それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
座標【V6J69-HJYRV】凡そ二年前に自分達が任務のために向かい、そして記憶を失い、散り散りになり逃げ去った場所、若干強めの傾斜の部分で木に手を掛けてM4がその地点を見つめる、あの日、自分の記憶が見せてくれたあの光景を確認し、計画を探るために彼女達は此処に帰ってきた。
《こちらナデシコ、キャロルだ。作戦内容の確認を行う》
少々感傷に浸っている所にキャロルの声が聞こえ意識をすぐに戻して通信に集中する、今作戦は上記にも書いたがAR小隊があの日、この場所で何を見つけたか、それを再度見つけ出すと言う物、しかしあの日と違うのはAR小隊全員が大幅に強化され、RO635という味方も増え、P基地からのバックアップも受けられるということ、自分達も防衛プログラムは強化してもらったが、もしまた記憶が消されるようなことがあったとしてもナデシコ側で保存される、という二重の構えも取ってある。
《以上だ、何か質問はあるか?》
「こちらAR-15、周囲の鉄血の様子は?」
《現状では確認できない、どうやら少し前に掃討作戦があったらしいな》
なるほどねと同じ様に木に手を掛けて呟くAR-15、服装や装備に若干変更があったがそれでもMOD化した自分とかに比べれば大人しい変化で済んでいる、ならば他の面々はどうなのかと思うだろう、なので紹介していくことにする。
まずはこの斜面で器用にしゃがみ込んで雪だるまを作り始めているSOPMODⅡは服装自体は黒いロングコートが追加されたくらいで対して変化がないように見えるが右腕の新たに装備された義手が目立つ、なんせ紅いのだ、見える範囲ですら紅い、とにかく紅い、コレ目立つだろと思うくらいに紅い、その先端には今彼女が展開しているようにクローがあるのだがコレも紅い、多分使う頃には赤黒いとかになるだろうけど、敵の血は目立たなくなるだろうなとかそんな事を思ってしまうほどに紅い、あとちょっとデカイ。
続いてRO635は黄色いあのレインコートは変わらず、その下に作戦時にはボディアーマーが装備に追加されて、両耳にはそれぞれ白をベースとした円形の機械が装着されている、これは通信機とかではなくオルギアモードの際に排熱と冷却を行う装置で、コレがなかったらオルギアを使った後のRO635は機能が完全停止になるほどに内部の熱が上昇してしまうらしい。
では最後にM16はと言うとM4の隣で『白く』なった髪先を弄りながら
「掃討作戦ねぇ、まぁお陰で楽に潜入できるからいいっちゃ良いか」
「姉さん、身体に不調はないんですよね?」
「ん?おう、まぁ髪とか肌とかが若干白くなっちまったがそれだけだよ」
そう、MOD化の際に説明にも合ったがノアと同じ技術を全てではないがそれでも半分近く組み込まれ、結果として負荷だと思われるが髪先から数センチと肌が白くなり、目の色も金色に変化してしまった。
これには即座にメディカルチェックが行われたが結果は異常なし、その後の試験運用も異常が出なかったので今作戦にも無事に参加できたのだがM4としては気が気でないと言うものである。
「分かりました、こちらAR小隊、こちらからはもう特に質問はありません」
《そうか、では作戦を開始してくれ、こちらからは逐一その地域と鉄血の情報は流す》
《こちらユノ、皆気を付けてね……ナデシコでもM4が言う研究室がどこの建物なのかが探れないのがちょっと引っ掛かるんだ》
「そればかりは地道に探っていくしか無さそうですよね、せめて作戦途中の行動記録さえあればまた変わったのですが」
今回、この場所を調べるにあたって問題となっているのがコレ、任務の記憶がごっそり消えているということは自分達が最後に調べた建物すら分からない、しかも極秘任務だったので記録などは一切ないので総当りに近い捜索になる、一応ナデシコからも怪しい建物がないかと調べては見たのだが良い結果は出なかった。
だが、とM4はこのことに関してはあまり後ろ向きには考えていなかった、というのもあの日もナデシコという強力なバックアップはなくとも遂行は出来ていたはずなのだから、なので
「大丈夫ですよ、あの日と同じように、私達はあの施設を見つけます、そして」
「今度こそ、自分達が何を見たのか、何を知ったのか、黒幕は誰なのかをはっきりさせる、だろ隊長殿?」
「宝探しってやつだね!いいね、テンション上がってきた!」
「SOP、あまり騒がないで下さいね、一応隠密作戦でもあるんですから」
「宝探しね、見つかるお宝は喜ばしいものじゃ無さそうだけど、まぁ良いわ、探し当ててあげるから」
それぞれの決意表明みたいな言葉を聞いたM4はフフッと笑みを零す、なんて頼もしい小隊員なんだろうかと思えば少しばかり不安が巣食っていたメンタルに余裕が生まれる、彼女達がこうして気合を入れているのに自分が弱気になるなんてどうかしている。
M4はそっと全員に視線を送る、そうすれば彼女達もそれに応えるようにM4を見て一つ頷く、準備は万端だ、それを確認してから通信機に手を当てて
「こちらAR小隊、これより【ディープダイブ】作戦を開始します。行きましょう、皆」
その言葉と同時にAR小隊は斜面を駆け下りていく、あの日と同じように、だが違うものを確かに感じながら。
道中、何度か鉄血の哨戒を時に隠れて躱し、時には静かに仕留め、先ず彼女達が向かったのは鉄血の司令部、M4が考えたのは過去の自分達がやりそうなこと、その内の一つが司令部から情報を抜き出し目的のものを探したのではないかという推測だ。
結果を言えば
「出てきた!これじゃない?」
「……6番?そんなセーフハウス無いわよ」
「え、あれ~?」
AR-15の言葉にこの辺の地図を見てみるが確かにそのようなセーフハウスはない、しかしSOPがヘマをするようには思えないので何か見落としているのではないか、それともとナデシコに通信を入れる
「ナデシコから何か分かりませんか?」
《待て、今オモイカネが調べている、どうだ?》
《それセーフハウスの番号じゃないかも、第6番倉庫、コレがそうじゃないかな、ただその地図には存在が記されていないやつだね》
オモイカネの言葉から地図を見て見るが確かにそのような倉庫は存在せず、向こうから来たホログラムマップの位置と照らし合わせても全く一致しない。
「隠し倉庫ってやつか、如何にもだなおい」
「どうするM4」
「それしか今は手掛かりがない以上向かうしかありませんね、ナデシコ、それでいいですか?」
こうして彼女達は隠し倉庫、第6番倉庫に向かうのだがそこには警備らしい鉄血の存在もなく、何ら苦労もなく倉庫内に侵入、一度クリアリングを行うが何も気配がなく、これにはM16が警戒をしつつも思わずと言った感じにこの倉庫にあるはずの研究所への入り口を探しているM4の側に向かい
「不気味なほどに静かだな」
「オールクリア、それにそれらしい入り口も見かけないわね」
倉庫内を一通り調べてみるがAR-15が言うようにそれらしい入り口も、機械も見当たらない、しかし倉庫と言うには物が置いてあるわけでもなく、置くような棚も見られないのでここが怪しいのは確かなのだがとそれぞれが考える中、M4があの時の光景を思い出しつつポツリと呟く
「……扉、いや、地下?」
「え、床ぶち抜いてみる?」
「隠密ですからね?」
ROからの指摘にぶぅと頬を膨らませて抗議するSOPを尻目にM4は床を等間隔で叩いていき、そして彼女は思わずなんてベタなと呟いてから全員を集めて、自分の足元のタイルを叩いてみれば、他のと違い軽い、この下は空洞ですよと教える音が響き、それからM16と協力しタイルを捲ってみればそこにあったのは
「ワァオ、まるでアニメとかで見る隠し方だぁ」
「本当にすげーベタベタな隠し階段だな」
「ですが反応は一切ないですね、恐らくはM4みたいにアナログな方法じゃないと見つからないかと」
「無駄にハイテクね、さて、この先にあるのよね?」
「恐らくは。RO、先頭を、姉さんは最後尾を頼みます」
陣形を組む隠し階段を降りていき、数分と長い階段を降りればあったのは扉、そしてその扉はM4には見覚えのあるものだった。あの時、記憶の中で開いたのと全く同じ物、とすればこの先にあるのは間違いなくあの部屋で、自分達が探し求めた宝物がそこにあると。
潜って見つけた沈没船、中に眠るお宝は呪われてないかな?