それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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何さらっと親戚の立ち位置みたいになってんだあのウサギ


ある日のお茶会

「……またデカくなったな」

 

「人間で言う所の、5ヶ月の半ば位だって話ですからね、ふふっ、機械を通してなら動きもわかるくらいにはなってるんですよ?」

 

おぉ、と感動するノアを見てクフェアも嬉しそうに笑う。いや、実際嬉しいのだ、着実に育っている自分達の子供、こうして少しずつでも形になっているということが。

 

という訳で本日は休日のノアはクフェアとともに居ようとよくお茶会などが開かれる中庭近くの空間に来ていた、そしてそれは二人だけではなく、今の話を聞いて眼をランランに輝かしているアーキテクト、自分も何れはそうなるんだよなぁとゆっくりお茶を飲んでいるユノ、そして、もはや日常的な光景になっているキャロルとFive-sevenの姿も今日はそこにあった。

 

「ふむ、しかし不思議なものだな、新たな生命がこうして育まれるというのは……人形が子を、人の発想というものは俺では想像つかんな」

 

「あら、キャロルは子供は苦手かしら?」

 

どうやら声の質的に子供をどうして的なニュアンスに聞こえたのか、Five-sevenがそう聞けば、向こうは何でその質問になったのだと言う表情をしてから、放浪してた頃を思い出しながら

 

「寧ろ好きな方だ、と言うよりも旅をしている時に何度か孤児院で世話になった時もあったからな、ただ人のことを同い年の子供と思って全力でじゃれ付いてくるのは中々にきつかったがな」

 

「いやまぁキャロルちゃんの身長的にそう見られても仕方ないんじゃないかなぁ」

 

態度では子供らしくないと思ったのだがとユノの言葉に反論するが、子供というものは基本的に見た目で判断する部分が強い、中には色々と察してくれる子もいるが遊び盛りとなれば、キャロルのそれはただそういう性格の子なんだろうなで流されてしまい、それよりも一緒に遊ぼうよとなるものである。

 

そんな事をFive-sevenから教わり成程と頷いているキャロルを見てクフェアは思った、子供が生まれればキャロルも何だかんだと接することがあるはず、ともすればそのまま成長していった場合、子供はキャロルのことをどう捉えるのだろうかと。

 

立場的には叔母とも言える存在、だが見た目は自分と同じくらいの身長……と考えてからまぁきっと大丈夫ですよねと思考を打ち切る、その時にならないと分からないというのもあるが。

 

「ところでお二人さんは生まれる子供がどんな感じに可愛いかって考えたことあるかしら?」

 

「と言いますと?」

 

「どっちに似てるとか、そんな感じよ、因みにお姉さんはクフェアちゃんの子供はきっとノアに似て活発になると思ってるわ」

 

「あ?いや、クフェアみたいな感じだろ、アタシみたいになられてもほら、色々と怪我とかしそうだし」

 

ノアの脳裏には自分と同じ様に活発な子供が派手にコケたりする光景が見えた、だが転けた上で笑顔で起き上がってくるような気もすれば自分の想像力に苦笑を浮かべてしまう。

 

とクフェアの子供の話となれば勿論ユノにも飛んでいくわけでアーキテクトはシナモンロールを食べながら

 

「じゃあ、ユノっちの子供は……おっとりしてるのかな、クリミナもそんな感じあるし」

 

「え、そうかな、そうかも?」

 

「でもお義姉さんも活発な部分ありますよね、ともすればそういう部分も遺伝するかもしれませんよ」

 

そう言われふと浮かんだのはクリミナを小さくした感じの茶髪の少女が飛び跳ねたり大福を追いかけ回したりする姿、想像だと言うのにしれっと現れた大福に何で?と思いながらもこの基地で過ごすのならばそうなるかと納得する、するがとすればこの猫は相当な長生き猫となるのは良いのだろうか……

 

次にクフェアが遺伝、と言葉にした時に彼女は思い出したことがあった。それは何時だったかアナがレイラのことを話したこと、彼女は天然誑しの気があったと、次にナガンがユノとノアにもきっちり遺伝しているという内容。彼女は思った、とすればお腹の子にも遺伝しているのではと。

 

しかも父親と言える存在はノアだ、ユノもユノで垂らしではあるがあちらは誰とでも仲良くなれたりするタイプ、それでも惚れられたりするが少ない方である、がノアのタイプは違う、彼女の場合は惹きつけてしまうタイプの誑しに分類される。

 

(もしノアと同じ様に活発な子だとすれば……)

 

絶対とは言えないがモテるだろう、しかも厄介なことに当の本人にはその気が一切ないのだから尚の事、性質が悪い。とそこまで考えてからいやいやと頭を振る、考えすぎだと思いながら隣のケーキを頬張っているノアを見る、見てから今日までのことを思い出して

 

「遺伝、するような気がしますねコレ」

 

「んあ?え、何が遺伝するんだ?」

 

突如そんな事を言われ口元にクリームを付けながらノアが反応すればクフェアはもうこの人はと口元を拭きつつ、この人こういう部分もあるから遺伝しちゃうと大変だなぁと未だ疑問符を浮かべているノアを見ながらそんな事を考えていると、今の言葉から彼女が考えていることが分かったFive-sevenは紅茶を飲みながら

 

「あぁ、それはほら、諦めなさいな。ふふ、将来的に言い寄られる貴女の子供が見れるのかしらね?」

 

「それってユノっちの子供も当てはまらない?」

 

「え、私?って分かった、もうアーちゃんまで私のこと誑しだなんだって思ってたの?」

 

そんな事ないもんと言うも、いやその反論は無理があるでしょとアーキテクト、親友と言っている彼女だって擁護できないことに関してはバッサリ言うハイエンドモデルある。

 

尚、この会話の流れがいまいち理解できていないキャロルはFive-sevenに聞いてみるも、彼女はうーんと悩む素振りをしてから

 

「まぁ、貴女はさほど関係ある感じではないわね」

 

「よく分からんが、誑しと言うものが無くてはならなかったのか?」

 

「いえ、寧ろ無くてお姉さん(的にはライバルが無駄に増えないから)嬉しいわ」

 

ニッコリと笑顔を浮かべながら返せばキャロルはそうかとクッキーに手を伸ばしてポリポリと食べ始める。

 

今日もお茶会は賑やかで楽しいわねぇとFive-sevenは思いながら、そう言えばFALとクリミナは誘ったのにどうして断ったのかしらと思っている同時刻、その件の二人はと言うと

 

「ねぇ、何で私だったのよ、この手の工作はアイドルかM16じゃない?」

 

「ですが、このセンスの良さは貴女じゃないと出てこなかったかと」

 

二人の目の前には木で出来た複数のおもちゃ、将来赤ん坊が遊べる知育玩具を今から作っていたらしい。




平和だなぁ……

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