それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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もはや戦力的優位も彼女達には無いのかもしれない。


エンジェル・ダウン

《イチイバル、何が起きたイチイバル!!!!》

 

《ノアちゃん!!??》

 

二人の悲鳴を聞きながらノアは鉄血と【正規軍】の兵器の残骸からぐっと立ち上がる、体の至る所は傷だらけであり、特に右腕からは血を大量に流し、頭部のヘッドギアも大破しさいの破片のせいなのかこちらからも血を流しており、はっきり言えば無傷な部分なんてものは無いという状況で彼女は自分を見下ろしている【5人】のクローンを睨みつける。

 

完璧な不意打ちだった、だがよくよく考えれば自分があまりに考えなしに突撃しすぎたとも反省でき口の中の血の塊を吐き出してから舌打ち、過去のAR小隊が戦った時の撤退の際に向こうはナデシコの眼を掻い潜ることが出来ている、そしてそのデータを受け取っていると思われる新た無い生産されたクローン達がそれを出来ない理由がない。

 

「クッ、ハァ、ハァ……」

 

「スペクター、貴女にはマスターからの指示で連行するように言われてます」

 

「へへ、いっちょ前に話すようになったのかよ(となると、エルダーブレインはアタシ達を誘き寄せるための餌だったってわけか)」

 

話しかけてきたのは恐らくは上位個体と呼ばれている個体、見れば彼女だけは装備などの色が違うので隊長扱いなのだろう、ともかく彼女はノアに武器を向けつつ暗に投降しろと投げかけてくる。

 

今までになかった行動、それに言葉もスムーズに紡ぎ出されている所にノアは何かの考えを思ったのか、彼女は

 

「断る、アタシには帰る場所も、待ってくれてる大事なやつが居るんでな。それよりもだ、オメェらはそれで良いのか、このままそのマスターって奴の所に居ても結局は衛星兵器のパーツにされるだけだぞ!」

 

「マスターの指示ならば、我々はそれに従うだけ。だけどマスターはスペクターとルーラーを求めている、その連行が私達の今の任務」

 

「そのマスターってのが何を考えてこんな馬鹿げた兵器を、ただいたずらに人を殺すだけのもんを作ってんのか知ってるのかよ!!」

 

「……了承、対象を無力化の後に連行します」

 

「クッソが!!!!」

 

これ以上の会話は必要ないとばかりに以前よりもさらに強化されたように見えるガトリング砲をノアに向け、それに対して彼女は今の会話で出来る限りの治癒を終えた身体に活を入れてスラスターを吹かして、両腕の20mmバルカン砲を後方のクローンに、そして飛行ユニットからのマルチプルミサイルを前方の三人に放ちながら包囲を突破しようと試みる。

 

が、彼女はそこでも忘れていたことがあった、いや、正確には知ってはいたがまさか嘘だろという事だろう。後方の二人に向けてはなったバルカン砲の弾幕に回避の素振りを見せないと思えば大体60cm手前で何かに防がれた、ノアはそこで自分が以下に最悪な状況に陥っているのかを頭で理解してしまう。

 

「っ!?(ディストーションフィールド!!!)」

 

「対象からの攻撃を確認、反撃します」

 

ガチャンと向けられ、アイドリングを始めるガトリング砲に思考が全力で回転を始める、近接、有効だがその前に向こうの武器が早い、突破、前方も同じく射撃準備のために不可能、考えろ考えろとノアが至ったのは物凄く単純な答え、過去にアーキテクトは言っていた、ディストーションフィールドは確かに強力だが実弾兵器にはフォースシールドみたく絶対ではないと。

 

なら答えは簡単に出ると彼女が選んだのは大火力による突破、彼女はスラスターの勢いを殺さずに両手のバルカン砲を破棄、代わりにと出したのは形状こそ手持ちできるように変わっているが【120mm迫撃砲 RT】と酷似したそれを構えニヤリと笑ってから

 

「持ってけ、全部だ!!!」

 

「!!!???」

 

「おせぇってんだよ!!!」

 

射出された砲弾を止めようとフィールドを張るが形状がそれに似ているだけで中身は思いっ切り魔改造が施されたそれは見た目とは裏腹に一発だけではなく、2発、3発とロケット砲弾が打ち出され、しかも飛行ユニットからも何処で覚えたのかレールガンのような砲身を生やして打ち出されれば、流石のフィールドも耐えること無く破られて爆散。

 

結果、包囲を突破できたノアはそのまま空へと飛翔をした所で爆煙から二本のワイヤーのようなものが飛んできて両足に巻き付く、何だと見る前に彼女を襲ったのは電撃

 

「ガアアアアアアアア!!!!????」

 

「たた、たいしょうをほ、ほばく」

 

「あ、ああ、あレす4y,より、ネーヒストへ、し、指示を願う」

 

煙から出てきたのは最早人という形をしていない二人、だがそれでも稼働しているのは中身がどうやら機械化されているかららしいのだがそれも限界なのだろう、声は機械音声のそれであり、言語機能も辛うじて話しているという状況に近い。

 

そんな彼女達からの電撃でノアの意識が一気に遠のいていく、このままじゃと思っていても身体が言うことを聞かず、しかも残りの三人もこっちに向かってきているのが辛うじて分かればいよいよヤバいなこれと焦りが募る。

 

「アレス3、4はそのまま、連行後に帰投が不可能であれば自爆。1、2はスペクターを捕縛を開始」

 

(動け、動けよアタシの身体!!!)

 

願いも虚しくノアの体は言うことを聞かずに、流される電撃に残りの意識も途切れ始めたその時、突如飛んできた何かがノアを捕まえていたワイヤーを切断、想定外の事態にネーヒストと呼ばれた個体がその飛翔してきた物を見れば、そこにあったのは蒼をベースに白のラインが入った二本の

 

「ナイフ……?」

 

「いいえ、短くとも私の剣です!!」

 

声と同時に地面に落ちたノアの前に降り立ったのはもう既に高周波ブレード【アメノハバキリ】を抜いているアナ、そしてネーヒストとアレスと呼ばれた他の個体の後ろからは機甲部隊と、RFBの新たに改良されたパワーマキシマムドールスーツのスラスター音がすれば彼女達も時間を掛けすぎたと悟る。

 

「わりぃ……」

 

「無事で何よりです、それとエルダーブレインとエージェントの回収も完了してます。さて、どうしますか、このまま戦っても構いませんけど」

 

「まぁその場合は私達も居るから形勢逆転ってやつだけどな!」

 

追いついたRFBと機甲部隊、そして目の前には万全のアナと復帰したノア、この状況を見てネーヒストが選んだのは

 

「ネーヒストよりアレス各員へ、撤退します」

 

(自爆は、させねぇのか。余裕はないのか、それともアイツの意思、か?)

 

逃げれると判断したのかボロボロの二人に自爆を指示させずに他の個体に介抱させながら飛んでいこうとする彼女達を見てそんな事を考えるノア、それとは別にアナがナデシコへ通信を繋げて

 

「こちらシンデレラ、対象が逃げていきますがどうしましょうか」

 

《行かせてやれ、それよりもその場の調査を迅速に行いおまえ達も撤退しろ、次の攻撃がそこに来ないとも限らんしな》

 

了解、そう告げてからアナは逃げていくネーヒスト達を見つめ、それからノアに肩を貸してから周りの調査を他の隊員とともに行ってから帰還するのであった。

 

分かったのは間違いなくあの攻撃は鉄血の壊滅を目論んだこと、それでありながらエルダーブレインを生かすことで自分たちを誘き寄せる餌にしたこと、最後にあの場には正規軍の一部もその攻撃に巻き込まれたということだった。




残された時間は?次の敵の狙いは?何もかもが分からない、だけど分かることはある、全てが後手に回っているということだけは

正規軍の一部、誰が戦場で指揮してたんやろなぁ

(思ったけど、この最終作戦だけ章を分けたほうが良いんだろうか)

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