それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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夢か現か幻か……


いつかの私

解けば肩まで掛かりそうな純白の髪を三編みで一つに纏めたメガネを掛けた女性が身体を揺さぶられる感覚で意識が浮上し、妙に重たい瞼をゆっくりと開ければ目の前に居た女性は彼女が目を覚ましたと分かると困った感じの表情をしてから

 

「【先生】もう朝の授業始まっちゃいますよ?」

 

「え、あぁっと、ごめんちょっとウトウトしてた、ありがと」

 

「もしかして夜遅くまで仕事でもしてたんですか?もう、あまり無理しないでくださいね、じゃあ私は行きますから」

 

女性を見送ってから彼女はうっかりしてたとばかりに頭を振るってから自身の机に既に用意されていた教科書やらを纏めてから抱えて部屋を、職員室を後にし自身が担当する教室へと向かう。

 

その際にもすれ違う同僚の先生や職員、また遅刻ギリギリで駆け込んできましたという子供たちに挨拶を交わし目的地に着けば扉越しだと言うのにまだ着席してないなと言うのがよく分かるほどに騒がしい室内に今日も元気だねと思いながら開けながら

 

「はい、朝礼をするから座ってねー!」

 

と一言言えば、子供たちはまだ少々ざわつきながらも座ったのを確認してから彼女は先ず第一に挨拶をしてから今日の授業などのことを話していく、なんてことのない朝の朝礼、それが終われば一時間目が始まるまでは生徒たちと楽しげに会話を楽しみながら宿題がどうとか、此処がわからないという話があれば相談に乗り、授業が始まれば分かりやすく、楽しくという風な内容で授業を進めていく。

 

特に何かがあるということもなく、何時もの様に授業を終えて、ホームルームも終えてから帰宅していく子供たちに宿題は忘れないようにと気を付けて帰るんだよと見送り、彼女は職員室に戻ってから残りの業務を片付けていく、今日の小テスト、提出された宿題の確認、明日のプリントに授業の内容の確認、やることは山のようにあるのだ。

 

だが彼女の顔に面倒とかの表情はない、寧ろこれもまた楽しくて仕方がないという感じすらあるが、ポンポンと肩を叩かれてビクッとなりながら振り向けば朝、彼女を起こした女性が居りどうしたのかと聞けば向こうは何も言わずに壁にかけてある時計を指差せば釣られてそっちを見て、あっ、と声を漏らす。

 

「あとは私がやっておきますから迎えに行ってあげて下さいね」

 

「ごめん!うぅ、またやっちゃった……と、とにかく急がないとね、じゃあね!!」

 

口調では非常に慌てているがそれでも必要な物や家で出来そうなものは的確に鞄に仕舞ってから彼女は女性に手を振り職員室を走って出ていく、そんな彼女をやれやれ変わりませんね~と笑いながら見送ってから女性は彼女が残した残りの仕事を黙々と片付けようとして殆ど片付いてる事実に思わず額に手を当てるのであった。

 

そんな若干ワーカーホリックの彼女はヤバイヤバイと言いながら学校を出て街を駆けていく、途中すれ違う人たちは何事かという感じはなく半ば日常のような光景で見送るので恐らくは初めてではないのだろう。ともかくそんな彼女が向かったのは少々大きめな孤児院、息を整えてから玄関に付いているインターホンを鳴らせば玄関の上辺りに付いている監視カメラから彼女だと分かれば開かれて出てきたのはIDW、彼女は整えたと言ってもまだ息が上がっている姿を見て

 

「その様子だとまた仕事に集中しすぎたようだにゃ?」

 

「あっはは、ごめん……【】は良い子にしてた?」

 

「問題無しにゃ、まぁ……」

 

「おかあさん!」

 

話をすればにゃとIDWが言う前に女性は既に屈んでおり、そこに飛び込むように現れたのは髪は肩より少し長い感じの茶髪、顔つきは迎えに来た女性ではなく彼女の伴侶と似ており、目は綺麗なエメラルドグリーンの少女、彼女は太陽のような笑みを浮かべ、女性も負けず劣らずの笑みを浮かべていると続くように7人の人形が少女と同じ様に喜びながら出てきて、彼女達にも同じ様に抱いてからからじゃあ帰ろうか、そう告げIDWに挨拶をしてから手を繋ぎ途中で仕事を終えた伴侶とも合流して夕飯の買い物をしてから家へと帰宅……

 

した、と言うタイミングでパチっと目が覚めゆっくりと身体を起こす、あれから少々大きくなったお腹のお陰で少しばかり苦戦するが問題なく起こしたユノはついさっきまで見ていた夢を思い出していた。

 

いや、あれを唯の夢と呼べるのか、夢というのは曖昧なものであり起きれば殆ど忘れているはずのそれ、だが今のは妙に実感があり、今でも鮮明に思い出せるほど脳裏に焼き付いているのだが思うのは

 

(何で先生だったんだろ?)

 

うーんと考えるが答えは勿論出ない、だがあの夢で一番彼女は思ったのはその時の女性の、いや、多分自分なのだがともかくその時の髪型、三編みというのはしたことなかったなと思えばクリミナを起こさないようにベッドから降りて化粧台の前に座ってから自身の髪を編んでいく。

 

実を言えばやったことはないのだが本で、そしてFALとかに過去に教わっていたのを思い出しながら少しだけ苦戦しつつ三編みにしてから最近は掛けてなかったなと凡そ一年、いや、二年近く前にあの雑貨屋【リポスティーリオ】で買った伊達メガネを掛けてから鏡を見れば

 

「……もしかしたら赤の他人だったかもしれない」

 

思えばあれは主観ではなく第三者視点だったような気がしないでもない、だとすれば自分ではなく誰か、と思いたかったがそれは違うと思った、だって『おかあさん』と呼んでくれたあの少女は何となしだが自分の子供のような気がするしその後に出てきたのはルピナス達だったのだから間違いなく自分だろう。

 

しかしなんか微妙に違う、がそれはそれとして今の姿は気に入ったので今日はこの姿で過ごそうと決めたところでクリミナも起きて今のユノの姿を見て

 

「とても似合ってますわ、でもどうして急に三編みに?」

 

「うーん、夢で見たから、かな」

 

なるほど?と彼女らしい理由に一応の納得をしてから二人は着替えてから朝食のために食堂に向かう途中でナガンとアナの二人にばったり出会ったのだが向こうは今のユノの姿に驚いた表情を晒す。突然の、しかも予想すらしてなかった反応にどうしたのかと聞けば

 

「呵々、いや、その今の姿はレイラにそっくりで驚いただけじゃ」

 

「レイラ指揮官もよく三編みに伊達メガネを愛用してました、懐かしいですね」

 

それにしてもどうした?と今朝のクリミナと同じ質問にユノは朝食を食べながら話す、今日見た不思議な夢の話を。

 

だけどまだ彼女は知らなかった、あれは夢ではなく、いつかの……そう、遠いようで近い、一つの可能性のお話だったことを。




三編み伊達メガネユノっちとかいう属性てんこ盛りガール、ありじゃない?

さてさて、この夢がどうなるのかねぇ

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