それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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不調が治ったから絶好調である。


フラフラVectorさん

今日も今日とてこの基地のため、クフェアのため、ユノの為と色々と開発が進められるアーキテクトのラボ、基本的に主任であるアーキテクトの思い付きが提示されてそれに対して88式と89式が議論をしてから作業に取り掛かるのだが今回は違った。

 

というのもアーキテクト本人に依頼をしてきたからだ、その相手はVector、そしてその内容を聞いてあのアーキテクトが微妙な顔を晒し

 

「これマジで欲しいの?」

 

「えぇ、本気よ」

 

真顔で返されるとそれ以上の反応ができないので困るのだけどと思いながら注文されたそれを見てから、再度真顔のVectorを見つめて、もう一度それを見る。

 

見てから、彼女は思う、やっぱりこの基地のVectorはよく分からないと、ともかく向こうは本気とのことなので作ってもまぁ悪いようにはされないよねと判断し了承すればVectorは嬉しそうな笑みを浮かべてから

 

「じゃあ、頼んだわ、あっと、報酬は前払い?」

 

「んや、完成品を見てからでいいよ~」

 

「分かったわ、じゃあ楽しみにしてるから」

 

そう告げてからラボを出ていくVectorを見送ってから、アーキテクトはそれにしてもと向こうから指定された日時を思い出す、今から設計したとしても余裕で間に合う時間なのでそこは問題ではないのだが、何故

 

「ノアっちの定期診断の日なんだろ?……いやいや、まさかそんな」

 

ノアがD08のドリーマーのところに定期診断に行く日までにこれを作ってくれ、そのオーダーから理由を推測してしまうがいくら彼女と言えどそんな事ないでしょと笑い、んじゃま頑張りますかと設計図の書き起こしから始めるのであった。

 

そんなVectorだがアーキテクトに頼み事を済ませてラボを出てからは特に目的もなくフラフラしていた、エルダーブレインからの干渉をされていた頃は動くのも億劫であり任務の時以外は自室で籠もる日々だったので久し振りにこうして出歩けるようになったのはわりと嬉しいらしい。

 

更に言えば常に聴こえていたあの雑踏とも言える思考の波が聞こえなくなったからなのか周囲の音も落ち着いて聞けるようになり、なんてことない鳥の囀りでも思わず感動してしまう、だが同時にあれが聴こえなくなったという事実はそれはそれで寂しいなと思ってしまう自分がいることに軽く笑みをこぼしてしまう。

 

「あ、Vector」

 

などと思っていると背後から声を掛けられて振り向けばユノとクリミナの姿、どうやら夫婦で散歩をしていたらしい、目立つようになったお腹と言えど全く動かないのはそれはそれで毒となる、なので一日の決まった時間を誰かの付き添いで動くようにしているらしい、無論コレはクフェアもであるが彼女はそろそろ絶対安静を言い渡されるだろう。

 

「おはよう、指揮官、クリミナ。今日の散歩かしら?」

 

「うん、って言ってもそろそろ休憩しようと思ってたけどね」

 

「貴女も散歩でしょうか?」

 

「まぁそんなところね、やっと体調も回復したから」

 

その言葉にあぁと納得する二人、なので邪魔するのも悪いかなと思ったのだがVectorは折角だから貴方たちの休憩に付き合うわよと近くのベンチに腰掛ける。

 

Vectorは二人と話す事が最近なかったなということを思い出したらしい。

 

「よいしょ、ふぅ」

 

「不思議なものね、今まで命を殺めていた私が、こうして新たな命の誕生に立ち会えるかもしれないっていうのは」

 

「どうしたのですか急に、それにそれを言ったらこの基地の大半は同じことを言えてしまいますわ」

 

それもそうねと右手を見つめながら答える、今でも彼女はあの日、レイラを貫いた時の感触をしっかりと覚えている、いや、他にも過去に殺めてきた者たちの感触を、顔を、言葉を、全てとは言えないかもしれないが殆どを覚えている。

 

恨み言を吐かれた、呪われろと言わんばかりの言葉も聞いた、だが中にはお礼を言われたこともあった、たった一撃、一瞬の出会いの暗殺者にその一言で人生が語られていた、今日まで奪うことしか出来なかった、否、今でも奪うことしか出来ない自分が、まさか配属された基地で二人の生命の誕生を見ることが出来るとは思いもよらなかったというのが本音である。

 

儚げな表情のVector、それは二人にしてみれば初めてとも言える表情であり思わずなんて声をかけようかと悩んでいるとハッとした表情になってから

 

「所で、子供名前は決まってるのかしら?」

 

「え、あぁ、名前?」

 

「まだ確定はありませんわ、ですがいくつか候補は」

 

子供の名前は妊娠が発覚してからずっと考えていたにはいて、候補は幾つも出てくるのだがどれにしようかという段階らしい。

 

今日まで様々なことに、更に言えば少し特殊とは言え子供、アニスたちにも名前を授けたことがある二人だが自分の生まれてくる子供となると中々どうして決まらないらしい、これにはVectorもなにか助言をと思ったが既の所で思い留まる。

 

「(これは二人の家族のことですし黙っておきましょうか)ふふっ、まだ時間はあるのだからゆっくりと考えたほうが良いわよ」

 

「そうだね~、そう言えばクフェアちゃんとノアちゃんは決めてるのかな?」

 

「私達がこうして悩んでるとなると向こうも相当悩んでそうですわよね……特にノアはすごく頭を悩ませてそうですわ」

 

クリミナの言葉に三人の頭の中ではノートを前にペンを持ちながら云々と頭を捻っているノアとその後ろでお腹を撫でながらそんな彼女を見つめて微笑んでいるクフェアの姿が浮かび上がる。

 

と言うよりもそのまんまの光景がありそうだなぁと思えるので思わずフフッと笑い、その後も三人は雑談を楽しんでから

 

「さて、じゃあ私はもう少しフラフラしてるわ、二人もまだ散歩するつもりでしょうけど、気を付けてね?」

 

「ありがと、じゃあねVector」

 

「何だか、初めて見た気がしますわ。あんなに日常を楽しんでる彼女を見るのは、いや、今までも楽しそうではあったのですがね」

 

彼女の言おうしていることはユノにも分かる、何だか今のVectorは憑き物が落ちたような感じがする、そしてだからなのか今はどれもが新鮮で楽しいという雰囲気を醸し出しているのだ。

 

だが、同時に今の彼女は妙な所でブレーキが壊れているとも言えた、その一例が冒頭の開発依頼であり、ノアの定期診断の日、彼女はいつものように飛んでいこうとした時にVectorに流れるように拉致られて彼女が開発依頼した車に載せられた、のだがその外見があまりにあんまりだった。

 

「なんだ、これは……」

 

「モナカ型の車、【モナカー】よ。ふと思い付いたのよ、いえ、RFBの言葉を借りるならば電波を拾ったと言えば良いのかしら」

 

いや、わっけ分かんねぇよ。尚、この日はこの車でノアを送った後に余程嬉しかったのか、各地区に乗り回して結果翌日のグリフィンの広報記事には爆走するモナカと言うタイトルで記事に載ることになった。




子供の名前は【ユノ】という名前をペルソナ3のアナライズ役の子から実は取ったというのがヒントである。

『モナカー』
元ネタはお空のエイプリルフールのあれ、因みにコレ書いてる時に延々とあの歌を聞いてたからそろそろ脳内がやばいことになってるお茶うま!うっ秩序……菓子うま!
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