それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
「総員攻撃開始!!一歩も動かすな!!!」
キャロルの号令と同時に全員が動き出す、M4達が正面から、アナはヨゼフの背後に飛び射撃を開始、キャロルもダウルダヴラの機能全てを使ってあらゆる方向からレーザーを射出する。
だが弾丸による攻撃はアナのアメノハバキリを阻んだ皮膚の変化で、キャロルのレーザー攻撃はディストーションフィールドに似たそれ防がれどれもダメージにならない、その光景にエゴールが叫ぶ
「なんだ、どうなってるんだ!?」
「ディストーションフィールドはこちらの技術、だが皮膚のあれは何だ、何かに変容でもしてるのか」
とにかく行動をさせないために攻撃をし続けながらカラクリを明かそうと目を凝らす、ディストーションフィールドの方はまだいい、だが皮膚の変化、しかもAR-15の徹甲榴弾も、アーキテクトが四苦八苦しながら制作したキャロルの目から見ても最高に近い高周波ブレードを防いだとなれば並の変化ではない。
攻撃をしながら更に目を凝らす、ほぼ同時の攻撃にも関わらずその全てで変化は間に合っており漏れはない、ということとなればあれは
「(衝撃を感知しているのは間違いない、だがあそこまでの強度に肌を変えて何故戻れる、ちっ、戦いながらじゃ俺だけじゃキツイな)ナデシコ聞こえてるか!?」
《こちらナデシコ、どうしたのキャロルちゃん!》
「現在ヨゼフ・アルブレヒトと交戦中、奴め自身の体を弄り回して強化してやがった。こちらの攻撃が全く通用しない、解析をしてくれ!」
《はぁ!え、アイツ戦えたの!?あっと、分かった直ぐにやるよ!》
幸いにも向こうからの攻撃は未だない、だがそれは決して攻撃手段がないというわけではないだろう。その証拠に先程から調子を見るように防御をしながらその自身の変化を目で見てはなるほどという感じに頷いているのだから。
要はこれを奴は実地研修の一つ程度にしか考えていないということである。何処までも足元を見やがってと攻撃を続けるがダメージにはやはりならない。
「炭素変化は上々と……所で、このまま私を逃してはくれないかね?」
「冗談だとしたら上出来よ、本気だとしたら最悪だけど」
「ふむ、では少々面倒だが、これもまた実験と行こうか」
防御している間は動けない、そんな風に考えていた彼女たちだったがヨゼフはそんな事ないとばかりにその場で足を一歩だけ踏み込めば、彼の前の地面が軽く光を放ちそれからそこから這うように現れたのは刺されば確実に致命傷になるというのが分かるほどの鉄の棘が目の前のキャロル達に向かって突き進んでくるが速さはそこまでではないのでキャロルのみはM4に抱えられて全員回避。
それを見たキャロルは即座に看破、あれは間違いなく
「コーラップス技術、いや、しかしあんな方法聞いたことも見たこともないぞ!!」
《こちらナガン、今そっちに向かっておる、状況は》
「最悪だ、奴め俺たちの技術なんて凌駕してる物を持ってやがる」
そこでナデシコから解析結果が知らされるが、その内容はヨゼフ・アルブレヒトの体は人間と言える部分が4割あるかないか、後は魔改造が施されており、特に特徴的だったのは
《私やノアに使われてるナノマシン【エアハルテン】それと、キャロルちゃんに使われてる【エテルネル】の二つが体内に存在してるかも、だからあそこまで急激な体の変化をさせても悪影響が出てないのかもしれない》
「あぁ、彼女たちの言う通りだ、お陰で力を使っても体に一切の不調がないというのは大助かりだよ、例えばこのようにね」
「させない!!」
ヨゼフが右手を上げたと同時に無理やりチャージ速度を上げたM4のグラビティブラストがヨゼフを襲うがやはりそれもディストーションフィールドに防がれ、反撃とばかりに彼が上げた右手をスッと下ろせばM4の周囲の空間に小さな波紋が生まれる。
先ずそれを見て驚愕したのはキャロル、それからAR-15が動き出してグラビティブラストの反動で動けないM4を抱える形で前方に飛び込めば、ほぼ同時に彼女が居た場所に向かってさっき地面から生やした棘が射出される。
「ダウルダヴラ、だと?」
「助かりましたAR-15……それにしても、参りましたね」
「冗談でしょ、アイツどれだけこっちの技術を持ってるのよ!!」
「そちらの技術?ダウルダヴラもスペクターに使われているコーラップス技術も、そして彼女たちクローンに打ち込んだナノマシンも、元を辿れば私のだ、ならばこれくらいは造作でもないことだろう」
当然のことのように答えてからヨゼフは再度足を一歩だけ踏み込めば今度は彼の周りの地面が等間隔で光り、そこから銃座タレットが生成、射撃を開始される。
それをM4はコンテナを展開して盾にし、アナとAR-15は的を絞らせないように動き回りながらタレットの破壊を、キャロルはエゴールを後ろに回して電磁シールドで防ぎながら、彼の先程の行動で明らかに可笑しい点を突きつける、ダウルダヴラの技術もと言ったがあれのテレポートによる攻撃は自分の処理能力だけではなく、成熟したAIを使って初めて出来るはず、だと言うのにそれをやり遂げた。
「どういうカラクリだ、いくらお前とは言えそんな馬鹿げたことが出来るはずが……いや、ナデシコ、ネーヒストの反応を今回の戦闘で一度でも見たか?」
《え、ううん、アレスちゃん達は出てきてノアちゃんが撃破してけどネーヒストちゃんはまだ見てない》
「貴様、貴様まさか!!!!」
繋がったとばかりに射殺さんという視線を送りながらキャロルは両腕を振るい彼へ苛烈極まる攻撃を行い始める、無論その全てはディストーションフィールドと炭素変化による高強度で防ぎながらヨゼフは答えたのは彼女の予想を更に上回る言葉だった。
「ネーヒストか、彼女ならば打ち上がった衛星兵器の中枢システムとして此処の更に奥で働いてくれてるよ。それで私が今の攻撃を行える理由だったね、簡単なことさ、更に量産したクローン達に少々協力してもらってるだけだよ。ただ、難点を上げるとすれば流石に何度も使える攻撃ではないということか」
「っ!貴様、一体どれほど命を弄ぶように生み出せば気が済む!!!」
「彼女たちはパーツして作り出したのだ、ならばその役割を全うさせてあげるのが本望というものではないかね?」
此処で出た来たのはヨゼフ・アルブレヒトの本音、彼は初めから生命を生み出したという感覚で作っていない、ユノやノアには生みの親と言ってのも間違っても命という意味ではない。
彼はただ単に己の目的のために必要な【物】を作ったに過ぎず、此処までの行いも外道と言われてもあまりピンと来ないというのが感想である。彼の言葉にキャロルの顔が更に怒りに歪む、M4もAR-15も今まで見たことのないような顔で攻撃の手を緩めないが現実は変わらない。
「さて、他に質問は無いかね?」
ヨゼフ・アルブレヒトの絶対的余裕が言葉に現れる、事実、未だ彼女たちは彼に一つも攻撃が通らず逆にヨゼフからの攻撃で今の所直撃などはないが着実に追い込まれているのだから、だがそうだとしても諦めるわけには行かない、こいつは生かしてはおけないと各々得物を握る。
「ふぅ、どちらにせよ君たちを私も生かしてはおけないのでね……本気で「鉄!拳!制!裁!アンカァァァァァァァ……クロォォォォォォ!!!!!」ほぉ、面白い技術だ、拳そのものに高周波による分解を組み込むとはね」
真紅の拳がヨゼフを襲うが彼はそれを【ディストーションフィールド】で防ぎ感心の声を上げる、それからその方向を見れば
「追い詰めたぞ、ヨゼフ・アルブレヒト」
「諸々の理由は全員じゃねぇけどな、弾丸がねぇ奴は下がってろ」
レイラの遺体を地上に運ぶのとやはり消耗が無視できない者たちを撤退させたが、ナガン、ノア、アーキテクト、ゲーガー、それから嫌な予感がすると追ってきたM16とSOP、ROが到着、人数的差は圧倒的になるがそれでもヨゼフの表情から余裕は消えない。
基本的に動かないで戦闘をする系裏ボス、それがヨゼフ・アルブレヒト
え、何でクリミナは下げたのかって?まぁほら遺体を地上に運ぶのとこの先絶体に連れてったらマズイ気がするというお婆ちゃん判断ぞ。
Vector?多分腕を掴まれた時に潰されたんじゃないんですかねぇ?
(総勢13人の戦闘描写とか今の人数でもハゲるのに無理ぞ)