それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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なんで私こんな立ち位置なのにゃ?


酒は飲んでも呑まれるなにゃ

突然だが、AR小隊は普段は問題無し(当社比)の小隊であるがそこにお酒と言う概念を放り込むとあら不思議、一気に問題児小隊へと変貌する

 

具体的にはM16を除いた三人が酷く酒癖が悪い、それはもう酷い。例えば常識人(当社比)で知られている隊長の【M4A1】は日頃やはりストレスが溜まるらしく酔うと絡み癖が発揮されかなり面倒なキャラに変貌する、被害者はM16だけなのが救いかもしれない、また【M4 SOPMODⅡ】は絡んでくるのはそのままに笑い上戸になり酔っている間はほぼ笑いこけながら子犬のように絡んでくる、しかも酔ってるから力に加減がない、指揮官が相手した日には朝日が拝めるか非常に怪しくなってしまう

 

そして最後、【ST AR-15】彼女に関しては今回は見てもらったほうが早いだろう、これは休日の前日からM16(大戦犯)主催でAR小隊が飲み明かした結果が招いた、一人のSMGの奮闘物語である、後に彼女は疲れ切った顔でこういった

 

「頼むから小隊全員で飲むのはやめろにゃ、もしくはもう一人くらいはセーブしながら飲めにゃ」

 

その日、【IDW】は休日というのもあり何処で日向ぼっこするか、はたまた適当な所でのんびり寝てるかと考えながら廊下を歩いていると前から妙にフラフラなAR-15の姿

 

いつも着ている上着はなく、いつもの澄まし顔でありながら妙に赤い彼女はIDWに気付くと丁度良かったとばかりに声を掛けてきた

 

「IDW、指揮官見なかったかしら?」

 

「指揮官にって酒臭いにゃ……何時から呑んでるにゃ」

 

「えっと、昨日の夜からよ、M16が偶には皆で呑もうとか言い出してね」

 

は?と思考が止まる、夜、の具体的な時間は分からないが少なくとも数時間に渡り飲み明かしているのは間違いなく、それを知ったIDWはマジかよコイツという顔でAR-15を見る

 

そして思う、この状態の彼女は何故指揮官を探しているのかと、なので

 

「んで、酔っぱらいは何で指揮官を探してるにゃ」

 

「酔ってないわよ」

 

「ああ、はいはい、分かったから教えるにゃ」

 

「決まってるじゃない、(一晩自室で)愛でるのよ」

 

会わしちゃ駄目なやつにゃこれと確信するIDW、それくらいにAR-15の目が悪い意味で据わっていた、しかも酔っぱらいの決まり文句まで言われれば意思は確固たる物になる

 

となるとするのはこの酔っぱらいの酔いが覚めるまで相手をするか、何とか自室に押し込むかの二択でありとりあえず前者を選んで見る

 

「愛でるって、AR-15は指揮官を何だと思ってるにゃ」

 

「妹よ、それ以外に何かあるのかしら」

 

「真面目な顔で何を即答してるんだにゃ、このアサルトライフル……」

 

「可笑しな事を言ったつもりは無いのだけど?指揮官だって甘やかされるの好きじゃない、だから愛でるのよ」

 

「えぇ……」

 

本人は本気でそう言ってるからタチが悪く、思わず困惑の声が口から溢れる。対して向こうはなぜ困惑されているのか理解できずに不思議そうな顔でIDWを見つめる

 

両者の間に流れる何とも微妙な空気、ボリボリと乱暴に髪を書いてからIDWは口を開く

 

「あ~、その理論はどうかと思うにゃ」

 

「……?指揮官は甘やかされたい、私は指揮官を(グデグデになるまで)愛でたい、そこに何の違いがあるというのかしら」

 

「違うのにゃ!!」

 

「何がどう違うというのよ」

 

「健全と不健全くらい違うにゃ!!」

 

「妹にそんな邪な感情を抱く訳無いでしょ」

 

声を荒げながらツッコミを入れるIDWに対して淡々と切り返すAR-15、これで酔っているのだから恐ろしい話である

 

このままでは埒が明かないと、彼女は使った場合はどうなるか分からないから切りたくなかったカードを切ることを決断

 

「そもそもにゃ、今指揮官はPPKと買い物に、待つにゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

「何で止めるのよ、会いに行くの、止めないで」

 

「酔っぱらいを野放しに出来るわけ無いだろいい加減にするにゃ!!」

 

言い切る前に行動を開始してIDWの横を過ぎていこうとするAR-15の腰に捕まり引き止めるIDW、だからこれは言いたくなかったにゃ!と後悔するも遅いので兎に角この酔っぱらいを止めなければと渾身の力を込め動きを阻害する

 

がそこは16Lab特別製の戦術人形と通常の戦術人形、ズル……ズル……と言った感じにIDWが負け始める

 

「だから酔ってないって言ってるじゃない」

 

「それは酔っぱらいの常套句だって事を理解するにゃ!」

 

(このままじゃ本気でマズイにゃ、今回の買い物だってあのPPK(ヘタレ)がまた気張って誘い出したやつだから台無しになるとどうなるか分かったもんじゃないにゃ!)

 

何だかんだ言って同僚思いのIDW、しかしそこの酔っぱらいには関係のない話であり、しかも徐々に力が強くなっていく

 

IDWも負けじと抵抗するがやはり素の能力差は如何ともし難く、いよいよ駄目かと思った時、メイド服の救世主が現れた

 

「廊下が騒がしいと思えば、何をしてるのですか」

 

「G36!?丁度いいにゃ、その酔っぱらいを止めてほしいにゃ!」

 

「邪魔をするというの、私は指揮官を愛でたいだけなのよ」

 

「なるほど、事情は把握致しました、申し訳ございませんがお嬢様の買い物の邪魔はさせません」

 

スゥッとメイド、【G36】はそこそこ有ったはずの距離を音もなく詰めたと思ったら失礼!と言う掛け声と共にAR-15の顎を揺らし地面に伏せさせる

 

幾ら酔っ払っていたとは言え、あのAR-15を一撃で落としたメイドに軽く戦慄し顔が引き攣るIDW、対してG36は寝ているAR-15を背負い

 

「では、彼女を自室へと運んでまいります」

 

「わ、分かったにゃ、それと助かったにゃ……」

 

「いえ、これもメイドの務めですので」

 

クールに去っていくG36を見送りつつ、IDWは呟く、それはもう疲れに疲れた声で

 

「……今度から酒を飲むときはああならないように気をつけるにゃ」

 

酒は飲むなとは言わない、飲んでも呑まれるなとは言いたい




キャラ崩壊が酷いけど酒のせいだから!お酒が原因だから許して!!

あ、G36の指揮官の呼び方が違うのは明日の話で書きます。まぁはい、このメイドに割りと独自設定ぶっ込んでますはい

という事でリアル司令部 今朝のデイリー製造でやっと来たよメイドさん

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