それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
食堂での結婚記念日の祝いも終わり、ナガン達と中庭近くを歩いてたときに聴こえた416が酒を呑んだという報告、それがどれほどのことなのかはユノは知らないが周りの空気から多分、凄いことが起きちゃったんだろうなとは理解できた、と言うよりもその報告が来たと同時に自分を後ろに下がらせたので大体察した
だが、416といえばきちっとしており、完璧を自称する彼女は自身の不得手や弱点も把握している人形のはず、そんな彼女が自分がお酒に弱いことは知らないはずない、だと言うのに何故呑んだのか
「自発的ではないじゃろうな、誰が呑ませた、M16か?」
「いやいや、流石の私も呑めない相手に呑ませないっての!」
じゃろうなとナガンが答えてから416がいる方向に視線を飛ばす、どうやらゆらりゆらりと歩いてきているようだ、大変宜しくない、しかしだからといって迂闊に今の彼女を止めに入ってはいけない、何故ならば
「待ちなさい416、今の貴女は酔ってるの、大人しくしてなきゃだめなのよ」
「酔ってるわけないじゃない、私は完璧な人形、パーフェクトドールなのよ?」
「そうね、酔っぱらいは皆それを言うのよ、つまり貴女は酔っ払ってって待ちなさい、何もう掴みに掛かってあっ」
勇敢にも止めに掛かったAR15が飛ばされた、それはもう綺麗な投げ方をされた彼女は廊下に倒れることになる、まぁダメージは無さそうなので問題はないと思われるが投げられた本人は舌打ちをしつつ
「ていうか本当に誰よ呑ませたの!!」
「……ナーイーンー?」
ゆらりと歩を進める416の周りを囲む人形達、その中でUMP45は主犯を看破した。態度も雰囲気も表情も何一つそういった感じを出しては居ないのだがそこは伊達に彼女の姉を務めている彼女ではない、寧ろニコニコ笑顔過ぎて気付けたまである。
対して呼ばれたUMP9はと言うとニコニコ笑顔のままUMP45の方を向いてから
「そうやって直ぐに妹を疑うのはどうかと思うよ45姉!」
「うんうん、で?何したのかな~?」
「嫌だなぁ、416が喉が渇いたって言ったから(個人的には)お水(と思っている度数のものを)渡しただけだよ~」
「主犯見つけましたー!」
UMP45の言葉に全員の視線がUMP9に注がれる、そして次の瞬間、周りは解散という空気に変わる。という事で416にお酒を呑ませたのはUMP9、基本的に人畜無害ではあるのだがこの基地の彼女はふとした拍子にとんでもないことをしでかしてくれる個体であるらしい
しかもやることが絶妙に面倒事、勿論だが基地に損が出るようなことはしないし指揮官達に被害が出るようなこともしない、まぁ今回のは瓶妙なラインだが。ともかく彼女が主犯ならば責任も勿論彼女が取るべきだという空気に、UMP9は
「一人じゃ無理だから助けて45姉!」
「はぁ、分かったわよ。まぁ妹の不始末は姉の責任でもあるしね、とりあえず準備してくるから足止めしてね?」
「了解、UMP9、いっきまーす!」
こうして果敢にUMP9は酔っ払い416の足止めに挑むことになる、尚、先程まで止めようとしていた他の面々は既に観戦モードになっており誰一人助けに入ろうという者が居ないこれにはユノが
「えっと、良いの?」
「まぁ最悪こっちに来てもお主を投げようとかはしないし良いのではないか?おぉ、また飛ばされたぞ」
良いのかなぁと呟くが何か出来るわけでもないというのもあるので大人しくUMP9の奮闘を眺めることに。
それから二分半が経過、最早何回飛ばされたか分からない程に廊下に転がったUMP9、しかし頼りになる姉は未だに現れない、遅すぎる、一体何を準備してるのだろうかと起き上がりながらふと視線を動かした先、丁度廊下の曲がり角の部分を見れば。
「45姉!!」
待望の姉の姿に名前を叫ぶ、がどうも様子がおかしい、何故か彼女はその廊下の角から半身だけ晒して倒れた体制で自分を見ているUMP9を見つめるだけだ。あれ、助けに来たんじゃないの?と若干焦りながら立ち上がりつつ
「ナズェミデルンディス!ぬわっ!」
(なんて?)
どうやら予想外の展開に焦りすぎて舌が回らないらしいUMP9の言葉を上手く聞き取れなかったユノが首を傾げる。
しかし投げられようとも、声を掛けられようとも動こうとしないUMP45。そんな彼女にUMP9の脳裏に浮かんだのはあの時、準備のためにと戻った時、あれは本当は嘘であり、彼女は協力するなんて言っていたが実は
「オンドゥルルラギッタンディスカー!!!」
「……」
裏切りも何も主犯は貴女一人じゃないという感情と、焦りすぎでしょという感想を抱きつつニコリと微笑を浮かべれば何をどう勘違いしたのかUMP9は縋るような声で
「45姉は、協力してくるって」
「馬鹿ね、二人で行っても酔っ払ってる416に勝てるわけないじゃない」
穏やかでありながら冷たい声でそう告げてから踵を返して去っていく彼女にUMP9は416に身体全体でタックルしてから去っていったUMP45を見つめ
「そんな……そんなぁ、うわっ!!」
「何じゃこの茶番」
「9ちゃん、そう言えばこの前からRFBから特撮?っていうののDVD借りて見てたような気がする」
因みにUMP45も見てた、正確には一緒に見ようよとUMP9に誘われて見てたので彼女に付き合う形で演じていたらしい。尚、UMP9本人にそのつもりはなく割とガチで助けて欲しいんだけど!?となっているのは誰も知らない。
そして協力者が居なければUMP9はその後あっさりと突破されて416はフラフラと赤い顔をしながらユノの所へ。クリミナは思わず警戒に入るが杞憂で済むだろう、というのも416は来たと思えばその場でペタンと座り込み
「……しきかん、わたしはかんぺきです」
「うん、知ってるよ。416は何時も努力してて皆のために頑張ってくれてるって」
「えへへ……」
ユノがそうやって褒めればにへらと言う笑みを浮かべる。彼女は常に完璧を目指し、努力をし、日常生活でも優等生といえる姿勢を見せる、しかし今の彼女はまるで幼子が親に褒めてほしいという態度にしか見えない。
見えないというよりも、その通りだろう、その証拠に物凄く遠慮気味に頭を差し出している。
「えっと、こうかな。ほらおいで、416だってたまには甘えたいんだよね」
「なんじゃこいつ猫か、猫だ」
「凄く和みますがこれって9は飛ばされ損では?」
撫でられれば更に表情を普段とは考えられないほどに緩ませる416を見てナガンとクリミナがそれぞれ感想を漏らす、そしてそれは周りも思ったし最後にUMP9に視線が行けば
「これが悪因悪果というやつだね!」
「いや、自分で言うのかよ、しかもなんで笑顔なんだよ」
こうして今度こそ結婚記念日は幕を閉じるのであった。
余談だがこの日から極稀に酔っ払い416が現れてはユノを探すようになったとか無かったとか、まぁ本人には記憶がないので真相は不明ではある。
なんで甘えん坊なのかって?そりゃお前ロリスキンがあるからだよ(謎
UMP9とUMP45のやり取りで例のサイレンが聴こえたら手遅れです、私は書いてて聴こえました