それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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一応撃破されるという目的があったとは言え指示されてないことを平然としたトゥーマーンと言う人形


冷静に見返すと大戦犯である

キャロルのかつての配下であったハイエンドモデル四人の復活、それはP基地に衝撃を……別にもたらしはしないかった、何も彼女が独断で黙ってのことではなく前々から彼女たちを復活させたいという話は聞いていたからだ。

 

なのでそれ自体は別に問題ではない、寧ろ彼女達の優秀さはあの戦闘の時に嫌というほど味わされていたので戦力という面でも大歓迎ではある。

 

という事でモンスター騒ぎから翌日、ランページゴーストも無事に帰ってきてから簡単ながら紹介したのだが改めてということでカフェに今回の話の主役たちは集まり改めて親睦を深めようしたのだが

 

「……」

 

「あ~、まぁそうよね、この中じゃアタシが一番好き勝手やったもんね」

 

「あ、あはは、ほら二人共、って難しいよね、うん、どうしようクリミナ」

 

「いやコレばかりはあたくしにも難しいかと」

 

四人の内の一人である【トゥーマーン】が呟く先には射殺さんとばかりに睨みつけるルピナスとステアーの姿。この様に一部人形にとってはすんなりと、と受け入れられない者も居る。特にあの戦闘の時に一番の被害を出したであろうトゥーマーンにはその感情が強く、それは向こうも分かっているので仕方がないとばかりに彼女は紅茶を飲んでいる。

 

では他の三人はと言うと正門をぶち抜いたジャウカーンはその性格もあってか直ぐに馴染んでいた、と言うか昨日の時点でこの基地のG41と姉妹みたいだとか何とか騒いでIDWを巻き込んでいたので問題ないだろう。スユーフもまた家庭的な性格でありイベリスと意気投合、何でも技術を覚えたらBARを任せてくださいとか会話をしていた。

 

最後にダラーヒムはダラーヒムで上手いこと馴染んでいた、昨日は直接対決していたノアと会話をしてあの日潰した左目は大丈夫だったかなどと気を遣ったりしていた。とこんな感じに特に問題なく受け入れられている、もっと言えばトゥーマーンだって決して受け入れられていないわけではない、四人全員がエルダーブレインからの介入で操られていたキャロルの指示に従っただけであり、彼女達はキャロルを救おうと動いていたことは知っているのもあるので問題ない。

 

「すまないな、無意識下とは言えお前が一番恨まれるような指示をしてしまって……」

 

「いやいや、マスターは悪くないですって、あれはエルダーブレインの所為ですし~?」

 

「だがそれはそれとして煽れだの、余計なことを指示した記憶がないのだがその辺りは別問題だと思うぞ」

 

「……」

 

そう、彼女がここまで受け入れられない理由がそれである。彼女に下された指示は潜入し、アーキテクトを暗殺し、ラボと基地の重要施設の爆破をし、その後に【即座に外の味方と合流それが難しければ内部から指揮官を襲撃せよ】である。

 

はっきり言えば爆破成功後にユノ達に通信を送る理由は一切ないし指示にも入ってなかったのだ、追加で言えばルピナスとステアー、アニス達の強襲で戦闘を繰り広げたのだが結果は知っての通り、なのでさっさと行動すれば良かったものを何を思ったのかその場で長ったらしく一人でべらべら喋り、任務外の事をしようとしてゲーガーに追いつかれて撃破されジャミング等を解除され、総崩れ。

 

見事な大戦犯ムーブであることは誰が見ても分かるものである、その事を指摘すれば分かりやすい程に冷や汗を流し始めるトゥーマーン、それから

 

「……いやちょっと、その、楽しくなっちゃいましてね?」

 

「すまん、トゥーマーンはどういう経路でこうなったのかは分からないのだがこんな性格なのだ」

 

弁明にしては少し酷い言葉にキャロルが頭を下げれば、今度はスユーフは困った感じの表情を浮かべながら

 

「よく煽るのよね、しかも自分が勝者だって分かってる場合だけで」

 

「本気でぶつかったら負ける未来しか無いから適当にぶつかりながら罠を張ってっていう姑息な戦い方が基本だもんね」

 

「と言うよりもトゥーマーンは正面での戦闘は最弱ですからそれしか出来ないんですよ!」

 

続けてダラーヒム、ジャウカーンが容赦なく追撃、これには先ほどから聞いてるだけのユノもクリミナ、ノア、クフェア、そして睨みつけているルピナスとステアーとシャフトも曖昧な笑みを浮かべながらトゥーマーンを見つめることしか出来ない。

 

「ボロッボロな評価じゃな」

 

「あ、アタシは潜入が主なんだよ!寧ろそうなのに6対1で勝てたのが奇跡でしょ!?」

 

トドメと言わんばかりにナガンがそう呟けばトゥーマーンは反論を繰り出すがなんかこう微妙にずれていることにノアが呆れた顔をしつつ

 

「いや、性格は否定……出来ねぇか」

 

「コレで否定してきたらそれはそれで凄いと思いますけどね、それにこの空気で勝てたことを反論にするのは中々肝が据わってますよね」

 

苦笑いを浮かべながらしれっと出されたクフェアからの辛辣な言葉に意外とお前って毒を吐く時は吐くよなと言う言葉をカフェオレと一緒に飲み込む、こういう時は沈黙が最適解と何処かで聞いたことである。

 

が、そこまで言われて黙っているばかりでは居るわけでもない、特に姉妹の長女であるルピナスはこれでも負けず嫌いであり、彼女はピキッと青筋を立てているし、それ以上に負けず嫌いであるステアーに至っては感情を削ぎ落とした声で

 

「次は負けないし」

 

「へぇ~、いいわ、後で相手になってあげる、このトゥーマーン様に勝てるなんて幻想ぶっ壊してあげるわよ」

 

ステアーの言葉に一度勝ってるからと調子付いているトゥーマーンがそんな事を言ったタイミングでルピナスがばれないようにニヤリと笑った、確かにあの日は負けた、完膚無きまで完全敗北を喫したのだがトゥーマーンは知らない、ダミーのはずのアニス達がメインフレームに換装されているということを、そしてそれを知るのはその日の午後の訓練場にて模擬戦を行い、返り討ちにするつもりが徹底的にボコボコにされ地面に倒れ伏した後だということを……

 

『どうして先に言わないのかなぁ、そう言うことをさぁ』

 

尚、タイマンで戦うことにもなるのだがホログラム等を利用した攪乱戦法は一度彼女達に見せていることもあってか通用することはなく、最終結果はトゥーマーンの全敗だった模様、だがこの模擬戦のお陰かは不明なのだがそれからはトゥーマーンに対して刺々しい感じは無くなった、が代わりに

 

「あのさ~、アタシを見るたびに一度は絡んでくるの止めてくれない?」

 

「ふふん、そうしないとトゥーマーンは何するか分からないからね!」

 

いや、味方にはしないんですけどと言うトゥーマーンの言葉が彼女達に届く日は来るのだろうか




キャロル私設部隊『オートスコアラー』
四人の特殊なハイエンドモデル達による完全暗部の部隊、彼女達が表に出てくることはなく、そして彼女達の情報は完全なる秘匿の元に管理されている。

スユーフとダラーヒムは高水準で纏められた分特殊な能力は持っていない、代わりに扱いの難しい武器をそれぞれ装備している。

ジャウカーンは戦闘用に徹底的に改造され鉤爪のような手から繰り出される攻撃は脅威の一言、この中では一番強いのだが燃費は非常に悪い。

トゥーマーンは潜入や撹乱に特化しており本来であれば戦闘は不得意である、だが必要とあれば戦う。

って言うことを本文に書こうとして忘れてました(ガバ

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