それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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登場したゲーガーさんの格好はシンフォなギアのたやマさんのアガートラームに近いかもしれない


エクストラハンティング! Session2

上空から現れたのは右腕にはオペラグローブのような篭手を、左腕にはバックラーに近いサイズの短剣らしき柄が出ており、服装はいつもの戦闘用のそれに動きが阻害されない位置に装甲が追加、また腰部と脚のニーハイブーツにはSFチックなスラスターが装備されたゲーガーである。

 

なのだがその顔は不満と呆れが入り混じっているようなものであり、彼女が着地したと同時にその元凶から通信が来れば

 

《やっほー、その様子だと無事に起動は成功したようだね~》

 

「後で貴様はぶん殴る……!」

 

《え、あれ、なんか怒ってない?》

 

当たり前だろうとキャロル達が思う、恐らくあれは彼女が起動は成功、と言う言葉をそのまま受け取るならば先ほどの聖詠は起動のキーワード、しかしそれをなぜ歌にしたのか。

 

その疑問は勿論ながらゲーガー本人も思っていたので聞いてみれば返ってきた答えは

 

《え、そりゃそっちの方がカッコいいじゃん?》

 

「戻ったらお前を殺す」

 

声に絶対零度の殺意が込められていた、普段クールな彼女とて恥ずかしいものは恥ずかしいのである、しかも彼女単独の出撃ならばまだしもキャロルとオートスコアラーの四人がいる中に放り込まれ起動させられたので、それはもう凄まじい羞恥だろう。

 

だが今はそんな無駄話をしている場合ではないと殺す宣言に本気で慌てるアーキテクトの通信を一度切ってから左腕の篭手の柄を握って思いっきり引き抜けば現れたのは短剣、それを構えてから

 

「はぁ、歌は気にするな、それよりもさっさと片付けよう」

 

「あ、あぁ、だがどうする?正直あれで沈めるつもりだったのだがな……」

 

キャロルは今の流れを忘れる努力をしつつ未だ何とか銅線で固定されているティガレックスに目を向ける、あの一連の流れを受けながらも健在であり、しかし同時になぜ健在なのだお前と言いたくなる怪我でもあるはずのティガレックスは暴れに暴れて、もしかしたら直ぐにでも拘束を抜け出すのではないかと錯覚すらさせる勢いだ。

 

これにはジャウカーンを除いたオートスコアラー三人も戸惑いを隠せない、と同時にトゥーマーンが疑問を口にした。

 

「ていうか何でマスターはこのタイミングで私達を?こんな化け物相手じゃ力不足なんて分かりきってるじゃないですか」

 

「私なら相手にできます!ガオォォォォ!!」

 

「ギャオォォオオオオオオ!!!!!」

 

「何を~!?ガオォォォォオオオオオ!!!!!!」

 

何やら威嚇で張り合い出したティガレックスとジャウカーンは放置しつつトゥーマーンが再度同じ質問を投げかける、因みにそれはノリノリで現れたスユーフとダラーヒムも同じことを今になって思い始めたので視線を送ればそこに居たのは気まずそうに視線を逸らすキャロルの姿。

 

まさかそんな、二人の心にある考えが浮かぶ、だが同時にマスターがそんな浅はかな考えで行動をする訳無いと否定しようとすれば

 

「あの~、まさかだと思いますけど本気でどうにか出来るとか考えてました?」

 

「……お、お前が胴体ではなく頭部を斬り付けていれば話は変わった」

 

「いや、あの場所にテレポートさせたのマスターですからね!?」

 

彼女の理想では全員が頭部に集中打撃を与えジャウカーンで締めだったのだがどうやらテレポート装置がまだ完璧ではなかったのが仇となり位置がズレ結果としてこの様な形になってしまったらしい、のだが

 

そもそもにしてオートスコアラー達はさっきトゥーマーンが言ったようにこの手の化け物を相手にする想定なんてされていない、なのでもし成功したとしても倒し切れるかは不明である。

 

流れる沈黙、これには応援できたゲーガーもティガレックスに警戒しつつどうしたものかと思いつつキャロルを見ればプルプルと震えていた。

 

「あの、マスター?」

 

「……派手に演出したかった

 

「え?あ、あの、すみません本気で聞こえなかったです」

 

「お前たちの復活くらい派手に披露したかったんだよ文句あるか!!!???」

 

「えぇ……いや、えぇ?」

 

マスターってこんなに子供らしかったっけ?なんて思わせるセリフに思わず言葉を失う三人、いや、これにはゲーガーも失っていたし、キャロルが出撃したと聞いて特殊戦術室に突撃してきたFive-sevenが流れ弾で鼻を押さえたのは余談なので置いておくとして、ともかく未だ吠えあっているジャウカーンとティガレックスは除いて場は次に混沌に包まれていた。

 

そして、件の少女はと言うと言い放ってから自分があまりにキャラじゃないことを発言したことに今になって顔を真赤にし始めてから

 

「コホン、ともかく話は後だ、あぁ、後だ。今はティガレックスをどうにかするぞ、ゲーガーお前の武器は」

 

「何仕切り直してるんですかこのマスター、寧ろこの空気の中であれ、ちょっと?スユーフ、ダラーヒム、何よ、え、黙ってろ?はは、このアタシに、あっ、はい、黙ってるから得物を構えないでほしいなぁって」

 

「失礼しました、どうぞ」

 

「でも適当に斬れば終わるんじゃないんですか?まだ動けないってことは拘束を破れないってことでしょうし」

 

そう、かれこれ数分、想定外のこととは言え長々と話していたというのにティガレックスは拘束を破れていない、確かにあの衝撃波のような咆哮は上げれてはいるがそれも段々と弱まっており、だからこそジャウカーンが張り合うように吠えていられる。

 

ゲーガーは思った、これもしかして私要らなかったのでは?とならば何のためにあんな恥ずかしい思いまでして登場したのだと、やはり一度あの元上司は殴ろうそうしようと心に誓いつつ、キャロルに

 

「あまり大規模な変形はまだできないがそうだな、この短剣を大剣にするくらいは出来るぞ」

 

「そうか、ならばもう面倒はそれで頭を潰そう、それでも駄目なら俺が銅線にレーザーを通して焼き切る、もうそれでいいな」

 

何とも投げやりなと思いながらも自分達ではどうしようもないのは確かだしと頷くスユーフとダラーヒム、トゥーマーンもだったらコレ本格的にあの演出要らなかったじゃないですかと文句を漏らしつつも納得はしているようで動かない。

 

最後にキャロルがジャウカーンにその事を告げると

 

「むぅ、分かりましたけど後で遊んでくださいね?」

 

「約束しよう」

 

この一言が基地に帰ってからキャロルの受難になるのだがまぁそれも置いておこう、ともかく激戦になるかと思われた戦闘は、短剣を本当に大剣に作り変えたゲーガーの

 

「ふんっ!!!!」

 

力をこれ以上無く乗せた一撃にティガレックスの頭が耐えれるわけもなく叩き切られることで幕を閉じるのであった。




ゲーガー専用試作武装【アガートラーム】
アーキテクトがRFBに勧められて視聴したシンフォなギアの発想とエルダーブレイン襲撃時の戦闘で壊れた籠手のデータとノアのデータを元に作り出したコーラップス技術をコレでもかと多用した武装。
普段はペンダントなのだが例の聖詠を謳うことで冒頭の姿に変形、今はまだ試作段階なので短剣を大剣に変えたり短剣を蛇腹剣にしたりするのが精々である。

ティガレックスの扱い雑やんけお前って思いながらもダウルダヴラ装備のキャロルちゃんに一度でも拘束されるとこうなるよな感はあった、うん、申し訳ないです、はい。

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