それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
今日も今日とて業務で右に左に行き交う基地の面々、人員が多いこの基地ではやはり平日でも、休日でも基地の中でも外でも人の往来というものは深夜帯などを除けば基本的に途切れはしない。
そんな光景をルピナス、ステアー、シャフトの三人は中庭のベンチに座って眺めていた。ただ眺めているだけではなくて各々の手にはm45がおやつの時間だということで焼いたクリームパン、因みにシャフトだけ既に3つ目である。
「……」
「……」
「(ハムハムハム)」
クリームパンを食べながらルピナスとステアーは漠然とそれを感じていた、此処最近のP基地は少しピリピリしていると。だが同時にその理由にも見当がついている、と言うよりも自分たちも同じくらいにピリピリしてしまうそうに成っているほどだ。
しかし、だからといって自分たちにじゃあ何かが出来るのかと言われると仕事以上のことは出来ないというのが現実だ。一応ルピナスとステアーは裏側に所属してるとはいえ本業に近い彼女達とは違い自分たちはあくまで指揮官の防衛が担当であり、裏側で情報を探るだけのパイプなどを持っているはずもない。
ともすれば、やれることといえば特別な指示でもなければ何時も通りの業務、勿論二人はコレだって大切なことだというのは理解している、してはいるのだが
「なにか、出来ないのかな」
「でもやれることなんてないですよ」
「(ハムハムハム……ゴクン)どうしたの?」
何時もであれば美味しいと笑いながら食べ進めるはずの二人が全くと言っていいほどに食べずに悩んでいる様子にシャフトも何かあったのかと聞いてしまう。
良く言えばマイペース、少し悪く言うと鈍感とも言える彼女にルピナスはシャフトらしいなぁと思いながらも少しだけ溜息を吐いてから
「どうしたのって、シャフトは感じない?なんかこう、基地全体がちょっとピリピリしてるって」
「それは感じてます、だけど、だからって私達までピリピリしたらお母さんとお父さんに心配掛けちゃうだけかなって」
お腹の赤ちゃんにも悪いかなってと続ければ二人はハッとした表情を晒す。自分たちもどうにか役に立たなければと考えてばかりで大好きな
更に言えば何も自分たちは裏に関わる形で役に立とうとか考えなくても良いのだ、例えばそう
「ほら、私達がさ、普段通りに過ごして、お仕事をしたり手伝ったりして、お母さんとお父さんとお話するって、そういう普通が大事なんじゃないかな」
「むむむ、シャフトの言う通りかもしれないわ。やるわね、流石私の妹よ!」
「シャフトの視点はとても助かります、あ、私も撫でる!」
「ふみゃああああ!!!???」
この時は言葉にしなかったが二人はもっと言えば今までオロオロして余りこういう場面でも自分の意見を述べたりしなかったシャフトがしっかりと声を途切れること無く意思を告げたという成長が嬉しかったりするので褒めるという意味で二人同時にシャフトの頭を撫で回し、シャフトはシャフトで二人の急な行動に驚きながらも嬉しいのでされるがままになる。
そうだ、自分たちが難しいことをあれこれ考える必要はないのだ。そういうのはFMG-9とかにぶん投げて自分たちは自分たちが出来ることを行い、そして一日の終りにユノとクリミナに目一杯甘える。
知ってか知らぬか、娘たちのこの行動に夫婦は助かっていたりする。最近は特にイレギュラーというべき事態が起き続けていたり、次の作戦に備えたりと少しずつ心理的余裕が削られている中でこの様な日常は癒しになっているのだ。
「よぉし、なら何時も通りに……何しよう」
「まぁ、今日のお仕事とか、だよね」
まぁそうよねと呟いてからルピナスは15時の休憩が終わる前にパンを食べ終わらないと勿体ないとモグモグと食事を再開、ステアーも続くようにクリームパンを食べ始め、調子が戻った様子を見て良かったと笑みを浮かべてから4つ目のクリームパンを食べ始めるシャフト。
だが結局はおやつの量なのでそこまでの時間はかからずに持ってきた量のクリームパンは完食、少しの休憩を挟んでから三人はそれぞれ手伝いや業務に戻ろうという所で何やら騒がしい声が聞こえてきた。それは中庭からラボ方面に繋がる廊下の先から、もっと言えばダミーの待機部屋がある方向から、誰かが物凄い勢いで走ってきている音と声が聴こえ、その時点でルピナスの米神がピクッと動いたのを見てステアーが何かに気付いたと同時に
「やっほぉぉぉぉぉぉぉ!!!自由だぜぇぇぇ!!って、あ、やべっ」
「クレア、あんた起動したなら報告をしろって毎回言って」
「じゃあね、
待てっての!!!とルピナスが制止の言葉を掛けるがクレアがそれを聞くはずもなく来た道を全速力で逃亡を開始、ルピナスも今度こそ説教してやると追走、その二人を見送ったステアーとシャフトは苦笑をしつつ。
「じゃあ、私も業務に戻るね」
「うん、頑張ってねステアーお姉ちゃん」
頑張ると答えてから端末を取り出して入っている依頼を確認、どれから修理するかと思いながら彼女もまた業務に戻っていく、最後にシャフトはよし、頑張ろうと一人気合を入れてからふと、誰もパンを入れてたバスケットを食堂に戻してないということに気付いて、これはしっかり返さないとなと彼女は食堂へと向かってからネゲブの手伝いに向かう。
そんな彼女達、三人のやり取りを実は眺めていたのはユノとG36、日課である散歩の途中で三人を見つけた二人は声をかけようかどうかで悩んでいると先程の会話が始まり、悪いとは思いながら影で聞いていたのだが
「本当に、立派な娘達ですねお嬢様」
「えへへ、うん、三人には本当に救われてるよ……そうだね、今日はたくさん甘えさせて褒めてあげようかな」
「それは宜しいですが、いえ、あの娘達ならば事故はありませんか」
G36の目にはまた大きくなったユノのお腹、彼女が懸念したのは褒められてテンションが上った三人がグイグイと彼女に迫ってしまうのではないかと言う部分だったのだが、それは本当に懸念だろうと首を横に振ってから
「さて、お嬢様、そろそろ執務室に戻りましょうか」
「おっと、もうそんな時間だった?じゃあ、戻って残りのお仕事を終わらせないとね!」
今日もまた基地は平和、されどこれが何時まで続くかG36の目が一瞬だけ鋭くなったのをユノは気付けなかった。
危うく娘組を書くのを忘れるところだったぞよ(震え声