたということに関しては安堵の感情が強かったりする。

 

ともかく、先程も言ったように今日は流石の彼女たちも式の帰りということで疲れが見えているので細かな報告は明日とし解散となりそれぞれが自室なりに帰っていく、それは無論、あの疲労なんてものを知らない筈のキャロルもであり、自身のラボの扉を開いた彼女はそのまま、備え付けられながらもまだまともに使った覚えのないベッドにボスンと倒れ込む。

 

(……なるほど、これが精神的に疲れるということか)

 

さしもの彼女も知らない存在ばかりのあの空間で、しかも式という特別な空間で自身の事情説明などでナガンと共に挨拶回りをしたというのは肉体的にはどうにかなっても精神面での疲れはどうしようもなかったようで、彼女自身も驚くほどに疲れていた。

 

それと同時に、自分はここを家だと認識しているのだなと新たな発見もした、と言うのもこのラボに着いたと同時に安心したと感じただからだ、しかし強いてあげるならば

 

(静かだな、アイツのことだから帰ってきたと知れば現れると思ったのだが)

 

ゴロンとうつ伏せから仰向けに体を動かして部屋を見渡し、ふとそんな事を思う、アイツとはキャロルを気に入ってるという理由で付き纏い世話を焼いてくるFive-sevenの事なのだがキャロルが帰ってきてからまだ一度も姿は見てない。

 

見ていない、が直ぐにまぁ良いかと思考を切った、それよりも俺は疲れてるんだとフカフカなベッドに体を預け、もう少し休んでいようとしたタイミングでラボの扉が音を立てて開かれた、誰が入ってきたとか考えるまでもなく見えた黒いウサ耳のようなリボンにキャロルは深い深いため息を付いていると向こう、Five-sevenは

 

「もう、帰ってたなら教えてくれればいいのにって!?」

 

「なんだ、俺は見ての通り疲れてるんだ……」

 

「そうかも知れないけど、流石にドレスのままベッドに倒れ込むのは頂けないわ、ほら起きて、今日はもうジャージでいいから!」

 

ああ面倒だと思いながらもキャロルは言われた通りにベッドから降りればテキパキとFive-sevenが着せたワンピースドレスに致命的なシワ等が出来ていないかを確認してから手近な場所に掛かっていたジャージ一式を彼女の前に持っていき、まぁ流石にワンピースドレスを脱いだりジャージくらいはキャロルが自分で着替えたりしてから、またベッドに倒れ込む。

 

「あらあら、本当のお疲れのようね」

 

「あぁ、初めてだ、あそこまで他人との会話に神経を張り巡らせたのは」

 

だからかなり疲れていると、それだけを答えてからふぅと息を吐く姿に57も今の彼女を連れ出す気にはならないわねとベッド前の椅子に腰を掛けてからふと気付いた。

 

それはキャロルが部屋に入り倒れ込む前に台の上に置かれた物、式の時に行われたブーケトスで彼女の手元に投げ込まれたブーケ、だがFive-sevenがそれを知るわけでもないので彼女は疲れてるところ申し訳ないと思いながら

 

「キャロルちゃん、このブーケは?」

 

「んあ?それか、ブーケトスと言うもので俺の手元に降ってきたやつだ」

 

ブーケトスのブーケ、その言葉を聞いた刹那Five-sevenの眼つきが変わった、今の様子だとブーケトスの意味を知らないか、もしくは知った上でこんな反応か、兎も角彼女はペロリと舌舐めずりをしてから立ち上がり、ぐったりしているキャロルの隣に腰を掛け直し

 

「ふぅん、ねぇブーケトスの意味、知ってるかしら?」

 

「祖母上は結婚と無縁云々言ってたからそういう事だろう?」

 

「えぇ、受け取った未婚の女性は次に結婚できる、そんな言い伝えがあるらしいわよ」

 

確かにそれならば俺には無縁だなと彼女に視線を送らずにキャロルが呟く、が何かを察して振り向こうとした所で背中をFive-sevenの手が抑える。

 

背中を取られたということにキャロルの表情が一瞬死ぬが、次に来たのは絶妙な力加減でグイッと体を押される感覚、するとキャロルの口から艶めいた声が軽く漏れる。

 

「んっ……おいこら、ウサギ、何をしている」

 

「マッサージよ、慣れない空間で神経を張り巡らせたってことで自然と体にも力が入っちゃってることが多いの、だからこうして解してあげないと明日にでも影響が出るわよ」

 

と言いつつまた力を加えればうぐぅと声が漏れる、キャロル自身には自覚はなかったがどうやら思ったよりも負担が掛かっていたらしく、Five-sevenはそのことに彼女が寝転がった所で気付いていたのでマッサージ師の血が騒ぎ今こうして施している。

 

結局、その日はそのままマッサージを受けて気付けば彼女は寝てしまい、これにはFive-sevenも驚いた感じに寝息を立てる彼女に驚きつつもそっと頭を撫でて

 

「おやすみなさいな」

 

それだけを告げて彼女はキャロルに毛布を掛けてからラボを出ていき扉を締めたと同時にふふっと笑みを浮かべ、浮かべてから

 

「よく我慢した私ぃィィィィ!!!」

 

「五月蝿いわよ」

 

偶々傍を通っていた416の何だこいつという視線が彼女を突き刺すもFive-sevenは気にせずにキャロルの寝顔を思い出してニヤけそうになる顔を抑えながら歩き出す。

 

因みにだがノアも同じ様に自室に戻るや否や倒れ込みそうになるもクフェアに見事に説教され、ユノとクリミナの二人は慣れているので着替えてから夕食もそこそこ食べてから眠り、ナガンはジェリコからの報告に満足気に頷いているのであった。




Five-seven@まだ手を出す場面ではないと我慢できる人形

なお、今回で割とギリギリな模様。

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