それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
P基地、ブリーフィングルーム。アンノウンが撤退後は追撃でもあるかとも思われたが特に無く無事に帰還したAR小隊は、先に部屋に来ていたキャロルが彼女達に気付けば
「AR小隊、全員帰還しました」
「とりあえず、無事に帰還できて良かったと……言える状況ではないか、報告は少し待て、もうすぐユノと祖母上が来るはずだからな」
「結局呼んだのか、まぁ当たり前か」
ヨイショと疲れたように椅子に座るM16、その隣にもっと疲れてますという雰囲気を醸し出しながら座り込むのがRO635、オルギアを、しかも試運転無しで使ったということもあり相当消耗しているらしい。
続くようにM4達も座るのだがその空気はやはり重いもので、キャロルも腕を組み座ったまま何かを考えているのか話そうともしないので物凄く居心地悪いなと思っているとまた扉が開かれ
「お待たせって、何か、凄い堅い空気なんだけど」
「……報告は聞いておる、早速始めたいがよいか?」
既にアンノウン、もとい【ユノ】のクローンのことは報告に上がっていたようでナガンの表情は堅く、直ぐにでも話を聞きたいという空気を抑えもしないでそう聞けば、ユノを除いて全員が頷き立ち上がってから今作戦での報告を始めていく。
「以上が今作戦での報告となります」
隠し倉庫にあった研究室で見つけた資料、その後のアンノウン小隊の襲撃、そして最後の一人が見せた急成長とも言える進化、それら全てを話してからM4がそう締めて周りを見れば、やはり深刻な表情が広がっていた、勿論クローンが量産されてしかも一部は兵士として使われているかもしれないというのを聞かされればこうはなるだろう、ユノやSOPの二人は特にその部分での衝撃が大きい。
しかし残りの面々は違う部分で不味い状況になりつつあると理解していた、それがさっきも書いた一人の急成長、思考が成長するとかならばまだ良かった方だったのだが、撤退した一人はM4に使われている技術であるディストーションフィールドを再現し使用した、それはつまり
「今後も迂闊に戦えば、更にこちらの技術が吸収される……」
「だけどよ、だったらSOPのアンカークローや、ROのオルギア、私のコンテナやM4のグラビティブラストだって危ないはずだろ、なのになんでディストーションフィールドだけだったんだ?」
M16の疑問も最もではある、特にM16の武装コンテナに関してはコレでもかというほどに使用していたのだが向こうは使ってくる素振り一つ見せなかった、その疑問に答えたのはキャロル
「恐らくはディストーションフィールドのラーニングに時間が掛かったのだろう、何故初めからフィールドを狙ったのかは分からんがな」
「もしかして、射撃を止めなかったのは私にフィールドを維持させるため?」
「それって、相手の狙いが始めからディストーションフィールドだった?」
敵はAR小隊が強化されたことを知って、尚且使われた技術も把握しており、その上でディストーションフィールドをラーニングさせたのでは、それがいま此処で出た推測、しかしその場合、考えたくもないが出てくる現実が生まれてしまう。
思えば自分たちがあの研究室に行くことも知られていた可能性すらある、でなければあそこまで露骨に情報を残し、彼女達を襲撃させることは出来ないはずなのだから、つまり
「この基地に、スパイが居る」
「え、そんな、嘘だよね?」
「スパイなんて居るはずないじゃん!」
AR-15がポツリと呟いた言葉に本日何度目か分からないショックを受けるユノと声を荒らげ反論するSOP、彼女達だってこの基地の仲間達を疑いたくはないが状況証拠だけ見ればそう考えるほうが自然なくらいにこちらの手が、技術が読まれているのだ。
一気に広がった疑心暗鬼の空気、それを止めたのはナガンとキャロル、まず初めにナガンが手を叩いてから
「待て、スパイだと考えるのは早計と言うものじゃ」
「しかし……」
「人形ならば自分の意志とは関係なしにそういう事を仕組まれていることだって有り得る話だ、現にP90がこの基地に来たときがそうだっただろ?」
確かに自分の意志でスパイのためにこの基地に潜り込みに来る人形も居ないわけではないだろうが、それを暗部が見過ごすわけがなく、仮に見過ごしていたとしてもAR小隊の秘密作戦となれば徹底して情報統制がされるので簡単には抜くことは出来ない。
ともすれば、本人すら無意識レベルでその行為が行われているのだろうと考えたほうがまだ可能性が高い。
「だとしても、それをどうやって見つけ出す?この基地の所属の人形は膨大だぞ」
「いや、ある程度は直ぐに絞れる……と言うよりも該当するのはほぼ一人じゃろうな」
「誰か居たっけ?」
一人じゃろうな、と言われてもいまいちピンとこないSOPだが、それはM4達も、ユノだって同じである。だがナガンとキャロルはある種の確信を持っていた、前々から、いや、彼女がこの基地に配属されてから何かしら利用はされているだろうなとは思っていたのが今日のことで確信に変わった、というのが正しいだろう。
だが今此処でその名前は出さない、聞かれているかもしれないという懸念もあるのだが、まだ状況証拠だけなので確証とも言える証拠がないのだ、なので二人はとりあえずこちらで手を打つから気にしないでいいと伝えてから
「さて、次に今回手に入れた情報をどうするかだが、アナが過去に集め紙に纏めていた衛星兵器の計画の資料と合わせてペルシカ経由でアンジェリカの元に回すことになった」
「確か、正規軍が絡んでるからこの基地じゃ調べられないんだっけ?」
「あぁ、下手に突けば逆にこの基地に攻め込む理由を与えてしまうからな、解読に時間がかかることを考慮すれば向こうに持っていってから一月とかは考えたほうが良いだろうな」
こっちで調べられれば数日もあれば十分だと言うのにとキャロルが漏らすが、それはネクロノミコンを使った場合なので無しではそれ以上掛かる。
主な議題はコレで終わり、最後にユノが気になったことがあると手を上げてから
「クローン、その娘達が来た方向っていうのはわからないの?」
「オモイカネとウロボロスが調べてはいる、だが出現は突然、撤退の際は数秒後にはロスト、だから結果は期待できんだろうな」
「そうか、じゃあとりあえず、情報収集だけは続けるってことで今日は解散にしようか」
こうして今作戦は幕を閉じた、だが一度噛み合い動き出した歯車は止まらない。
コレもう少しほのぼのは帰ってきそうにねぇな……
次回は、多分スパイ関連、まぁこの話でも言ってるけど本人にその意志はないけどね!