それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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見え始めた一つの終着点


タバコはそろそろ控えましょう

ユノが不思議な夢を見た日と同日の夜の屋上、もはや喫煙者達の喫煙スペースとなっているそこにナガンは居た。思えば此処数ヶ月で命日だけと決めていた筈の喫煙はユノに何かあったり、考え事だったりで本数が増えに増えているなと思いながら煙を吐く。

 

今日彼女がここにいる理由は件の夢の話、聞いただけだと言うのにナガンも不思議とその夢が唯の夢ではないと感じていた、理由を聞かれると少々困るらしいが。

 

「……レイラ、お主の娘は、別の道を見出したかもしれぬぞ」

 

空の上の彼女へと語りかけるようにそう呟いてから煙をまた吐く、相変わらず値段相応の不味いタバコ、しかしこれがなんだか癖になったというべきか、今はこれはコレでありかもしれないと思うくらいにはなっている。

 

呟いてからは何も言うわけもなくただタバコを吹かしていると誰かが上がってきたようで扉が開かれて振り向けばVectorの姿、そしてその手には自分が吸っているのと同じ銘柄のタバコが握られているのを見ると彼女も吸いに来たらしく、向こうもナガンを見ると

 

「あら、最近増えたんじゃない?」

 

「言われんでも思っておるわい、それよりもお主はどうした?」

 

「どうも何もないわ、ただ吸いたくなったから来ただけよ、寧ろその質問はそっくりそのまま返してあげる」

 

ギャグは無しの所を見ると真面目に聞いているらしいと判断してからナガンは今日の話をする、ユノが見たという夢の話を、そしてそこから彼女が考え至ったことを、その夢は恐らくは何も脈拍もなく彼女が見たわけではないということを。

 

何よりもナガンは嬉しく感じていた、少し前までは自分は皆のために指揮官を続けるんだとしか言わなかったユノがそういう他のことをしている自分を夢とは言え見たということを、だって

 

「アヤツの心境に、何かしらの変化が生まれたということじゃからな」

 

「なるほどね、まぁ確かにあの娘は指揮官以外は考えられないとか普通に言うからね、でも結局は夢じゃなくて?」

 

「わしとて普通の夢だったらそうは言っておらぬ、じゃがあそこまで鮮明に覚えているということならば話は変わるじゃろうて」

 

そこまで言い切られると返す言葉は見つからないVectorはタバコを咥えてから火を点け、一服してから

 

「彼女はその選択を取るのかしらね、もし貴女の言う通り心境に変化があったとしても根っことなると中々難しいわよ」

 

「今は難しいじゃろうて、だがな、その時にちょいと聞いたのじゃよ。もしお主が夢の見たことを目指してみたいというのならばわしは応援するとな、それこそ朝食の団欒みたいなノリでじゃ、そしたらな」

 

「そしたらって、ちょっと思い出し笑いしないでよ、気になるじゃない、ほら」

 

「ククッ、いや、すまぬ。今思い出しても嬉しくてな、ともかくアヤツはこう返してきたのじゃよ【分からない、でも考えてみたい】とな、わしは本当にビックリしたものじゃ」

 

今の今までの彼女だったらそんな道があると分かっても、何言ってるのとか良いかもしれないけどやっぱり私は指揮官しか無いからとか返されていただろう、それがそう答えたとあればナガンは嬉しいものを感じるのも無理はない。

 

きっと夢を見ただけが原因ではないだろう、もしかしたら心の何処かで何かそういう考えがあったのかもしれない、それが夢を見たことで気付かされ、あの返答に繋がったと思われる。

 

だから、もし、本当に今はまだ万が一の可能性かもしれない『もし』を彼女が選びたいと言うのならば、ナガンは

 

「背中を押してやりたい、道を切り開いてやりたいのじゃ」

 

「……水を差すようで悪いけど前途多難よ、それにグリフィンの庇護下からは切り離せないわ」

 

「うむ、庇護下から離れれば一瞬で食い物にされる、更に言えば正規軍のこともある、簡単にとはいかんじゃろう」

 

ふぅと煙を吐く、言うのは簡単だ、だが現実問題として彼女を取り巻く様々な要因が渦巻いており、そのどれもが一筋縄では行かないようなことのオンパレード。

 

彼女とてそんな事は百の承知である、寧ろ考えていないと思われる方が心外であるとすら思っている、しかし少し前ならいざしらず、今のこの基地には、ユノの周りには心強い味方が沢山いる。

 

「全てを使ってでも、アヤツの夢を現実にしたい……今はまだ分からぬが、その時になったらVector頼めるか?」

 

「心配しなくても力を貸すわよ、それに私だって見たいからね、彼女が先生をしてる姿をね」

 

煙を吐きながら柵に体重を預ける、実を言えば彼女もユノ本人の口からその話は聞いていた、聞きながらVectorは彼女の顔が何だか楽しげだったのを覚えている、指揮官をするしか取り柄がないと何時だったか言っていたはずの彼女が夢の話とは言え別のことをしていた自分の事を、嬉しそうに、楽しそうに話していた姿を思い出して。

 

「でも、彼女って誰かに教えられるほど知識あったかしら?」

 

「何を言っておる、それを踏まえてまだまだ準備段階だという話じゃよ、まぁ数式に限れば相当なものを持っておるがの」

 

「SRSとかに教師の心得とか知識とか教えてもらった方が良さそうね」

 

Vectorの言葉に確かにそれもありじゃなと笑うナガン、しかしまだそれも構想の段階、ユノ自身がどう思うかという個人の問題もあるので次にこの話が出るのは何時になるかは分からない。

 

分からないのでその話は一旦打ち切られて、Vectorから自分も吸っているタバコを見て

 

「あ~、そろそろ禁煙とかペーシャから言われるのかしらね」

 

「あ、あぁ、そうじゃな、二人の子供が生まれると考えればあまり匂いも良くないじゃろうからなぁ」

 

名残惜しそうに自分達のタバコを取り出して見つめる、別に日常的に吸っているわけではないので自分達は止めようと思えば止めれる、と言うよりもナガンは特に止めなければならないと決心しているので直ぐだろう。

 

だが二人が思い出すのはとある一人の人形、わりかしヘビースモーカーで、最近では口に何か咥えてないと寂しいとか言ってココアシュガレット等を懐に忍ばせているという

 

「お、何だ二人揃って吸ってたのか」

 

「ねぇ副官、彼女って止めれるかしらね」

 

「難しいじゃろうなぁ」

 

噂をすれば影と言わんばかりのタイミングで現れたのはM16、この基地での一番の喫煙者を見てナガンとVectorは曖昧な笑みを浮かべ、ふとVectorが閃いたと言う表情になってから

 

「この基地のヘビースモーカーには外に小屋を作ってそこに『スモーカー』……ふふっ」

 

「あぁっと、タバコを止めろという話か?」

 

「無理にとは言わぬがな」

 

416にも言われたんだよなぁとタバコに火を点けながら何時だったかの豆撒きの時の言葉を思い出しながら一服してから、隣でなぜかまだドヤ顔しているVectorを見て、M16は今日ってこんなに寒かったけなぁと苦笑するのであった。




色々問題はあるけど、彼女が叶えたいというのならばこの基地の皆は力になるだろう、そんな話でした。
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