それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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時系列は【ハンティングの時間だ! Session4】の後くらいです。時系列がちょっとごちゃついててすまぬ、スマヌス……


エクストラハンティング! Session1

「なん、だこれ……」

 

オモイカネの絞り出すような声がナデシコに響く、防衛作戦の要請を受けてランページゴーストの三人をヒポグリフで向かった後、その地点をナデシコから確認しようとモニターに表示した瞬間が冒頭の彼女の声だ。

 

特大級の反応が一つ、それに追従するように細かな反応、数を数えるのはもう既に止めた、ともかくまだ衝突はしてないがそれでも分かるのは唯一つ

 

「苦戦は必須だろうな、基地の防衛状況は」

 

《全部隊配置完了だよ、戦車部隊も外部で警戒中》

 

ユノからの言葉にならばいいとまたモニターに視線を移す、正直に言えばここから出来ることはない、ランページゴーストの面々にも指揮はMSFのを聞くようにとしてあるのでここから出すとすれば撤退命令だけである。

 

更に言えばヒポグリフも接近する嵐に撤退をしている、一応飛ばすことだけは出来るのだが戦闘行動は無理らしい、なので後は無事にことが終えられるように祈るしか無いかと全員が思っていた時、オモイカネの一言で事態が急展開した。

 

「っ!?モンスター反応、ポイントを表示するよ!」

 

「近い、それに速いぞこいつ、情報の照合を急げ!」

 

S09と08の境目、そこのポイントに現れた反応はフル稼働の戦車を思わせるような速度で爆走、しかも狙ってはいないだろうがルート上には街があり放置はできない、だが現状においてモンスターと相手取れていたランページゴーストは勿論ながら呼び戻すことは出来ない、だが銃火器で相手するとなると出来なくはないが分が悪く、戦車部隊もあの速度の怪物相手では逆にやられる可能性すらある、どうするか、キャロルが思考を巡らす。

 

ほんの少しの思案の末、彼女が出した結論は

 

「ヒポグリフ、まだ飛んでるな?表示する位置に向かいモンスターをこの基地に向かわせろ!」

 

「え、な、何をするつもりキャロル!?」

 

「多少なりとなら白兵戦の心得はある俺がダウルダヴラを装備して出撃する、それと持ってる切り札も出してやる、オモイカネ、少し任したぞ」

 

え、ちょという声を聞かずにログアウト、接続が解除されたと同時に体を起こして動こうとした時、側に居たナガンとユノに抑えられる。

 

当たり前だが今の会話は聞いていた、だからこそ許可できるわけ無いと、しかし彼女は

 

「ならばどうする、他のものをぶつけるか?」

 

「そ、それは……でもほら、この基地に来るなら総火力で迎え撃てば」

 

「それで落ちてくれるならばな、だが倒しきれなかった場合が最悪だぞ?」

 

「だからといってお主が出る必要はあるまい、わしらでも構わぬはずじゃ」

 

確かにこの基地の部隊を出すのも答えだろう、しかしそれは普通の敵である場合だ、今回の相手は普通ではない、勿論それを加味しても指揮系統の一つであるキャロルが出る理由には薄いのは間違いないのだが彼女は不敵な笑みを浮かべてからこう告げた。

 

そろそろ、アイツラも起きたい頃だろうしなと、その言葉の意味が分かるまで数分と要らなかった。ヒポグリフのパイロットである81式からの通信で接敵まで残り数分、出撃前に何やら準備をしていたキャロルが目標地点に来てみればダウルダヴラのヘッドギア越しで視えたのはオモイカネが反応を照合して判明した【黒轟竜ティガレックス】S13地区にて捕獲されたのとは勿論別個体ではあるが情報だけでキャロルは苦笑いを浮かべるしか無かった。

 

陸上を走破するために発達した前脚、衝撃波となる咆哮、全てを砕かんとする牙と顎、キャロルが、いや、マキシマムパワードールスーツですら衝突すれば無事ではないだろう走力、どれをとってもキャロルが相手できる存在ではないがそんな事は本人も理解している。

 

(……そろそろか、来いモンスター!)

 

「ギャオオオオオオオ!!!」

 

距離はまだあるというのに向こうはキャロルを視認し敵と見たのか咆哮を上げればその距離でもビリビリと肌が痺れたのではないかという感触に襲われ苦笑を更に深めてしまう。が余裕はすぐに消える、咆哮を終えたティガレックスが四足で走り出す、ジンオウガの時もそうだったが巨体に似合わない速度で迫りくるティガレックス、常人であればそれだけで腰を抜かしてしまいそうなそれを見てキャロルは静かに『笑った』

 

「チェックメイトだ」

 

彼女が両手を振るえばティガレックスの周辺のいくつかの場所が水面のように揺らめき、幾重にも束ねられた銅線が射出され動きを阻害せんと絡まる、だがエリートクラスのハイエンドモデルを簡単に細切れにしたはずの銅線だがティガレックスを細切れに出来ない、あの時よりも更に本数を増やしているのに関わらずだ、更に言えば空間ごと固定しているのに関わらず少しずつ動き出してまでいる、しかしキャロルに焦りはない、自分の役割は倒すのではない、相手の動きを止めるだけなのだから。

 

では、攻撃は?その辺りを彼女が考えないわけがない、ティガレックスの動きを止めた瞬間、また空間の揺らめきが4つ出現しそこから飛び出したのは

 

「マスターには指一本触れさせませんよ!」

 

一人は剣と銃が合体したような奇妙な双剣、斬りかかる刹那のタイミングでトリガーを引きシリンダー内の弾薬を炸裂、その力で起きる振動で剣を震わせ擬似的な高周波を作り出し結果としてティガレックスの顔面に傷を作りだした白銀の長髪の女性。

 

「本気で、ぶっ潰す!」

 

一人は銃とトンファーを合体させたそれを巧みに操り動けないティガレックスに打撃を与え、引き際に先ほどの女性が作り出した傷に向けて斉射した同じく白銀のこちらはウェーブが若干掛かった肩くらいの髪の女性。

 

「全く、アタシはこういう戦場向きじゃないんですけど~」

 

一人は気怠げに現れつつも両手にレーザーブレードを携えバレーを踊るように胴体を斬りつけてキャロルの側に飛んだ白銀の首辺りで綺麗に切りそろえられた少女

 

「怪獣退治だ、ガオー!!」

 

最後は現れたのは白銀の腰まで掛かりそうな髪を2つに纏め、その髪飾りはスラスターでもあるのか勢いよく吹かしながら現れ大きな鍵爪の様な両手を頭上から頭に向けて振り下ろせばズドン!という音を響かせて沈ませて、その勢いを使ってキャロルの側に飛べば、そのまま彼女に抱きついたではないか。

 

では正体を話そう、彼女たちは彼女が例のウィルスによって作り出されたハイエンドモデルの四人【スユーフ】【ダラーヒム】【トゥーマーン】【ジャウカーン】あの日、彼女を生かすために散った彼女たちである、キャロルは遂に復活を実行に移したのである、あの日の彼女たちでなくとも、また共に過ごしたいと……

 

「マスター!!お久しぶりです、『また』会えてジャウカーンは嬉しいです!」

 

だがジャウカーンが放った『また』の一言でキャロルはまだティガレックスが倒せたというのを確認していないというのに呆けてしまった、ありえないはずだと、だって幾らデータが有っても連続性は無いはずだったと、それでも彼女は聞いた

 

「お前達、なのか?」

 

「はい……あの日、貴女の為に戦い散った私達でございます」

 

「いやはや、本気でビックリだよね」

 

「復活早々にあんな化け物相手にさせられる方がビックリよ、あれあれ~?マスター泣いてます~?」

 

指摘され目元を吹けば確かに涙が付着する、だがすぐに拭き取ってから、ニヤニヤしているトゥーマーンに反論しようとした時

 

「ギャオォォオオオオオオ!!!」

 

咆哮が轟く、見れば未だ健在であり先ほどの連撃で怒り心頭といった感じのティガレックスの姿、はっきり言えば耐えられるとは思ってもいなかったとキャロルは厳しい顔をする。

 

この5人であれば戦えなくはないがそれでもあの流れで落とせなかったのは辛いなと構える、辛いとは言ったがそれでも向こうにはダメージは入っている、ならば、そう覚悟した時

 

「Seilien coffin airget-lamh tron(アーキテクトは後で絶対にぶん殴る)」

 

ものすごく不満そうな声の聖詠が空から響いた。




うん、オートスコアラー達の復活がやれるのこのタイミングかなって思っちゃったんや……モンスター関連で犬もどきさんに怒られたら明日の私が頑張って書き直すね(土下座)

え、最後?誰やろなぁ(すっとぼけ

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