それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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指揮官の記事は人気


今月の記事はどのように?

「……ネタが微妙に足りないですねこれ」

 

データベースの一角、彼女専用に用意されたスペースで【FMG-9】がぼやき椅子を回転させながら困ったぞこれと再度呟く

 

彼女が今やっていることは月イチで更新される司令部の掲示板に貼るための広報記事、業務のことから街の雑貨屋の新商品、スチェッキンの移動式屋台の日付、果ては司令部で起きたことを記事にするなどこの司令部の戦術人形が割りと人気が出ている記事だ

 

そして今、冒頭の台詞の通り記事にするネタが少々足りずスペースが空いてしまっているのだ。これは良くないが手持ちのネタでは話題性に欠けるので

 

「集めてきますか」

 

椅子から立ち上がり、固まった身体を解しながら予定を組み立てていく、がやることは結局ネタ集めなので司令部内で聞いてまわれば出てくるでしょと結論づけてからメモ帳を懐にしまい込みFMG-9はデータベースを後にする

 

時間は午後の丁度各々の業務が終わりだす頃で司令部もお疲れ様ムード、なのでそこかしこで仲間同士で雑談で盛り上がったりしている、これなら思いの外ネタは集まりそうかなと思いつつ、しかしどういったネタが良いだろうかと考える

 

(妥協は戦術人形で一つ、ボスで一つ。理想はボスで二つ、まぁこっちは中々難しいですけどね)

 

そんな事を考えながらボールペンをポチポチと口元に当てながら廊下を歩いていると前から【HK416】が歩いてきて悩んでいるFMG-9に気付き声を掛けてくる

 

「なにか悩み事?」

 

「ええ、今月の広報記事のネタがちょっと足りなくてですね……あ、そうだ」

 

何かを閃いた彼女は懐にしまったメモ帳を取り出し開きながらボールペンをマイクのように差し出す、FMG-9がこの行動をとった時はつまりそういう事だというのが司令部全員の共通認識である

 

「面白い事なんて持ち合わせてないわよ」

 

「いえいえ、今回は取材ではなくてちょっと相談です」

 

「相談?まぁ聞くだけ聞くけど」

 

「ありがとうございます、では単刀直入に。ご趣味のボトルシップの作品をちょっと記事に載せてみませんか?」

 

え?とまさかの内容に表情が固まる416、何故彼女が伝えてないはずの自分の趣味を知っているのかという疑問が頭を埋め尽くす、そしてそれを記事にするとはどういうことだと

 

言葉にしてないその疑問を感じ取ったFMG-9は得意げに鼻を鳴らし

 

「情報通たる私の耳と目は誤魔化せませんよ~、貴女が休日を利用して雑貨屋でボトルシップのパーツに必要な木材などを仕入れてるのは店主から聞いてますからね~」

 

それにちょくちょくカリーナから大きめの紙袋を受け取り部屋に持ち込んでたりBARから空ボトルを貰ったりしてますもんね、それだけあれば推測可能ですと畳み掛ければため息一つついて両手を上げて降参の意を示す

 

「驚愕に値する洞察力と情報収集ね……でも記事に載せる、か」

 

「どうでしょうか、無理にとは言いませんけどね」

 

「試しに一度、と言うのはありかしら、それなら良いわよ」

 

「お、分かりましたではそれで行きましょう!」

 

細かい調整を二人で話し合いそれをメモ帳に書き記していく、後ほど写真を収めに行きますねと伝えればそれまでには載せる作品を選んでおくわと416は足早に自室に戻っていく

 

思いがけずネタが一つ手に入り上機嫌なFMG-9、次に指揮官のネタを探すのだがこれに関しては心当たりはある、と言うより

 

(指揮官のことなら、副官に聞くのが手っ取り早いですよねっと)

 

確実に裏も取れるし尚且ネタとしては一番新鮮な物が手に入るM1895に聞くために先ずは時間を確認、そこから居ると思われる場所を推測してから足を運んだのは副官の自室、ノックをしてから

 

「FMG-9です、少しお話良いですかね?」

 

「お主が来たということは……ああ、入って良いぞ、とっておきのネタがあってのう」

 

「話が速くて何よりです、では失礼します」

 

ラッキー!と入ればテーブルの上にはウォッカ、どうやら提供はするが代わりに付き合えということらしい、苦笑しつつネタの為だと分かりましたと言えば向こうも呵々と笑いながらグラスに注ぐ

 

こうして記事のネタを無事に入手した彼女は翌日には仕上げ、更に次の日には掲示板に掲載された。

 

(……?なんかみんな私の方見るけどどうしたんだろ)

 

掲載された日、指揮官は朝から妙に温かい視線を周囲から感じていた、まるで微笑ましいことを聞いたと言う感じの視線に困惑しながら廊下を歩けば

 

「指揮官、おはよう」

 

「おはようM16、他の皆は一緒じゃないんだ?」

 

「ああ、今掲示板の記事見てるよ。いやぁ指揮官も可愛いところがあるもんだな」

 

笑いながらグシャグシャと豪快に頭を撫でられながら指揮官はどうやらこの視線は掲示板が原因らしいと気付く

 

「掲示板、あっ今日更新されたんだっけ、見に行かなきゃ」

 

「おう、見てきたほうが良いな」

 

一体何が書かれてるんだろうと思いながらM16と分かれ掲示板まっで来てみればIDWが彼女に気付き近付いてポンっと肩を叩きながら

 

「まぁ、その、強く生きるにゃ」

 

「待って何が書かれてるのその記事!?」

 

人形たちが道を開けてくれたお陰ですぐ読めた記事には何時もの業務連絡等の下に416のボトルシップの話、そしてその次には自分の事でこの間ペルシカに会いに行った時の話が書かれていた、それはもう事細かにあのお母さんと呼んでしまった出来事も

 

顔が赤くなる、後ろを振り向けば優しい視線の仲間たち、その中にはFMG-9とM1895の姿もあり彼女は

 

「おばあちゃん!!なんで話しちゃったのさ!?」

 

「すまぬ、酒で口が滑った」

 

「嘘だ、お酒呑まなくても喋ったでしょ!?」

 

「分かっとるではないか、いや、待て悪気はなかったのだがやはりこういった事は知ってもらったほうが良いかとな?」

 

「良くないよ!?」

 

既に羞恥心で涙目の指揮官の叫びもM1895は何処吹く風と言わんばかりの態度、申し訳なくなったFMG-9はそっと頭を下げながら

 

「ああ、うん、ボスすみません、まさか副官の独断とは思わなくて……」

 

「いいもん、悪いのはおばあちゃんだもん……」

 

そこから三時間程へそを曲げてた指揮官だったがスプリングフィールドの手作りプリンで機嫌は戻った模様




チョロいわコイツ(副官並感

今回の話を書いてる時に何処かの幻想に居る天狗の文屋が頭を駆け巡ってました、でもFMG-9ってこういう事も似合いそうだなって

あ、活動報告で書いたキャラ設定のページ、ごめんなさいもう少し掛かりそうです……設定纏めるの苦手なんや、すまぬ、スマヌス

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