それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

603 / 794
弱体化ならとりあえずロリ化すればいいじゃんとはアーキテクトの言葉


ミニマムハイエンドモデル

走り回っていたのか、一人の少女がゼェゼェと肩で息をしている。だがその姿はこの基地では見たことのない姿、身長は良くて小学生の高学年位の黒色のセーラー服に身を包んだツインテールの彼女は息を何とか整えてから、自分の体を見てからこうボヤいた

 

「くそ、此処まで出力に制限を掛けられているのか……」

 

見た目通りの声でありながら、その声を聞けば一部の人形は彼女が誰なのか気付くだろう、そう、彼女こそ昨日Vector解放作戦で蘇りP基地の協力者という立場で収まった鉄血のハイエンドモデル【ウロボロス】その人である。

 

では何故彼女が子供のような姿で居るのか、それは昨日の話を思い出してもらえれば解決するだろう。ウロボロスは協力してやるから自分の素体を寄越せと交換条件を提示、それに対してペルシカが許可を下ろせば用意すという事になりユノが昨日の内に話したところ、向こうは彼女の交換条件を既に予想していたようで根回しは済んでおりあっさりと許可が降りた。

 

なのでアーキテクトにその事を連絡、その日の内に作成し翌日に電脳内まだ眠りこけていたウロボロスの返事を聞かずに

 

「さぁ移るのだ、この素体に~」

 

という事で彼女に用意されたのはこのロリ体型のウロボロス、通称【ロリボロス】だが勿論ながら起きて自分の体を見たウロボロスは激昂、動けるようになったと同時にアーキテクトに迫ろうとするが向こうは全力で逃亡を開始、しかし弱体化されて見た目通りの性能に抑えられたウロボロスに追いつける訳もなく見失い今に至る。

 

こうして走り回り分かったのは一欠片として戦闘を考えられていないという素体であるということ、当たり前と言えばそうなのだが此処まで露骨に弱体化されていると彼女としては

 

「電脳に引きこもってやろうか、まぁ良いか、自由に動けるだけでも……ここはどこだ」

 

自由に動ける、電脳内でも同じだったがやはり実体があると無いとは大いに違うのではしゃぎ過ぎたのだろう、辺りを見渡した彼女が呟いたのは迷子を表す一言だった。

 

自分がこの体で起きた時は間違いなくアーキテクトのラボだろう、そこから追いかけ回したのだから、と状況を一つ一つ整理していくのだが途中でムキになりすぎたのだろう、若干記憶が飛んでいる事に気づけば乾いた笑いをしてから

 

「うむ、はしゃぎ過ぎたな、何か目印になるものはないか?」

 

「お、居た居た、もうちょい高度下げて~」

 

「\だから何で私が運んでるの!!/」

 

さてどうしたものかと考えている彼女の耳に聞き覚えのある声とそうじゃない声、それからドローンの飛行音が届きその方向、後ろ斜め40°位を見てみればそこに居たのは一機のドローンとその上に乗っているオモイカネJrの姿。

 

ウロボロスとしてはオモイカネの現実用の素体を始めた見たので何だその姿はと思っていると向こうは高度をゆっくりと下げて視線と同じくらいになってからオモイカネJrがヨイショと立ち上がり

 

「やぁやぁ、迷子だろウロボロス?」

 

「喧しい、それよりもアーキテクト殿はどこだ、延々と呪詛でも吐かぬとやってられん」

 

「\アーキテクトの居場所を検索!/」

 

「おぉう、こりゃかなり激おこ、まぁとりあえず歩きながら話でもしようよ」

 

デフォルメされたAIキャラ【空挺妖精】の言葉に優秀なAIだなと感嘆の声を上ているウロボロスにオモイカネJrが提案すればどちらにせよヤツの所に向かう必要があるから良いだろうと基地の案内を兼ねて歩き出す。

 

それから数分後、無事にアーキテクトを見つけ出して

 

「という事でロリボディにしたのさ!」

 

「何がどういう訳だ、別に普通の姿で弱体化でも良かっただろ」

 

「え、何でそんなつまんないことしなくちゃいけないの?」

 

真顔で何言ってるのお前と言う感じの返事にブチッと切れてはいけない何かが切れた音がしたウロボロスはパチンと指を鳴らしてみればオモイカネJrを乗せた空挺妖精が彼女の隣に高度を下げて現れてから

 

「空挺妖精、ぶち当たれ」

 

「\神風ー!!/」

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

「あまって「避けるなよ!」しまっ、あいたっ!!??」

 

\成功ー!!/とはしゃぐ空挺妖精、軽く目を回しているオモイカネJr、涙目で額を抑えてうずくまるアーキテクト、満足げな表情で頷いているウロボロス、それを遠巻きに眺めているマシロと鶏たちの散歩中だったゲーガーは新たにウロボロスまで来たということで奴が馴染むのかと若干心配していたのだが今の様子に安心したような顔をしてから

 

「あの様子ならば問題は無さそうか、そう言えばアイツは会話に飢えているとか言ってたよな」

 

何かを思い出したゲーガーは動物達の散歩を終えてからウロボロスの元へと向かえば、牛飼い姿との彼女は始めて見た彼女は

 

「ククッ、何だその姿は」

 

「慣れれば中々に動きやすいぞ?まぁ良い、少し話したいことがあってな」

 

「む?私に益があるならば聞こう」

 

なら安心しろ十分に益になることだと前置きをしてから要件を話せば、二つ返事で了承、直ぐにでも向かおうとオモイカネJrの案内で来たのは医務室、ノックもそこそこに入室してしまえば先ず待っていたのは

 

「……ノックはするように」

 

「覚えていたら次からやろう」

 

面倒だなという空気を増々に答えてみればPPSh-41の鋭い視線がウロボロスを襲い、それから先程とは声は同じはずなのにはっきりと、しかもハイエンドモデルである彼女が危機感を覚えるほどに重い威圧を混ぜた声で。

 

「覚えてくださいね」

 

「……わ、分かった」

 

(怒ってますよねあれ、まぁ当然といえば当然ですけど)

 

(声だけでハイエンドモデルを怯ませるって相当よね……)

 

そんな一幕はあったがウロボロスが医務室に入り向かったのは一つのベッド、そこには病衣姿のクフェアが上半身だけを起こして本を読んでいた、まだ予定日までは一月ほどあるのだが今日からは医務室で過ごすことになった彼女はお見舞いも来るしノアもほぼ付きっきりで一緒に居たりするのだがこういった業務がある日は一人になることが多く、それでゲーガーはウロボロスに話し相手になってくれと依頼した。

 

余程集中して読んでいるのだろうウロボロスには気付いていないがそのお腹は誰が見てもはっきりと妊娠していますということが分かるレベルに大きくなっておりそれを見てただ一言

 

「人形が、人の子を宿す、か」

 

「え、あ、えっと……ウロボロスさん、でしたっけ?」

 

「話は聞いているようだな、お前が暇をしているということでその相手を頼まれたのだが……さて、何を話そうか」

 

「じゃあ、互いに自己紹介から、とかどうでしょうか?」

 

ならばそれからにしようか。そこから二人の雑談が始まる、ウロボロスが話し役でクフェアがそれに上手い具合に相槌や反応を示せば更に興が乗って会話を弾ませる二人の姿に、医務室の面々はとある感想が浮かび、業務を終えて帰ってきたノアが口にすれば頷くことになる

 

「何だかオメェら親子みたいだな」

 

「ならば私はお前を父上とでも呼べば良いのか?」

 

「へ!?」

 

「ふふ、一足先に子供ができちゃったみたいですね」

 

ぶっきらぼうでありながら誰よりも家族を大切にしている父 親(ノ ア)、常に微笑みを絶やさずに物静かで優しい母 親(ク フ ェ ア)、天上天下唯我独尊でありながら実は寂しがり屋の気質がある長  女(ウロボロス)、この家庭にこれから生まれてくる二人の子供、それを想像したPPSh-41は

 

「長女が次女をどう接するかが少し楽しみなんですけど」

 

「それ、本人の前で言っちゃ駄目だからね?」

 

医務長って結構お茶目な部分ありますよねと口にしなかったのはリベロールの優しさかもしれない。




ロリボロスちゃん状態だと戦闘能力全く無いけどまぁ基地の中でしか活動しないしええやろ!

ロリボロス
ウロボロス専用の現実世界での活動用ボディ、戦闘能力は皆無、大体小学生の高学年くらいの大きさであり、ぷにぷにホッペが特徴である。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。