それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
これはどうしたものか、ヤークトフントの切り込み隊長もしくは鉄砲玉と呼ばれるKS-23は現状に酷く困惑していた。
今日は出撃もないしと何をして暇をつぶそうか、ヤギの【マシロ】を見に行くか、亀の【ノロスケ】の世話でも手伝ってやるか、カラスの【チョコパイ】におやつでもあげようか、それとも【大福】と何とか戯れるために探してみようか、そんな風に考えながら基地を歩いていると、ふと視線を感じた。
振り向けば大体2mちょっとの距離から彼女を見ているベレー帽のようなものとマントが特徴的な小柄なSG人形、KS-23はすぐに名前を思い出そうと目をつむり
「(あ~っと、確か)Six12だったっけか?」
「はい!」
「ぬわぁ!?お、オメェいつの間に距離詰めたんだよ……」
名を呼べば元気な返事が返ってきたのだが問題はそれが先ほどまでの距離からではなく、直近にまで来てからであるということ、足音とも動いたという気配を前線を飽きるほど出向いたKS-23に感じさせずに詰めてきたというのは驚愕に値することである。
対して【Six12】はと言えば、彼女に近付いたと思えばそのまましゃがみ込む、あまりに急な行動にKS-23は困惑しつつ、根は優しい彼女は先ほど自分が叫んだから怖がらしてしまったのか、それとも何処か不調なのかと不安になりながら視線を送っているとSix12はキョトンとした顔で見上げているので更に困惑させる要因となっている。
「お、おい、大丈夫か?どこか、具合でもワリぃのか?」
「……?あ、いえ、別に不調ではありません」
「じゃあ、どうしてしゃがんでんだよ。疲れたとかか?」
「仲良くなりたいから、ですけど?」
何がどう仲良くなりたいとしゃがみ込むが=になるのだろうかと本気で頭を悩ますことになるKS-23、そんな彼女を表情を変えずにしゃがみこんだ姿勢のまま見上げるSix12、不思議空間が出来上がった廊下の一角の中、KS-23はとりあえず先程の彼女の会話を整理するためにとりあえず中庭まで歩くかと足を進めれば彼女もテコテコと付いて来る。
付いて来るのかと思いつつ歩く速度を遅めず、だが途中途中で付いてこれてるのかと確認する所に彼女の根の優しさが見え隠れさせつつも特に何かがあるということもなく中庭に到着、そのままベンチに座ればSix12は彼女の前にしゃがみ込む。それを見て、何やってるんだこいつはとKS-23は頭を掻いてから
「いや、座ればいいじゃねぇか」
「良いんですか?」
「別に嫌がる理由はねぇしな、と言うかお前変な所で遠慮するのな」
だって仲良くなってないですしとあんな突発的な行動していると言うのに何処か遠慮、もしくは謙遜している言葉に調子が狂うなと思いながら良いから座れと隣を進めれば、少しの葛藤の後、漸くヨイショと遠慮しながら、そして少しだけ距離をとった所で座ったのを確認してから、KS-23は
「んで、何で俺なんだよ」
「理由は、無いです。でも仲良くなりたいって思うのは当然じゃないですか?」
「だとしても他に居んだろ、指揮官とか、ノアとか、クフェアとかよ。言っちゃ何だが俺はあれだぞ、やべぇ部隊の人形だからな?」
「皆さんとも仲良くなってます、でも次は貴女って思ったのです」
なんか気に入られることでもしたっけなとそれを聞いてからまた頭を悩ませるのだが別にそういった事をした覚えもないし、最近でも過激派相手に大暴れしたあの作戦だけで後は街に警邏に行けば子供に泣かれたり、野良猫に逃げられたりしてたくらいだ。
となるとこいつが来てから自分が基地にいる時にとも思ったのだがそれも結局心当たりが見当たらない、大体居る時は動物と戯れて……とそこで閃きが走った、思えばあまり自分は他人と関わらずに動物と居ることが殆どだ、それをもしこの隣りにいる彼女が見ていたとしたら、自分は別に寂しいとかそういう感情を抱いているわけではないが第三者からすれば自分は
「お前もしかして俺が寂しい想いしてそうだからとかでそんな事言ってんのか?」
「?確かに動物と戯れている所をよく見てましたけど、そうは思ってませんよ?だって、楽しそうじゃないですか、それに指揮官さんたちともよく話しているのでそんな事ないと思うのですが、もしかして思ってたのですか?」
「お、おう、いや、んなことねぇよ?」
なら良かったですと少しだけ表情を動かして嬉しそうな顔になるSix12、それを見てどうにも調子が狂うなと中庭の丸池近くで伏せているノロスケを見つめ、じゃあつまりはこいつは本当に気まぐれに近い考えで自分と仲良くなりたくてしゃがんだのかと思った所でいや、そもそもにしてだと一番はじめの疑問を思い出す。
「なんで、その、仲良くなりたいとしゃがむんだ?」
「何で……それは少し難しい質問です、きっと深い理由はないと思いますから、もし理由をあげるとすれば、気を引きやすいから、でしょうか?」
「いや、だったら普通に声をかければ良いんじゃねぇかな」
「でもいきなり声を掛けられても困ると思うんです」
いきなりしゃがまれるよりは困らないと思うんだけどなぁと思わず答えてしまえば、そうなのかという眼で彼女を見るSix12。どうやら彼女は随分とズレている人形のようだとここに来てやっと彼女のことを少しだけ理解できたとKS-23は苦笑を浮かべつつ、気付けば自分ではなくノロスケに視線を向けているSix12を見つめる。
此処まで話して、ふと気付いた、人形なのでそうカウントするのは少し違うのかもしれないがこうして子供と話すのは久しぶりだったなと、よく、街の子供達からはその風貌とどうにも直せない曰く怖い笑顔のせいで逃げられたり泣かれたりすることが多い彼女だが決して子供と話したことがないという訳ではない。
寧ろ、自分が子供好きになる理由の一つに初めて自分を怖がらずに会話してくれた一人の少女の存在がある、何と言うか彼女も少しだけ周りとはズレており大人びていながらも少女らしく、それでいて現実も捉え得てしまっていたそんな少女の存在が。
(あぁ、よく見りゃ、似てるんだな、あいつに……)
今は何処で何をしているのか、ふと思い出された過去の記憶の姿と、Six12を重なり、それからKS-23は
「ま、俺でも良いってなら好きにすれば良いんじゃねぇの」
「……?始めからそのつもりですけど」
「はは、そりゃそうか」
その後、KS-23とSix12という珍しい組み合わせが雑談をしていたと掲示板の記事に小さくながらも写真付きで紹介され、にこやか笑顔で情報部に乗り込むKS-23が居たとか居なかったとか。
Six12ちゃんってなんかこう不思議ちゃんな感じがしてね?いや、何でかは聞かんで私にも分からんから。
ちまちまとヤークトフントのメンバーの過去も散らしていきたいなって(未定