それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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空を切る、悲しみの言葉


手を掴み、握ってと

正直に言えば正攻法でウィンチェスターがVectorに勝てる確率はないに等しいと本人も分かっていた。故に彼女は先程までは焦っていたし、無力化と言う難しい展開に思うような戦い方も出来ずに、しかも普段以上に動きを読めれて敗北を喫した。

 

だからこそ彼女は考えた、考えて出した結論がSG人形としての耐久を使ってゴリ押しである。そして結果が今の状況、たとえ動きを読めれても、速度で勝てなくても、こうすれば確実に一撃を与えられて、その一撃を持って落としてしまえばいい、ウィンチェスターは自身の考えついたその作戦に満足気に頷いているとヴァニラから通信が入り

 

《いや、何完璧な手段だみたいな空気出してるの?》

 

「あら、殺さずに、殺されずに先輩を止めれたから良いんじゃないかしら、それよりもここからどうするの?」

 

《貴女そんな脳筋キャラだっけ?後その時点でもう完了よ、アリババが一人分しかこじ開けられないと判断してからVectorが繋げていた特殊なネットワーク、そこを分断したからね、これで乗っ取りは止まるはず》

 

なるほど、だからキャロルは殺さなければと言ったのかと納得してから失った左腕を撫でる、流石に電脳体とは言え此処まで手酷くやられれば消耗するものであり、このまま三人の所に加勢しても足手まといだろうと判断、なので意識を失っているVectorを引きずりながら

 

「撤退は出来るかしら?」

 

《ごめん、どうやらエルダーブレインがそれを妨害してて……》

 

「じゃあ向こうの頑張り次第ってことか」

 

適当な場所まで引き摺ってから座り込み、此処も絶対安全というわけではないがまぁ流れ弾が来ても最悪自分のシールドがあるから大丈夫だろうとまだ戦闘が繰り広げている三人を見る。

 

がウロボロスの方は恐らくそのまま押し切るだろう、代理人の動きはたしかに良いのだがエルダーブレインが攻めれているという状況で動きに精彩を欠いており。対してウロボロスはといえば苛烈とも言える攻撃で的確にダメージを稼いでいる。

 

半ば恨みも籠もっている感じの動きだがそれでも冷静で冷酷な部分もある所にモニター組はあの日のCUBE作戦の彼女はもしかしたら本調子ではなかっただかけと思わさせるほどだった。

 

「ハハッ!!ほれ、一対一でもこのざまか、エージェント殿!」

 

「クッ……!」

 

「これが貴様らが切り捨てた私だ、今更後悔した所で遅いがなぁ!!」

 

時間の問題だろう、ということが見て取れたので今度はキャロルとトゥーマーンの方を見るが向こうは攻めあぐねていた、エルダーブレインの攻撃が激しいというのもあるのだがそれ以上に彼女達にはあのシールドを破る術がないのだ。

 

いや、あることにはあるのだがチャージの時間が取れないので使えないが正しい、しかしそれはどうやらエルダーブレインの方も同じのようでキャロルが張る電磁シールドをサイドアームの機関砲では破れない様子。

 

「これマジどうするんですかマスター、ジャウカーンなら破れそうですけど、寧ろあの娘じゃないと破れ無さそうなんですけど」

 

「何とかチャージの時間を作れれば良いのだがなっ!」

 

「無駄……だが作戦は失敗している」

 

相変わらず表情は動かないし、声にも感情が乗っていないが彼女達的には確かに作戦は既に失敗している、Vectorを自分達側に引き込むということが出来なかった今、こうして戦う理由はないと機械的に判断したエルダーブレインは

 

「エージェント、撤退」

 

「な、しかし!」

 

「命令、撤退」

 

三度目はないぞ、そう感じ取った代理人は渋々と言った感じに承諾しウロボロスに対して距離を離すための攻撃を放ちエルダーブレインの側まで駆け寄る。仕留めきれなかったウロボロスは多少悔しそうな表情を晒すがあの代理人を此処まで押し込めたということでまぁ良いだろうと笑みを浮かべてから

 

「何だ帰宅の時間か?まぁ子供はもう寝る時間に近いからな、さっさと帰るがいい、私は気分がいいから見逃してやる」

 

興醒めだとばかりにシッシッというジェスチャーをするウロボロス、トゥーマーンはキャロルに良いのかと聞けば

 

「今の俺達の戦力じゃ倒しきれんからな、向こう帰ってくるならそれに越したことはない」

 

《待って、ねぇエリザちゃん!》

 

向こうが手を出してこないと分かればエルダーブレインは代理人を率いて電脳から撤退しようとした直前、ユノが呼び止めた。

 

何を考えているとナガンが止めようとするが彼女はそれを制止してから続ける。これまで彼女は様々な人形と人間と接してきたからこそ、そしてアーキテクトやD08を始めとした他の基地で鉄血と手を取り合えることを知った彼女だから次の言葉が出てきたのだろう。

 

《私達、戦うしか無いの?アーちゃん達みたいに戦いを止めることは……》

 

「愚問、今更止める理由はない、逆に問う、お前は何故そこまでの力を持っていながら人の味方が出来る、人の悪意を誰よりも受けているお前が、何故」

 

エルダーブレインにはそれが理解できなかった、彼女もユノのことはある程度調べていてだからこそ何故こうしてグリフィンの指揮官として自分達と戦っているのかが分からないでいた。

 

自分は父の敵討ちのために人類を、鉄血以外の存在を滅ぼさんとしているのに、何故と。そして問いかけられたユノは少し迷ってから答える、それはエルダーブレインに更に疑問をもたせるものだった、だって彼女は

 

《今でも人間を許せてるって気はしないよ、心の奥じゃ多分、憎んでる》

 

「ならば何故」

 

「でも、だからって全てを殺すなんて極端なことはしちゃいけない。手を繋げた人達もいるから、だから全部が悪いって考えは違うと私は思ってる……エルザちゃん、貴女とも手を繋げるって思ってる》

 

通信越しのはずだと言うのに確かに自分を見据えているという幻覚に襲われるエルダーブレイン、何故だという思考が止まらない、それと同時にもう一つの感情が湧き出始める。

 

「否定、するのか?」

 

《エリザちゃんの考えを全部否定するつもりはないよ、貴女に何があったかは分からないでもエリザちゃんがやろうとしていることは悲しすぎるから》

 

「……悲しい?理解できない、私にはお前が何を言ってるのかわからない!!撤退する、覚えておけルーラー、人間というのはどこまでも、愚かだということを……!!」

 

それまで一切動かなかった表情が戸惑いと怒りが混ざったものになり、声には確かな戸惑いを混ぜたもので叫んでから最後にそんな事を言ってからエルダーブレインは代理人と共に姿を消した。

 

かくしてVector救出任務は一応の成功を収めることが出来たのだが事後処理はまだ残っている、というよりも

 

「で、このウロボロスはどっから出てきたんですかマスター」

 

「とりあえず電脳を出てから説明してやる、お前も……あ~、どこが良い」

 

「素体を寄越せばいい、あるだろ?」

 

ある訳無いだろ、バッサリと斬られたウロボロスが何だとという表情を晒すまで数秒と無かった模様。




だから何でユノっちは隙きあらばビッキームーブし始めるの?

所で自分、ラクーンシティへのチケット貰ったんすよねぇ、いやぁどんな所なんやろなぁ

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