それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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詰みはまだでも、王手はもうすぐ


フェアリーリリース Session5

エゴールが搭乗しているオーディンと呼ばれるロボの性能が高く、本来であればこの場に居る彼女たちが束になろうとも蹴散らせる、はずである。

 

だが戦場という場において性能だけが絶対というのは間違いである、それだけで決まるのならばとうの昔にこの場の戦いは終わっているはずなのだから、現に今エゴールは着実に追い込まれていた、アナのたった一撃の一閃が彼の心の余裕を殺した。

 

無論、そんな事で簡単にやられる訳ではない、現状彼女たちが優位に立ってるように見えるというだけであり、実際はアナ達も気を少しでも抜けば総崩れの未来は十分に見える、だからこそ今で来たこの勝機を逃すわけには行かないと苛烈に攻めていく

 

「疾っ!!!」

 

「超、パワァァァァァアアアア!!!!」

 

アナが腰部の飛行ユニットを使い張り付き、その自慢の装甲をまるで紙だと言わんばかりに斬り捨て、彼女の攻撃からなにかヒントを得たのかジャウカーンが続くように爪にエネルギーを纏わせて更に高速振動させたそれで両腕を振り下ろせば、ほんの少し前は弾けた筈の装甲は阻むことが出来ずに破られる

 

「馬鹿な……」

 

「ぐぅ、やばば、ちょっと飛ばしすぎた……」

 

「ジャウカーン下がって!!そこまで損傷すれば、私達の攻撃だって!」

 

流石に考えなしにエネルギーを消耗し続け急に動きが悪くなったジャウカーンを下がらせてAR-15が両手に持ったアサルトライフルが吠え、無慈悲な徹甲榴弾の弾幕がエゴールを襲うが、フィールド発生装置はまだ生きているようでまた阻まれる。

 

だがAR-15は手を止めなずに銃爪を引き続ける、エゴールからの攻撃を避けつつも人形だから出来る二丁の精密射撃で同じ箇所を打ち込んでくる彼女の狙いを理解したエゴールはAR-15に左腕のバズーカを向け放つ

 

(フィールドに穴をあけるつもりか)

 

「っと、流石に改良されてるか、ここまで打ち込んで揺らぎもしないなんてね」

 

《ウロボロスだ、解析したがあれはディストーションフィールドとフォースシールドを混ぜている、ともすれば銃弾の通りは悪いだろうな……だがフォースシールドを混ぜたのは悪手だったなぁ?》

 

「それを搭載するための巨体、私達のような人形を相手にすることは考えてなかったようですね」

 

彼女の言う通り、このオーディンは本来であれば戦場という場面で活躍を約束されている機体であり、このような閉鎖空間でしかも小隊と戦うことは想定こそされ装備はあるがそれでも不得意と言わざるを得ない。

 

それでも彼がこれを選んだのは彼女たちの実力と編成を見た上で、これならば防衛による時間稼ぎは出来ると踏んだから、だが現実は彼の予想の上を軽く、それこそ今目の前でスラスターを使って飛翔しているアナのように上回り、苦戦を強いられている。

 

だとしてもこのままやられるわけには行かないと反撃を繰り出すがその全ては、M4が展開するディストーションフィールドか、ジャウカーンの電磁シールド、そうじゃなくても機動力が売りの彼女たちに命中する攻撃はなく、次第に機体の損傷率も上がっていき、動きも悪くなり始める。

 

だが彼はこれはある意味正当な結果だろうと操縦席で思う、いくら衛星兵器があり、クローンを使った無数の兵士が居るとしても、そもそもにしてこんな計画が達成されるはずがないと。そんな風に一瞬でも思考を反らしたのが致命的だった、もしくは彼は止めて欲しかったのかもしれない

 

「この距離なら、フィールドは張れませんよね!!!」

 

「(アイツの夢が叶う世界が、と裏切り協力した私も相当の馬鹿だな)ここまで、か」

 

彼が最後に見たのはチャージ済みのグラビティブラストを構え懐に潜り込んだM4の姿、そこで敗北を悟りエゴールは目を閉じて終わりを受け入れる、が

 

何の奇跡か、はたまた悪運の強さか、グラビティブラストを直撃したはずの機体は辛うじて操縦席周辺だけを残し、結果エゴールは助かることになる。

 

「……また、死に損なったか」

 

「答えなさい、何故貴方のような人が裏切りを」

 

操縦席のハッチが無理やり開かれ、銃を向けたアナにそう問われた彼は自嘲気味に笑う、別にカーターに恨みがあったとか、正規軍を見限った、と言う訳ではない。

 

彼はその昔、一人の女性に惚れていた。だが彼女は正規軍を抜け、次に聞いた時は死んだという話、そんな彼女と少なくない会話の中で夢を聞いていた、彼女は答えた

 

『私さ、誰もが不条理に泣かない世界ってのを見てみたいんだ、誰もが幸せを得られる、そんな綺麗な世界を』

 

汚染され、誰もがギリギリで弱者は容赦なく切り捨てられる世界ではない、誰もが平等に、求めれば得ることが出来る綺麗な世界をというその時の彼はなんとも少女のような夢だと呟いてしまった夢をもしかしたらヨゼフの計画に乗れば彼女に変わり叶えられるかもしれないと。

 

「惚れた女の、夢を叶えようとしただけだ」

 

「だとすれば、貴方は間違っている、こんな外道じみた計画で叶えられた夢を、その人が喜ぶとでも?」

 

アナがそう言い切った時、エゴールは彼女に幻を見た、茶髪で剽軽としながらもこの世界で育ったとは思えないほどに優しく、正義感があった彼女を見た、もし生きていたならば彼女ならばどうしたか、そんなの考える間もない、彼女ならば間違いなく止めに掛かるだろう、そう思えばアナの言葉は

 

「あぁ、そうだな」

 

ここで彼は投降を選んだ、これ以上の戦いはできないとうのもあれば今この瞬間に戦う理由を失ったからというのもある。

 

ではキャロルとスユーフはと言うとアナ達がエゴールと戦闘中には量産施設の制御室には辿り着いており、端末を操作していた。

 

「どの程度掛かりそうですか!!??」

 

「数分は掛かりそうだな、だが上手くすれば戦場に出ている奴らの稼働も停止させられるはずだ……」

 

凄まじい速度でタイピングをしていくキャロルだがその間にもウサギ部隊は阻止せんと襲いかかってくる、スユーフも防衛に入っているが段々と数が増えてきて押され始める、流石にハイエンドモデルクラスとは言え数に押されれば綻びが現れるというものであり、キャロルもワイヤーやレーザーで応戦しながら作業を進めるが、遂に一体がスユーフを抜け、更にはキャロルの攻撃も避け

 

「っ、マスター!!!」

 

スユーフの悲鳴に手を止めて振り向きが迎撃は間に合わない、このまま殺られるのかと思ったその時、地面が大きく揺れ体制が崩れ結果として攻撃を回避、だが揺れは収まることはなく、何だとナデシコに通信を繋げてみれば

 

《え、え、え、なんだこの反応、地中からえっと、ケルベロスクラスの反応がそっちに来てる!》

 

「ケルベロス!?どういう……」

 

事だとキャロルが言い切る前に目の前が盛り上がり、爆音とともに現れたのは二本のドリルを装備したケルベロスよりも更に大きなダイナゲート、それからその背中に捕まっていた二つの影が飛び降りたと同時にキャロルとスユーフに襲いかかろうとしたウサギ部隊を撃退。

 

だがキャロルはその出てきた影の正体を見て言葉を失っていた、そこに居たのは

 

「エルダー、ブレイン。貴様何を、いや、今まで何処に居た」

 

「基地のレーダーからの範囲外の地点より、このダイナゲートで地中を進軍、そして現在、到着」

 

「アーキテクトの発明もたまには役に立ちますわね」

 

なるほどお前ら馬鹿だなとキャロルは口に出しそうになるが今はそれどころじゃないと礼もそこそこに作業を再開、その間、エリザとエージェントはスユーフと協力体制、と言うよりも向こうが勝手に暴れて防衛を行い、数分後

 

「こちらダウルダヴラ、施設及びウサギ部隊の停止コードの入力に成功、外の様子は!」

 

《こちらナデシコ、停止を確認!よし、これなら基地の娘達を避難させたり出来るね》

 

こうしてキャロル側の作戦は成功に終わる、だが彼女たちに休む暇はない、エリザが何故こんな方法で来たのかは非常に気になるがそれどころではないとキャロルはスユーフと共に来た道を即座に引き返す。

 

「我々も同行、ヨゼフ、殺す」

 

「勝手にしろ、あとその、なんだ、ダイナゲートは待機させておけよ」

 

「ドリドリちゃん、待機」

 

エリザから出てきた名前に顔が引き攣る幻覚に襲われるキャロルだった。




Q つまり?

A エゴールさんはレイラさんの誑し被害者だったってことだよ

戦闘描写は、最後まで成長しませんねこの作者(他人事
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