それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
F10地区上空、航空戦力が無力化され、戦闘機同士のドッグファイトと言う物が過去になったこの世界で空で彼女たちは戦っていた。
1対4という圧倒的不利とも言えるその状況で、だがしかし全てを終わらせ解放してやると覚悟を決めたノアにもう迷いも、そして躊躇もない、彼女は慈悲を持ってアレスと呼ばれ番号付けされた【妹】達と空中戦を優位に展開していく、たとえ数で負けていようが彼女には今日までの死線を越えた経験がある。決して生み出された彼女たちにはラーニングされない、言葉にも表せられない決意がある。
(だから、こんな所で躓いてられねぇんだ!!)
とにかく動き回り、的を絞らせない、それでいつつ向こうのほんの僅かな隙きにも的確に反応して手に持ったボウガンで狙い撃つ、今までにない戦いの仕方にノアとしてもなれないのだが相手のフィールドを考えるとこれしか思いつかなかったのだ。
少々無理な動きもすることになるのでスラスターが吠える度に体が軋み悲鳴を上げる、だがそれでも
「(痛くねぇ、痛がってられねぇ!!)そこぉ!!!」
「回避、不可、アレス2より全員へ……サクリファイスを提案」
「っ!?(向かって来た、いや、そのつもりかよ!!)」
回避ができないと判断したと同時にアレス2は突貫を開始、此処までの打ち合いでノアのボウガンの矢がフィールドに触れるとRPG-7のようなタンデム弾頭に近いモノに変形、フィールドを破り爆発というプロセスが行われることを理解しているからこその行動である。
このまま行けばアレス2はノアと相討ちという形になるだろう、だがそれを彼女が考えていないわけがない。ノアは向こうの行動を認識したと同時に飛行ユニットの翼部分から4つの子機を射出、それはノアの周りに動き、光の膜を展開、いうなれば彼女が扱えるディストーションフィールドと言うべきだろう、つまり
「……ごめんな」
アレス2の自爆特攻はそれに阻まれ、爆煙が晴れる頃にはそこには誰も居なかった。だが彼女に感傷に浸る時間は当たり前ながら無い、しかし今のでノアは理解する、もう、本当にもう
「イチイバルからナデシコ、悪い……ユノ、オメェの想いとは違う形になる」
《……ううん、大丈夫、だから、眠らせてあげて》
「あぁ、任せろ。ってことだ、悪いが姉貴命令だ、もう就寝時間だから寝ろ」
そんな冗談を叩きながらノアはまたボウガンを構える、もう止まらないという決意のもと、言うまでもないだろう、妹達に姉を止める手段はもう無かったのだ。
一方、トリックスター含めた残りの部隊はそれぞれが予定していた地点に降り行動を開始、だがそうすんなりと目的地の地下施設への入り口に相手が向かわせてくれるはずもなく、現在は各々が防衛戦力と戦闘を行っていた。
「戦術人形はまだいいのじゃが、正規軍のが厄介じゃな」
「殺すことと、戦うことにだけ特化してる存在だからね、本来だったら私達じゃ相手にならないわよ」
「堅いですわね……アーキテクトなにか手はありませんか?」
「にっしっし、あたしとゲーちゃんにならお任せってやつよ、行くぜぇゲーちゃん!」
「……せめて認証コードだけでも変えておくべきだったか、まぁいい」
不敵な笑みを浮かべたアーキテクトは右手の拳を左手にぶつけ、ゲーガーはそんな彼女をやれやれという顔で見つめてから首元のペンダントを握り、一つ呼吸をしてから二人は唱えた。
「【
「本当だったらネーヒスト達用の装備でアタシが使う予定はなかったんだったけど、お披露目会だ!【
誇らしげに高らかと告げたアーキテクト、ゲーガーと同じ技術が使われたその装備の名は【ガングニール】現れた装備は身体各所にはゲーガーと同じ様に装甲とブースターが装着され、武器となる拳にはゲーガーがP基地防衛戦の時に見せたプロトタイプのアガートラームの拳状態、あれを更にスリムにして洗礼した感じの奴のゲーガーのと同じく黒をベースにしたカラーリング、恐らくは他の戦闘要員で格闘戦が得意な人形に渡すつもりだったのだろうが今回で屋内戦となると知りアーキテクト自身はその辺りの武装がないから持ってきたと思われるそれを構えて
「ガングニール、突貫するよ!」
「それを援護する私の身にもなった欲しいのだがな……そういうことだ、道は私とこいつが切り開く、頼んだぞ」
おりゃぁああああ!!とブースターを稼働させ突撃を開始するアーキテクトに呆れながらゲーガーは3人にそう告げて自分も戦線に躍り出る、ここに来てまた妙な武器を開発していたアーキテクトに若干の頭痛を覚えるナガンだったが、即座に思考を切り替えて
「行くぞ、ナデシコ入り口はこの先か?」
《そうだね、そのまま……待って、何だ地下からなにか反応が増えてる?》
オモイカネが言うにはそれは鉄血でも正規軍でもない、かと言ってELIDでもクローンでもない、全く見たことのない反応が増えてきているという話。
クローンではないとは言ったが反応だけを見てみるとそれが一番近いことには近いらしい、これは何だと思いながらもだが進まなければ行けないのは確かなのでトリックスターの面々は入口に向かう途中、ヤークトフントから通信が入る。
《こちらヤークトリーダー、担当区画の制圧を完了、やはりと言うべきですか入り口は存在しません、恐らくはそちらのだけかと》
「そうか、だとすると反逆小隊もこっちに来て全員が固まることになるか……ヤークトフント、お主らもこっちに来てくれ、地下から妙な反応が増えているらしく、手がほしい」
《了解、直ぐに……っ!!》
USPコンパクトが何かに気付いて動き出す音とKS-23のショットガンの発砲音が通信越しから聞こえたと思えばヤークトフントからの通信が途絶える、何が起きたとオモイカネに聞いてみれば
《待って、基地各所からその反応が現れてる!?》
《ヤークトフント、それにエアレーズングのところにも、いや、これ、味方にも攻撃をしてる!?》
《副官、気を付けてそっちにも現れた!!》
オモイカネが知らせるよりも先にナガン達はその存在を目視した、それは集団で一糸の乱れもなしに現れた、しかも味方であるはずの正規軍の自律人形と戦術人形を草を喰らうかの如く殺し尽くしていた、それは黒一色のボディアーマーを装備し腰には近接用と思われる刃物が手には見たことないデザインの自動小銃が、それは何故かうさ耳が着いた多機能型フルフェイスヘルメットを装備していた
「とてもじゃないけど、友好的な感じはしないわね」
「任務、開始」
「全員構えろ!それとナデシコは全部隊にこいつの存在を通達、ランページゴーストの二人は反逆小隊と合流を急げ!!」
無数のウサギが雑草を食い尽くさん為に現れた、【Rabbit Protocol】ヨゼフが衛星兵器だけでは不足だと考えた、殺しだけに特化した存在、目的は唯一つ、世界に生えている雑草を食い尽くすだけ。
そして、悪いことは続くものなのだろう、外で鉄血の援護をしていたヒポグリフパイロット81式から来た通信にナガンは顔を険しくさせた
《こちらヒポグリフ、ミサイルハッチが開いて、いえ、緊急事態です、ミサイルの打ち上げを確認、その数……最低でも10はあります!》
カウントダウンが、始まった。
勝利条件の変更
打ち上がった衛星兵器の稼働停止、及びヨゼフ・アルブレヒトの身柄拘束。
Rabbit Protocol
元ネタはロボトミーコーポレーションというゲームで出てくるあのチーム最早そのまんまである、つまりこの最終章はその辺りも使われるってことだな!
え、アーキテクト?ほら、最終章だから、ね?