それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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それはどんな調味料にも勝る魔法の味付け


貴女に食べて貰いたくて

場面は引き続きカフェ、小休憩として全員が改めて飲み物を注文し一息入れたあと、PPKが口を開く

 

「そ、それで、あたくしと指揮官の仲を進められる方法とは」

 

「何だかんだ言って気になってるじゃないかにゃ」

 

「茶化さないで下さいませ」

 

「ふふふ、仲がよろしいのですね。それで指揮官との仲を進められる方法でございましたね、ならば先ずは胃袋を掴んでしまうのが宜しいと思います」

 

胃袋を掴む、つまり料理を振る舞えということ、確かにそれは有効だにゃと盲点だったとばかりに納得するIDW。指揮官と言えば食べる事が好きなのは周知の事実でありならば料理で攻めていこうというのは非常に有効である

 

まぁそれでも胃袋を掴むとなると少々難易度は上がりそうだがいっそ回数こなして好きな味にしてしまえばいいのでG36の提案は間違ってはいない、いないのだがそれを聞いたPPKの顔色はよろしくない

 

それに気付いたIDWは不思議に思いながら真顔で顎に手を当ててなにか悩んでいるPPKに

 

「どうしたにゃ、何時もならすぐに食いつくのに何をそんなに悩んでいるにゃ」

 

「えっとですわね……その、お恥ずかしい話としてあたくし、料理というのを触れたことが無いのですわ」

 

「なるほど、ですが問題ありません」

 

PPKの悩みを聞いた上でそう言い切ったG36に二人の視線が集まる、彼女は自信有り気な顔でこう続けた

 

「料理、というものは確かに腕前も必要ではございます。ですがもっと必要なものがございます、それは『想い』です」

 

「想い……」

 

「PPK、貴女はお嬢様にどの様なお気持ちで食べていただきたいと思ってますか?」

 

「あたくしは、あたくしは指揮官に美味しいと、あの太陽のような笑顔で美味しいと言ってもらいたいのですわ」

 

「そうです、その気持ちを込め作る、それが何よりも大切なことなのです!」

 

お、なんか流れがおかしくなってきたにゃと思いつつも料理に関しては口が挟めないし何よりなんか盛り上がってるのに水を差すのもどうか思ったIDWは静かにしていることにする

 

(まぁ、やる気になったのならそれでいいにゃ、うん、だけどこれ私いる必要あるのかにゃ?)

 

尚、彼女にはPPKの料理の特訓のための実食係になってもらう流れになってた模様、そして一週間の特訓を乗り越えいよいよ実戦の日、PPKは指揮官の自室前に居た

 

兎に角誘うところから始めるにゃ、それが同僚であり何だかんだ言って相談にも乗ってくれるIDWの言葉だった、確かにそこから自分で始めなければ意味がないとPPKも納得し来たは良いのだがノックしようとした体制のまま固まっている

 

「……ありゃヘタレたにゃ」

 

陰ながら見守るIDWの言葉の通り、PPKはここでヘタレた、よく見れば緊張で顔が引き攣り身体が小刻みに震えている、が何とここから意を決してノックをすればIDWはおぉっと声が漏れそうになるがぐっと堪える、バレてはいけないのだ

 

「はいはいっと、あれPPK、どうしたの?」

 

「あ、え、えっと指揮官、夕食はもう済まされてしまいましたか?」

 

「ううん、まだだよってあっもうそんな時間だったんだ」

 

どうやら結構な時間を自室で過ごしてたらしい指揮官はPPKの言葉に道理でお腹が空きだす訳だよ笑いながら告げる、一方PPKは緊張で何時もの澄まし顔はが若干硬くなってて言葉も噛んでいるがそれでも何とか次の段階へと進もうとする

 

「で、でしたらそのあたくし、本日は夕食を作るのですがよ、よければ召し上がってほしいのです」

 

「PPKの料理!?うん、食べたい!」

 

喰い付いてきた指揮官にPPKの顔も自然と笑顔になり先程までの緊張は何処へやら二人は仲よさげに雑談を交えながら食堂へと向かっていく、それを見送ってからIDWは音もなくその場から去り食堂へと先回りを敢行した

 

食堂、早速エプロンをして本日のメニューである『シュニッツェル』を作るPPK、一週間の特訓の成果で滞り無く調理していくがやはり緊張があったのだろうそこには多少焦げが目立つシュニッツェル、そして何故という顔で立ち尽くすPPKの姿

 

(ど、どうしてですの、特訓どおりに調理したはずですのに……時間を間違えた?いいえ、火の強さ?それとも)

 

ぐるぐると答えの出ない自問自答を繰り返すPPK、流石のIDWも少々心配になるが出ていくわけにも行かないのでとりあえず傍観しているとひょこっと指揮官が調理場に入っていき、そのシュニッツェルを見て

 

「おぉ、これってやっぱりドイツ料理?」

 

「え、あ、はい、これはシュニッツェルと言いまして仔牛のカツレツと言えば伝わりやすいでしょうか」

 

「カツレツ!いい匂いだし美味しそうだね」

 

「え、えぇ、ですが申し訳ございません指揮官、見ての通り焦がしてしまいまして……あたくし、あれだけ特訓しましたのに」

 

落ち込むPPK、そんな様子の彼女を見た指揮官は徐にナイフとフォークを持ち出してちょっと行儀悪いけど見逃してね~とシュニッツェルを切り分けてから一口食べて味わいながら飲み込み

 

「あ、指揮官!?」

 

「うんうん、美味しいよPPK」

 

「え」

 

それは一週間前、G36に伝えた内容そのままの笑顔の指揮官、想いを込めた料理は何物にも勝るのですよ。G36は特訓の時にそう教えてくれたがこういうことだったのですかとPPKは納得する

 

そして彼女はその後に続いた指揮官の言葉で改めて想いを強くする、指揮官はナイフとフォークを置いてPPKの顔を、目を見ながらゆっくりと言葉を告げる

 

「だってさ、調理してる時のPPK、凄く一生懸命だったから、それで出来上がった料理が美味しくない訳ないって、だからさ一緒に食べよ?」

 

言葉の通り、調理中のPPKは何時も以上に真剣にそして気持ちを込めて調理していた、彼女はそれをしっかり見ていたのだ。だから焦げて落ち込んでいた時にひょこっと現れこうして美味しいと笑顔を見せに来たのだ

 

それを理解したPPKは感極まって、それを指揮官が困らせない形で伝えたいと思って自分が出せる一番の笑顔で

 

「はい、ご一緒させていただきますわ」

 

「っ!!??あ、う、うん、食べよう!」

 

その時、見せた笑顔は指揮官ですら見たことのない本当に綺麗な向日葵のように、恋する乙女の様な笑顔だった。それは思わず見せられた指揮官が顔を赤くしてしまうほど綺麗だった

 

「……落とそうとしてる側が再度落とされたと思ったら距離を詰めたにゃ」

 

「言ったではないですか、想いという調味料は何物にも勝ると」

 

「こりゃ思ったよりも進むの早そうだにゃ」

 

食堂の一番後ろのテーブルでIDWとG36が二人の夕食会を眺めながらハンバーグを食べながら各々感想を告げていく、こうしてPPKの最初の一歩は大成功で収めたのであった




書いてる時にエプロンポニテ新妻スタイルPPKを受信して浄化されてコンティニューしてから投稿したので初投稿です(ライフ98)

本当にこの司令部場違いなレベルで平和だなおいと最近思いながらでもこれで良いんじゃないかなと開き直りつつある今日このごろ、それはそれとして百合は良いぞ

次回どうしよっか
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