それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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でもイメージ的には攻殻機動隊とかだよね、電脳に突入って


プラグイン!

Vectorがエルダーブレインから干渉を受けている、それが告げられば彼女達の行動は早かった。何よりも電脳の事となれば対処できる人員というものは限られているので速いのも当然といえば当然なのだが……

 

強いて上げるとすれば今日は休日だったので担当となる者たちがそれぞれゆっくりしてたのに申し訳ないというユノが罪悪感に潰されそうになっていることくらいか、だが事を説明すれば

 

「なるほどね、と言うかそんなことで罪悪感を感じなくて大丈夫よ」

 

「そうですよ、それに今回のはとても放置できる問題ではありませんからね、呼ばれないほうが後でボスを怒りますよ?」

 

「と言うよりもこの休日だって勝手に裁定したものだ、本来であれば年中無休というのが当然だろ……それにしてもエルダーブレインか、あいつには本当に振り回されるのだな」

 

此処はヴァニラの仕事場である人形用の整備室、今回呼ばれたのはヴァニラ、FMG-9、キャロル、また寝ていて今しがたゲーガーから叩き起こしたと報告があったアーキテクトの四人。

 

現状においてのP基地での電脳に関しての専門家とも言えるこの四人で今回の異常に挑むことになるのだがVectorから話しがされ状況を整理、とりあえずそれだけで四人が出せた結論はこのまま放置すれば遠くない未来、具体的な日数は分からないがある日突然エルダーブレインに乗っ取られるだった。

 

「猶予はあまり無さそうだな、向こうからのコンタクトとも言える問いかけが一日に数回ならばそこまで侵食されていると考えるべきだ」

 

「でもさ、なんで【傘】が蔓延しないんだろ、ベクベクが異常を感じる前から感染してたならもうこの基地に広がってるはずだけど……」

 

「一応、基地の人形とか機械を調べたけど反応は出てない。Vector一人に絞ってると見るべきか、そもそもにして感染したのがVectorだけと見るべきか、そこら辺はちょっと分からないわね」

 

「ていうか分からないことだらけなんですけど、どこもブラックボックスとか外側からじゃ手が施せませんよ」

 

FMG-9が苦笑を浮かべながら椅子を回転させてその場の全員にモニターが見えるようにすればそこに映っていたのはVectorの内部データ、なのだがその大多数、7割近くがブラックボックス扱いとして開くことも出来ないものとなっていた。

 

因みに【思い付いたギャグ】と言う堂々としたファイル名の物は開くことは出来るが全員触れないようにしている、今はそんな空気ではないのだ。ともかくこれじゃこっち側からじゃどうしようもないということを改めて告げ、Vectorに何とかならないかと聞いてみるも

 

「無理ね、私自身もそうなってたなんて知らなかったもの」

 

「どんな技術で作られたんだお前は、はぁ、しかしこうなると使える手段は【ダイブ】か」

 

「それしか無さそうだけど……」

 

「何か問題があるの?」

 

キャロルからの提案にヴァニラが賛成ではあるがと言い淀む、それを見たユノが不安げに聞いてみれば帰ってきた回答にナガンが納得した、ヴァニラが言うにはダイブによって内部から原因を取り除く、それが現状唯一切れる手札なのは確かなのだが問題は

 

「【傘】の存在よ、もしVectorの電脳にこれが充満してるとすれば何の処置もしてない人形じゃ、潜入したと同時に即感染して、そこから爆発的に広がることになる」

 

「そうなればこの基地は、それどころかお主もお終いじゃな、安心せい、そうならないようにするからの」

 

驚かさないでよとお腹を庇いながら割と本気の声でユノが告げればナガンは割と本気ですまなかったと謝罪してから、ではどうするのかという話になる。

 

ヴァニラが言ったように処置が施されていない人形では忽ち【傘】に感染してしまう、しかしその処置をするとなると今日明日で出来るものではない、ともなれば

 

「自分の事だから私が出るのは確定よ、好き勝手やってくれてる奴に灸を据えなきゃ気が済まないのよ」

 

「こっわ、後はオートスコアラー達は?彼女達なら問題ないでしょ」

 

「恐らくはな。ただ素体が素体だ、絶対ではないぞ」

 

「5人、電脳の中じゃナデシコが使えないことを考えればもう一人は欲しいわね、誰か居る?」

 

うーんと、なるが思いっ切り鉄血のハイエンドモデルであるアーキテクトとゲーガーの二人じゃ駄目なのかとなるが、それはそれで相手がエルダーブレインであることを考慮すると万が一で向こうから彼女達を無力化出来る手段があったら悲惨であるということで待機になっている。

 

ではもう居ないのではと言う空気になっていると整備室の扉が開かれて入ってきたのはウィンチェスター、彼女は入るなり横になっているVectorを見つめて

 

「枠、まだ余ってるかしら」

 

「え、でも【傘】が危ないから……って、あれウィンチェスターって特別なんだっけ?」

 

「えぇ、多少弄れば【傘】にも抵抗できるはずよ、で、どうかしら?」

 

確かにウィンチェスターの言う通り、彼女はペルシカお手製で鉄血の技術を流用して作られている人形である、なので簡単な処置だとしても抵抗は十分に得られることには違いない。

 

だがどうしてウィンチェスターが首を突っ込んできたのだろうか、疑問に思いユノが準備を行っている彼女の側に行き聞いてみれば

 

「まぁ、先輩がピンチだって言うなら救いたくなるものなのよ、ただそれだけ」

 

Vectorが先輩?となったが確か使われている技術がVector物が一部混ざっていることを思い出して成程と納得、それから数分後、バックアップ組の四人、突入組の6人の準備を終え

 

「では最終確認だ、今回の作戦はVectorの電脳に干渉し乗っ取らんとしている推定エルダーブレインの撃退、だが内部の情報は一切分からないからな、敵がそいつ一体ということはないということを前提に作戦を遂行しろ」

 

《こちらオモイカネ、とりあえずこっちでも何とか探れるようにならないかやってみるけどあまり期待しないでね~》

 

「本当は私がナデシコと接続できればもっと可能性が上がるんだけど……」

 

「何が起きるか分からない以上許可を下ろすわけ無かろうて、各員、警戒は怠るなよ」

 

『了解!(です!)(で~す)』

 

では始めるわよとヴァニラの声で全員が機械に接続、四人が数値を打ち込んでスリーカウントの後、ダイブを開始……と同時に

 

「っ!?弾かれた!!??」

 

「うわわって、あ、あれ?」

 

「ぬぉ~?」

 

接続しダイブした筈のスユーフ、ダラーヒム、ジャウカーンが弾かれるように起き上がり、異変に気づいたFMG-9が急いで電脳内の様子をモニターに映せば

 

《こちらウィンチェスター、そうね、一言で言えばピンチって奴かしら》

 

《咄嗟に回避できたのはアタシだけかよ、おい、Vectorが乗っ取られたのだけど、どういうことよこれ》

 

電脳内だと言うのに冷や汗が流れる感覚に襲われるウィンチェスターとトゥーマーンの視線の先には、優雅に礼をしながらサイドアームの銃を彼女達に向けるメイド姿のハイエンドモデル【代理人】とただ佇むように二人を見据えるエルダーブレイン、そして

 

「……」

 

目を血のように真っ赤にし銃口を向けるVectorの姿があった。




トゥーマーンちゃん、また真正面ガチンコ勝負求められてる……

因みにオートスコアラー三人が弾かれたのはエルダーブレイン側の策です、つまりこの状況を作り出す気満々だったってことですねはい。

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