それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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つい勢いで作ったと供述しており……


アーキテクトの新兵器!

開発部門【総合開発ラボ】技術部の面々が集まり基地の為に役立つ兵器やらを開発するラボにて本日新たな兵器が開発されたらしい、その名も【自律思考型多脚戦車】、とは言ってもまだ試作段階の一機のみではあるが。

 

開発理由としては特殊作戦の際には最低でも一機を配属し作戦支援をさせたいというのと、ユノ含めたP基地の主要人物の遠征などの際の護衛戦力の確保が理由となっている。それを聞いたキャロルも暫し悩んでから必要になるのは確かかと頷き、そして今日その試作機が完成という流れになっている。

 

「で、これがそうなのか」

 

キャロルがそう告げる視線の先にはコードなどに繋がれた一機の自律思考型多脚戦車が鎮座されている、色合いは黒をベースに部分的に白が入っており、その見た目はデフォルメされた蜘蛛をイメージさせるが中央胴体の、背中というべき場所には人一人が入れそうな大きさのポッドが装着され、そのポッドにはなにかの射出機構らしきものが六門見える。

 

パッと見で分かる武装らしいものは口吻に見える部分にある榴弾砲だろうか、それ以外では見当たらず戦車、という単語には少々首を傾げてしまうとキャロルが思っているとアーキテクトが自律思考型戦車に近寄りながら

 

「とは言ってもこれからAIを育てて、そこから量産って形を取るつもりだからまだまだだけどね~、では紹介しよう、この子は……」

 

アーキテクトがそう告げながら起動させれば四脚を使って体を起こして、胴体に当たる部分の正面と両側面に付いている光学素子を持つ球体の外部観測機をキョロキョロと動かしてから右のマニピュレーターを上げ

 

「初めまして、ぼくは【ラーニョ】!」

 

「……随分と子供らしいAIを生み出してくれたなアーキテクト」

 

「いやぁ、これから成長するし?」

 

なんとも子供っぽい音声と仕草に軽く頭を抱えるキャロル、だがアーキテクトの言葉通りこれはまだ産まれたばかりのAIだからであるというのは正しい、のだがでは成長すれば子供っぽい感じはなくなるのかと言えばそれもまた怪しい話ではあるが。

 

という事でP基地に加わった新たな仲間【ラーニョ】、キャロルとの初対面こそあんな感じであり少々不安を煽るものだったのだがいざ任務で出てみれば、ランページゴースト副隊長のアナ曰く

 

『確かにL85が車長をしているM1エイブラムスと比べれば火力と装甲では劣りますがそれを補って余りあるほどの機動性、火力も劣るとは言いましたがそれでも並の敵ならば右腕のチェーンガンか50mm榴弾砲でも十分対処できますし、装甲の方もそれこそ多数から集中攻撃や機関砲クラスの直撃でもなければ結構耐えますし、多少まだ落ち着きがない部分がありますが、頼りになる存在だとは思いますよ』

 

と絶賛、またある時はテロを事前に阻止するべくヤークトフントと出撃した時もあったがその時はM21がポッドに搭乗した状態で狙撃の任務、その後の撤退も援護したのだが彼女が言うには

 

『隠密も結構行けるんじゃないかな、移動にも静音モードがあるし、トゥーマーン並みのステルスと光学迷彩もあるし、壁にも貼り付けて、液体ワイヤーも色々と応用で使えそうだしで楽に狙撃も出来て逃げることも出来たよ、もう一機造って配備してくれない?え、まだ駄目、そんなー』

 

「どうよ、ラーニョも結構出来るやつだろ?」

 

「エッヘン!」

 

数日後、総合ラボにて今日までの評価をアーキテクトがキャロルに報告すれば隣でラーニョが3指付きの二本のマニピュレーターを腰に添えるような動きをしてからそう声を上げる。その仕草にキャロルは評価を認めつつも軽く溜息を吐いてから

 

「……AIが育てば子供っぽいのは無くなるのではなかったのかアーキテクト」

 

「いやぁ、どうもこれはこれで成長してるって感じなんだよね、因みにユノっち達からも大絶賛、そしてラーニョも彼女たちのことは」

 

「大好き!」

 

らしいですとキャロルの方を見れば、まぁそれならばそれでいいがと諦めに似た声で答える、だがどうであれ評価が高いのは事実、自身も何度かラーニョが出撃している任務の指揮をナデシコから執ったことはあるが確かに居て助かったという部分があることは否定しない。

 

しかもM21が言ったように光学迷彩は生半可なモノでは見破られるものではないことを考えれば何かあった時に待ち伏せとして使えるカードにもなりうる、懸念があるとすれば量産した場合に同じAIを元にするならば間違いなく騒がしくなるという点、本社の方からなにか言われるかもという点はあまり気にしてないので、実質デメリットはそれだけかと考えてから

 

「アーキテクト、もし新たに作るとなればどの程度かかる」

 

「うーん、まだこの子のAIも成熟しきってないからもう少し様子を見てからって考えて……一月かなぁ」

 

想定よりも少々長い時間を提示されれば、ラーニョと言うAIがどれほど作り込まれていた存在かということを思い知らされる、更に言えばそれをウロボロスの協力があるとは言えコピーできると言外に断言するアーキテクトに驚きながらもキャロルは一つ頷いてから

 

「ではそれで進めておいてくれ、あ~、改めてだがこれから宜しく頼むぞ、ラーニョ」

 

「よろしく、指揮官!!」

 

P基地所属の自律思考型多脚戦車【ラーニョ】戦車と銘打たれながらもその機動力はそれらを凌駕し、射出し空気に触れれば即座に硬化する液体ワイヤーを使った立体機動、ワイヤーを物体に付ければ対象の動きを封じることも可能なほどの馬力も持ち合わせ、胴体部分の50mm榴弾砲は他の武装にも換装が可能、装甲は機動力の確保のために軽量化がされているがだからといって薄いとか脆いというわけではなく、フォースシールドの技術ともはや当たり前のように使っている正規軍の戦車の装甲技術の合わせ技でアナが先述したように十分な装甲も持っている。

 

また日常では子供っぽい、何にも好奇心旺盛なAIだが作戦になればそれらも鳴りを潜めると考えれば可愛らしい愛嬌というモノになる、故にP基地のマスコットの一員になるのも当然の帰結と言えるだろう、何だったらスチェッキンの屋台に手伝いに出ている時もある程だ。

 

その日常への適応っぷりにキャロルはただ一言

 

「なんと言うべきか、ラーニョもだが基地の連中も受け入れるのが早すぎるだろ」

 

「それが、この基地の良さじゃないかしらね……でも今日は見てないわね、何処に行ったのかしら」

 

Five-sevenの言葉に彼女は答える、今ラーニョはアーキテクトを乗せてD08に向かったと、何でも

 

「ドリーマーに君を紹介してやろうぜ!」

 

「ヤッホーイ!!」

 

因みに最後になるが同じく技術部所属である88式と89式も当然ながらラーニョの作成には携わっているのだが、これを作っている時に思ったことは主任が最近RFBと見てたアニメに似たようなのが出てきてたようなという感想だった、つまりはそういうことである。




自律思考型多脚戦車【ラーニョ】
まぁ隠しても無駄かもしれないので白状するとタチ○マです、カラーリングとか違うけどまぁ凡そはそれです。ただ大本よりも装甲と光学迷彩関連は上方修正されていたりする。

本編では書いていないが右腕のチェーンガンは必要に応じて弾種を選択できたり大本同様に左腕には有線接続用のプラグもあるので電子戦も出来る。

将来的にはドルフロでの一小隊、つまりは5機用意したいとか考えてるらしい。

お ま け
D08に到着してドリーマーに自慢してやろうと乗り込んだ時の彼女たち
アーキテクト「何だこのロボ!?」

ラーニョ「強そう!」

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