それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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壮大過ぎてこれ絶対にガバるやーつ


人類救済計画

【人類を護り、世界を再生させたい】

 

P基地の特殊戦術室のセキュリティをぶち破り通信を繋げてきたユノを取り巻く事柄の全ての元凶とも言えるヨゼフ・アルブレヒト、彼が行おうとしているこの計画の目的をユノが聞けば返ってきた言葉は冒頭の言葉。だがそれは決して巫山戯ているというわけでもユノを馬鹿にしているというわけではない、その目は、顔は、本気でそれを成そうとしていることが彼女達には理解できた、それ故にペルシカは言う。

 

「君は、こんな壊れた世界の神にでもなるつもりなのかい」

 

言い方は違えど、彼女ははっきりとヨゼフにこう伝えた、狂っていると。確かに彼の計画が完遂でもされれば衛星軌道という誰も手が出せない、出せても先ず返り討ちに合うような位置からの攻撃に晒される危険性があると分かれば誰もが静まり返るだろう、そしてそうなれば世界の荒廃は送らせることが出来る、その間に世界を清浄に戻す。

 

と書くのは簡単だ、それこそ子供にでも出来る、だが現実はそんな甘いものではない、よしんば出来るとしても期間は?本当のそれは可能なのか?問題なんて山のように出てくる、しかしペルシカにはヨゼフはそれが出来ると断言しているように聞こえ、思わずそんな言葉が出てきた、がヨゼフはそれを言われても何も表情を変えずに返す

 

《神?そんなモノになるつもりなんて無い、私はただ人類と世界の未来を考える科学者として一番合理的な方法を取ろうとしているだけだよ》

 

「確かに本当にそれが可能で、計画通りに完遂できれば世界は君を恐れ、ひれ伏すだろうさ、でも世界が本当にそれを許すと思ってるの?」

 

《許せないのは世界ではなく、君たち組織だろう?現に正規軍でも反発が多くてね、特にカーターなんかは自分たちが世界の覇権を握りたいがために新たな争いを起こそうとするくらいだ……まぁ、だからこそ退場願ったのだけどね》

 

アンジェリカの言葉にも淡々と返されれば、逆に彼女が舌打ちをしてしまう。そう、世界ではない、頭を取られて困るのは世界の覇権を握りたいなどの欲望を持っているお偉方だ、アンジェリカとしても個人が銃爪を握っている兵器が頭上を見張っているということには少々耐えられない部分がある。

 

次に動いたのはユノ、彼女もまた衛星兵器を許せるというわけではない、だがそれは別に自分がやましいことをしているとか、そういう意味ではなく

 

「何で、クローンの皆を使ってるの?」

 

《人間だからだよ、機械やAIでは鉄血のように誰かの手によって暴走や、乗っ取られる危険性が高い。だが人間であれば、しかも子供であればその頃から洗脳を施してしまえば彼女達は疑問に思うことはなく、打ち上げられてからも衛星軌道に居る仲間たちとのやり取りで考え、言われた通りの対象に無慈悲に撃ち込む事が可能だ》

 

「何だよそれ、んなわけ……」

 

ねぇだろ!と叫ぼうとしたノアの脳裏に浮かんだのはまだ自分がスペクターと名乗っていた頃の自分、鉄血側のドリーマーに唆され、ユノを現実を知らず、運だけで生き残ったロクデナシと決めつけて殺しにかかったあの時。

 

それの間違いが解けてなかったら?衛星兵器に組み込まれる彼女は所謂過去の自分、しかも洗脳という部分も昨日戦闘の際に彼女達はマスターの為ならばと言い切った存在、だから反論が上手く喉から出てこなかった、だからだろうか

 

「教えろ、何で母さんを、レイラ母さんを選んだんだよ」

 

《レイラ、か。彼女は優秀で忠実な部下だったよ、勿論デザインベビーを作る際には彼女以外にも遺伝子を貰い試してみたのだが結果として君たちのオリジナル、彼女の娘が一番適していた、それだけだよ……まぁ、逃げられてしまったけどね》

 

「それで捜索を鉄血に頼み、だけど向こうは勝手なことをした、と言う推測であってるかな」

 

《流石ペルシカリア博士だ、その通りだよ。正直な話、そこで計画が破綻したかとも思ったけどそのクローンが生きて居ると知り、今度はグリフィンに依頼を出した、まぁ彼女を養子に迎えたという家族には不慮の事故にあってもらったがね》

 

そこでペルシカは新たに気付く、だとすれば自分があの日、保護され軟禁状態だった彼女と出会ったのはもしや作為的な物だったのではないかと。

 

実際そうだった、ユノとペルシカが出会うことで彼女に何かしらの影響が送るのではないかと言うヨゼフの計画とは別の実験だったのだが結果は今の彼女であり、それは

 

《正直驚きに値する、仮説では彼女が此処まで豊かな表情を持ち、人に対してもこうも繋がりを作り出すような、中心になるような存在になるとは思いもよらなかった》

 

「何処までもお主の掌だったと……それで、いい頃合いだからコヤツを奪おうと言うことか?」

 

《迎えに来たと言って欲しい、彼女、ネーヒストも十分に優秀な子なのだがやはりルーラーとスペクターと言う特化には劣る部分があってね、特に対象を観測と言う部分は彼女のほうが何枚も上手だからね》

 

「子供を迎えに来たと言わんばかりだな、反吐が出る、それにだ、現状で貴様の計画は半壊している、ユノにお前の考えが理解できるとは思えんしな」

 

どうやら、ユノが居なければ計画は完全なものにはならないらしい、しかし居なくてもあの精度の攻撃が来る以上、差し出さなければそれで良しとはならないが。

 

何より、アンジェリカとエリザ及びエージェントを除いてヨゼフが言った迎えに来たと言う言葉に怒気が膨れ上がる、その言い方がまるで祖父であるという感じだった、これにはキャロルも怒りを隠さずに腕を組みながらヨゼフを見据えて吐き捨てるよう言葉を向けるのだが

 

《そのようだ、だがルーラー、君も分かるだろ?世界を正すには、君たちの周りに者たちの未来を照らすにも君の力は必要なのだよ。夢は十分に見ただろ、そろそろ覚める時間だ》

 

あぁ、何処までもこの男は科学者なのだな、そうペルシカは思った。なんとも素敵な言い回しだ、もしこれが正義感満載で善の塊だけだったらユノはそうですねとか言い出してナガンが一発殴っていたかもしれない、今日までの繋がりもなく、誰かを愛することもなく新たな生命を自分に宿すこともなく、ただ家族とも言える人形のためにと過ごしていたらそうだったかもしれない。

 

ヨゼフはそう考えて、そう言ったのだろう、だがそれは一番の悪手だった。ユノはその言葉を聞いて笑みを浮かべた、だがそれは今まで見てきた無邪気でも穏やかでも、太陽なものでも、どれにも属さない、初めて見せる冷たい、ただ浮かべてるだけですという笑みでユノは

 

「世界なんてどうでもいいですのでお断りします、それに今日までのことは夢じゃないですし、皆との幸せは自分たちの、繋がりを持った人たちとの協力で作り続けますから」

 

《君が此処までわがままだとは……「それよりも、覚悟して下さい。私は貴方を許すつもりなんて全くありませんから」

 

ユノがそう告げた瞬間、モニターが途切れる。ヨゼフが最後に見えたのは途切れる寸前、アンジェリカが何故か勝ち誇った顔をしていたことだけだった。




ヨゼフ叔父さん、ユノっちを完全に怒らせる巻。あとお前の計画色々と穴だらけだってそれいち(お仕事で疲れた思考で考えてる

それにしても何でアンジェリカさんは勝ち誇った顔してたんでしょうね?

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