それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
アーキテクトの奇襲で仮面が砕け、大きくダメージが入った赤い霧だったが、痛覚などは兵器らしくないのか倒れること無く体制を整えて彼女たちを見据える。だが場の流れが完璧にナガン達に傾いたと全員が思う、タネが、正体が割れたのならばナガンはただ叫ぶ、何ら怖い存在ではないと。
「確かに速いがそれだけじゃ、攻撃に人間の思考がないのならばただ強く、速いだけの単純な軌道しか振れん、故にっと」
確かに攻撃に選択肢は幾つもあるがそこからフェイントなどの心理戦がないのならば振られたその攻撃を作業のように避ける、だがそれに待ったをかけるのはクロスレンジ初心者のアーキテクト、彼女からしてみれば
「速すぎて目で追えないんですけど!?」
「ならば前に出てくるな!!他にも追える自信が無い奴とクリミナは援護に徹しろ、儂が張り付き続ける!!」
こう指示を飛ばしている間も慣れているとばかりに回避し続けるナガン、伊達や酔狂、または悪運だけとかで今日まで稼働しているわけではないということを見せつけるような戦いにお前は何かあったら最悪だから下がってろと言われ遠距離で援護射撃に徹しているクリミナが一言
「さ、流石ですわね……」
「ねぇ、思うんだけどアタシって今もうお荷物じゃね?」
「じゃあ何で近接武器できたのですか……いや、お荷物言われるとあたくしもな気がするのですが」
勿論ながら気を抜いてこの会話をしているわけではないのだがそれでも呆れつつ戦闘を見つめる、気付けばナガンの助言を頼りにゲーガーとVectorも参戦、ノアもP90を両手に射撃を繰り広げるがそれだけは的確に反応して大剣で命中弾だけを弾くその姿に思わず
「意思はねぇんじゃねのかよ!?」
「無いのは本当じゃ、あれはダメージになるうるものを機械的に防いでるだけに過ぎん!いいか、正確無慈悲の兵器というのならば搦手を加えろ!!バカ正直な攻撃はこの様に防がれるだけじゃぞ」
例だと言わんばかりに攻撃を避けてから顕になった顔の眉間に向けて発砲、情け容赦ねぇな!とノアの声がするがそれは首を捻て回避され、返す刀で袈裟斬りで襲いかかってきた大剣を回避、続けてゲーガーが短剣で斬り上げるように振るが今度は銃で防がれる、が
「搦手、ならこれはどうだ!」
カチャンと短剣から音がしたと思えば刀身が幾つもに分離、まるでそれは鞭のように撓りながら銃に絡みつきそのまま光を纏ったと思えば突撃小銃は分断される。
分断した勢いそのままにゲーガーが腕を振るえば蛇腹剣と化したそれは生き物のような動きを見せながら赤い霧に襲いかかる、だがついさっきの銃を分断するまでの動きから学習したのか彼女はその軌道を的確に読み取り、大剣でいなし、または回避をしていく、確かにラーニングシステムもあるとは思っていたがその速度に彼女は舌を巻いてしまう
「予想以上だな、また手を考えないといけないのか」
「流石の能力ね、でも死者が出てくるのはうんざりなのよ」
驚愕するゲーガーの脇から現れたVectorは静かに呟いてから一歩踏み出す、と同時にその姿はかき消えて、次に現れたのは赤い霧の真後ろ、彼女が戦闘中に見せる不可思議なステップだったのだが、恐らくは監視カメラから見ていたのだろうヨゼフが感心した声で言い当てる。
《これは驚いた、君は短距離テレポートが出来るのか……いや、もっと先の技術かな?》
もっと先の技術、その言葉にVectorは表情や思考は変えないが内心では舌打ちをしてたりする、彼女自身も理解しきれてはいないが確かに頭の可笑しい物が積まれているとは聞けされているしヴァニラ達も知っている、その名も【次元跳躍】恐らくは遺跡から出てきたと言われる技術なのだがどうして一介の組織がその技術を持っていたのかは不思議である。
だが今それが分かった所でどうしようというのだと思いながら赤い霧に向けて右手を貫手の形に構えて一息と同時に放つ、いくら兵器になった彼女と言えど完璧な不意打ちならばと考えたVector、だがその体は一度とは言え、彼女からの暗殺をしっかりと覚えていた。
まるであの日の再現だった、完璧な不意打ちで放たれた一撃に赤い霧は即座に振り返り銃を分断されて空いた左手でその貫手を掴み防いだのだ、がVectorに焦りはない、寧ろここまでは想定通りだと言わんばかりにニヤリと笑う、それと同時にゲーガーが蛇腹剣で大剣を軸に体を縛り上げれば
「!?」
「チェックメイトじゃ……休め、このワーカーホリックめ」
ナガンの穏やかな声と同時に銃声が響き、赤い霧の胸元に命中、何故先程は眉間だったのにと言われそうだが動力源は胸元に埋め込まれていたらしい、ともかく撃ち抜いてから少ししてゲーガーが拘束を解けば膝から崩れ落ちゆっくりと倒れようとする彼女をそっと支え、通信機に手を当て
「こちらナガン、赤い霧の沈黙を確認、そっちでも見てくれ」
《……うん、活動の停止を確認、おやすみなさい、レイラお母さん》
「無理するなよ指揮官、お主に何かあればそっちの方が儂は悲しいからな」
「……なぁ、この遺体ちゃんと埋めてやろうぜ」
「そうですわね、あのお墓に戻してあげましょう」
ノアが手を合わせながらそう呟けば隣で同じ様に手を合わせていたクリミナが答える、だがそれは少し後でだ、今は漸く追い詰めたヨゼフ・アルブレヒトを消すことが優先だと赤い霧をゆっくりと横にしてから彼が居ると思われる元へ向かう。
その件の彼はと言うと今回のウサギ部隊と赤い霧の戦いから得たデータを纏めたノートPCを手にし隠し脱出路で逃げようとした時、その道へと続く扉が開き現れたのはガス欠で撤退したジャウカーンとそれの護衛に付いたスユーフを除いたエゴールを捕縛しに行った面々、それと
「どういうつもりだ、と聞く必要もないようだねエゴール大尉」
「話は全て彼女たちから聞いた、どうやら貴様は私を騙していたようだな」
「騙してはいない、世界を平和にしたいというのは本当だからね。まぁ彼女たちを使っていた、というのは黙っていて申し訳ないと思ってるよ」
「動かないで、二度目はないですからね」
そう告げながら歩き出そうとするヨゼフにM4が警告をすれば全員が銃を向ける、見れば彼の周りの空間も小さく揺らめいている部分があるのでキャロルもスタンバイしていることが分かる。
しかしヨゼフは慌てる素振りも何も見せずに先ほどと変わらず余裕な態度を取る、あまりに不可解なその様子にアナが聞く
「まるで、まだ負けていないという感じですね」
「まるでも何も私はまだ負けたとは言ったつもりはないのだけどね」
「強がりを言わないほうが良いわよ、手札全部失ってるのでしょ?」
手札、AR-15が言った言葉にあぁと何かを納得したように声を上げる、確かについさっき自分が持っている切り札だった赤い霧が倒された。ウサギ部隊も地上の戦力も無くしていると考えれば彼女たちの言葉も理解できると、それが大きな勘違いだと言うことに気づかずに
「確かに手札は無くしてしまったね、だがまだ衛星兵器がある……それに」
「アナ、合わせろ!!!」
「疾ッ!」
話しながら右手を上げる行動、その動きに何か嫌な予感を感じ取ったキャロルが叫び、アナがアメノハバキリを抜いて飛び出せばキャロルが放ったワイヤーが揺らめいていた空間から射出されヨゼフの右手、それと左手を捕縛。
防御も何も出来ない状況にしてからアメノハバキリが彼の首を刈り取らんと迫り……当たったと同時に火花が散った。
「……は?」
「君たちは勘違いをしている、あれらを統べ、このような計画を立てているとなれば命を狙われることが当たり前の立場の私が……」
アナが呆けた声を上げ、ヨゼフが教師が生徒に説明するような声で語る、そんな彼の首元を見れば黒く変色しているのが見え、それに刃が阻まれている。
次に拘束していたワイヤーが突如錆びたように崩れ外れる、何が起きているのか全く理解できない彼女たちにヨゼフは告げる
「何故、全く戦えないと言う推測で動いているのかね?」
科学者は時として自身の体ですら弄くり回すものである。
ラスボスは倒したけど、裏ボスが居ないとは言ってないよなぁ?
これ最長Session数狙えるな!!(白目