それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
何時だったか、アニス四姉妹の末っ子と言える立場であるディアナの事を好奇心旺盛な子猫、と紹介したことがあっただろう。
では他の三人はそうではないのかと言えば、彼女達もまあ子猫である、というよりも四姉妹全体で見れば彼女達全員は誰が見ても子猫みたいだと口を揃えて言う。例えばある日、KS-23が中庭にて猫じゃらしで猫たちと遊んでいるときのことだった、それはもう上機嫌で遊んでいるとふと視線を感じそっちを向けば
(うずうず)
(ありゃ、クレアか?何してんだアイツ)
その間も猫じゃらしが取られないように動かしているのだが、右に左にと素早く動くそれをクレアは遠くから目で追い始め、次第に顔を、更には姿勢を低くして、とくればKS-23も何をやってるかは気付く、気付いた上で
(もしかしなくてもあれって猫じゃらしに反応してるよな、と言うかこのままだと飛び込んでこないかアイツ)
なので試しに止めてみると、明らかに残念な表情をされた、それから動かしてみるとやっぱり追い始める。なるほどこれは面白いとニヤリと本人的には優しい笑み、第三者から見ると狂犬のような笑みを浮かべてからクレアに視線を飛ばせば、向こうも視線に気づいたのかKS-23に視線を飛ばす。
交わる視線、流れる沈黙と緊張感、いつの間にか現れていたWA2000がその空気になにか起きるなと察して猫を回収し終えたタイミングで、ピンッとKS-23の持つ猫じゃらしが上にはネタと同時に
「にゃああああ!!!」
「(はっや!?)だがなぁ!」
KS-23が驚く速度で踏み込んできたクレアだったがその手が猫じゃらしの先端に当たるかどうかのタイミングでKS-23が避ければ、そのまま地面に着地、だがそこで固まることはなく、猫のように着地の衝撃を殺して体を捻り再度飛びかかる。
が、勿論それも予測しているKS-23はひらりと回避、(久し振りに子供と遊べているという喜びからの)笑みを浮かべながら着地したクレアを見れば向こうも、何時でも飛びかかれる体勢のままKS-23を見つめて楽しげな笑みを浮かべ、数十秒のにらみ合いから、地面を蹴り……
「うーん、いっそ清々しいくらいに子猫にゃ」
「あら、KS-23と遊んでいましたのね、ふふっ、確かにこう見ると子猫ですわね」
どうやら彼女が起動したと言うことで探しに来ていたらしいクリミナがそう答えれば、IDWはクレアだけじゃないけどにゃと少し前を思い出す、いつだったか、救護室の猫たちにリラックスしてもらおうかとマタタビを与えていた時、偶々手伝いに来たのだろう【ビビ】がやってきたのだが、初めて見たマタタビをつい好奇心から嗅いでしまい、結果
『おねーちゃん、だっこ』
『はいはい、マタタビでこうなるって本当に猫じゃない』
他の猫と同等にリラックスモードになり収まるまで近くにいる人形に抱っこを要求したりゴロゴロと床に転がったりしていたらしい、その話をWA2000から聞いたIDWとしては此処まで来るとどこまでそれっぽいのか検証したくなるにゃと思ったのは記憶に新しい。
ディアナは言わずもがな、今日も大福を追いかけていたり、ユノの側でお昼寝をしてたり、と思えば今度は屋上で丸くなってたりとしているし、四姉妹のリーダーであるアニスも好奇心で様々なもの、特にアーキテクトのラボにある彼女が安全だからと野ざらしにしている開発品にちょっかいを出したりすれば急に起動しその都度驚いて
『ふぅぅうううう!!!!???』
なんて威嚇をしていることもある、要は四姉妹全員が見事に子猫なのだ、しかしそれを本体たるルピナスに話せば四姉妹のそんな行動に困惑の声と表情をしてから
『いや、私は猫じゃないし、しっかりしてるし』
『ルピナスも対して変わらない気がするけど』
『ステアーに言われたくないんですけど!?』
そこから始まる両者の激しい言い合いを困った感じに見つめているシャフトは思う、多分二人共同じじゃないかなぁと、だからこそ仲がいいのだがそこは言わないだけの空気の読み方は心得ている、尚、シャフトもそんな姉二人に影響されたのか割と猫っぽい行動をしているのは本人だけ知らない。
「へへっ、中々やるじゃねぇか……」
「ぐぬぬ、絶対に触れてやる~!」
ふと声に聞こえた会話にIDWは思考を想い出から浮上させてみれば子供と遊べるというのが本当に嬉しいのだろう増々普通の子供が見れば泣き出しかねない笑みをしているKS-23と向こうも向こうで思いっ切り遊べているから楽しいという感じの笑みを浮かべているクレア
どうやらあれからずっと猫じゃらしでの攻防戦を繰り広げていたらしい、この場合、子供の体力に振り回されても息一つ上がらないKS-23を凄いと思えば良いのか、それともヤークトフントと言う特殊部隊の一人であるKS-23から掛け値なしの賞賛の言葉を引き出したクレアを凄いと思えば良いのか、素直に両方にそう思えば良いのかと考えているとクリミナがふと視線を動かしたと思えば、あらあらと声を出す。
なので彼女も同じ方向、廊下の奥を見てみれば6つの光がそこにあった。何だあれはとIDWが思いながら目を凝らしてみれば正体はすぐに分かる、そこに居たのは三人の同じ顔、違いを上げるとすればリボンの色、つまりは残りの三人が集まってきて少し前のクレアと同じ様に猫じゃらしの動きを目で追ってスタンバイモードなっているのだ。このままKS-23が気づかずにクレアと攻防戦を繰り広げれば次に待ち受けるのは三人の強襲、そうとなれば残りの三人は満足に遊べずにこの戦いは幕を閉じてしまうだろうと思ったIDWは徐に立ち上がり
「やれやれ、流石に四人一気にはKS-23と言えど無茶だろうにゃ」
「あたくしも手伝いましょうか?」
「オメェまで動いたら全員そっちに向かうが宜しいかにゃ?」
容易に想像できる光景にそれは、嬉しいですけどちょっと厳しいですわねとベンチに座っていることにするクリミナを確認してからKS-23が持ち込んでいた予備の猫じゃらしを手にとって、二人とは少し離れた位置に立ってから廊下の先、スタンバっている三人に向けてヒラヒラと揺らしながら
「遊んでやるから全員来るにゃ」
「もぉぉぉぉらったぁぁぁぁ!!」
「はい残念賞にゃ」
アニスの突撃を皮切りにビビが、ディアナが飛び込んできてIDWの持つ猫じゃらしに触れようと挑戦してくるがスキル増々の彼女が持つ猫じゃらしは強敵であり、数十分という中々に長い攻防戦の末、最後には
「はぁ、はぁ、へへ、逃げ切りだ」
「なぁにへばってるにゃ、まぁ久し振りにいい運動にはなったにゃ」
にしてもとIDWは軽くストレッチしながらクリミナの方を見れば彼女と、ひょこっと現れたユノが芝生の上に座っており、そんな彼女の前には四姉妹が子猫がするような感じに纏まって安らかな寝息を立てていた、それを見てから最後にポツリと
「やっぱ子猫にゃ」
「えぇ、ですが自慢の娘達ですわ」
「なぁ、ちょっと撫でていいか?」
「起こさないようになら良いよ~、あ、ほっぺたとかオススメだよ、すっごく柔らかい」
今日も今日で穏やかな一日が過ぎていき、翌日ペルシカが訪ねてきたと思えば、アーキテクトのラボにユノとナガン、それとM4A1を呼んだと思えば
「やっと君たちAR小隊のMOD化の計画が進んでね、先がけとしてM4、君から施そうと思ってる」
それは待ちに待った報告、そして彼女はMOD化に挑むのだがそこで彼女は……
『貴女は、誰、いや、私?』
『えぇ、でも貴女であって貴女じゃない』
世界線が交わることがあるこの基地が故に起きた、決して出会うことのない二人のお話が始まることになる。
次回、M4A1MOD化話、この世界線だからこそ起き得る、ちょっと特殊な交わりのお話