それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

665 / 794
PKを出したのはライザ2の発売が決まったからです(素直


オールアラウンドトレーダー(何 で も 売 っ て 差 し 上 げ ま す)

頼まれたとは言え、此処最近の自分の役回りは何と言うか彼女の商品発明役に任されているのではないのだろうか、そんな事を考えるのは錬金術が趣味と断言し、その副産物として科学的な研究や薬品の開発、最近では粉末スープ等と言ったモノの制作を任されている【PK】

 

確かにできるか出来ないかで言えば出来るし、真新しいことは単純に楽しいので文句はない、無いのだが少し前に頼まれたそれには彼女はこんどはどんな商売ルートを開拓しようとしているのだと思ってしまっていたりする、まぁそれでも面白いので断ったりはしないのだが。

 

そんな事を思いながら作業を進めていると扉をノックされ、返事をすれば入ってきたのは件の人物。P基地の財源の一つを担い、彼女の発案からこの基地の様々な消耗品の物資の開発が進んだとも言われる最近銃を握った記憶がないと本人が言うほどだが戦術人形である【スチェッキン】である。

 

「やぁやぁ、調子はどうかな?」

 

「変わりなくよ、それで今日はどんな要件かしら」

 

振り向かずに調合と開発を行うPKにスチェッキンは近くのソファに座ってから今日は別に頼みに来たわけじゃないんだけどねと前置きを告げてから

 

「この前に注文した商品、好評でね~、その御礼を言いに来ただけだよ」

 

「そう、なら良かったわ」

 

「相変わらずの反応の薄さだね~」

 

とは言われてもこれが自分の素なのだから仕方がないだろうと思いながら肩を軽く竦めるだけで答える、スチェッキンが言う注文した商品、それが前述したどんな商売ルートを開拓しようとしているのだと言う疑問に繋がるもの。

 

商品自体はなんてこと無い、彼女からある日唐突に近い形で頼まれたのは【粉ミルク】、だがそれを聞いた時はPKはなぜそれを自分に頼むのかという疑問は浮かびはした、したが食料関連の開発組は確か忙しそうにしてたなと思い出して了承、そしてそれの第一弾目がこの間、出来上がってスチェッキンに流してどうやら彼女はそれを孤児院に格安で売りに行ったらしいのだが好評だった模様。

 

「直ぐに溶けてダマになりにくく、それでいて赤ん坊もすんなりと飲んでくれて大助かりだって」

 

「まぁそのために態々ユノ指揮官補佐とクフェア、それにD08の彼女たちにも母乳を提供してもらって成分を解析、再現、調整をしたのだから当然と言えば当然ね」

 

因みにその粉ミルク制作のための母乳の提供はPK自ら直球に頼んだので若干引かれた、その後に直ぐに理由を話したので納得されはしたのだがあのままでPKがおかしくなったと思われても仕方がなかっただろう。

 

そんな話をしつつ、ふとそう言えばあの時期に食料関連の方はなんで忙しかったのだろうかと言うのを棚の試作品の薬品が並んでいる棚を眺めているスチェッキンに聞いてみれば

 

「あぁ、あの時は同時並行で離乳食の開発を開始してたのさ」

 

「離乳食?はぁ、P基地は乳児用品の販売でも始めるつもりなのかしら?」

 

「ふふ、それも今後を考えると選択肢としてはありだね。まぁ理由の第一としてはユノ嬢やクフェア嬢の子供が将来的には必要になることが分かってるからね、ならば先に作っちゃおうって考えさ」

 

更に言えば周りでも必要になることは間違いないから決して無駄にはならないだろうと続ければまぁ確かにそうなのだけどとスチェッキンの商魂の逞しさに呆れつつ答える。

 

この離乳食の開発は実を言えば軌道に乗りつつあるレーション開発の派生だったりする、コンセプトはどんな子でも美味しく、それでいて幼児の成長に必要な栄養価を凝縮させた物、味だけは多種多様を用意しつつも栄養価は一定にすることで味の好みなどで食べてくれないなどの問題が出ても他の味ならば食べてくれるのならば健やかに成長するという方向性らしい。

 

そして、PKはまだ知らないことなのだがスチェッキンは割と本気で乳児用品の商売も視野に入れているようで粉ミルク、離乳食の他にも乳児が飲みやすい形の哺乳瓶、咥えやすいおしゃぶり、知育玩具等などetcの開発も同時並行で様々な所に頼んでいたりする、これには流石にP基地だけでは難しいのでキャロルに話を通し、そこからカリーナ、ヘリアンに持ち掛けてグリフィンとしての開発にはなっているがお陰でスチェッキン自ら街の工房などに話を持ちかけて制作が可能になっている。

 

「……本当に、幅広く販売してるわよね貴女」

 

「ん、どうしたんだい唐突に。私が幅広く商売してるなんて前からだと思うけど?」

 

ここで調合に一段落ついたのか、作業の手を止めたPKがインスタントコーヒーを淹れながら、さっきのスチェッキンの言葉に思わずでしょうねと思ってしまう。

 

向こうはまだ気づかれていないとい思っているのかもしれないが勘付いていた、此処に居るスチェッキンは普通ではないと、そしてその正体を、PKは淹れたインスタントコーヒーを今度は自分がさっきまで調合していたそれを興味深そうに見つめているスチェッキンに渡してから

 

「お、ありがと、悪いね長居するつもりじゃなかったのに」

 

「別に構わないわ。ただそう思うならそうね、少し私の答え合わせに付き合ってくれるかしら」

 

答え合わせ?そうオウム返ししてきたスチェッキンにPKはコーヒーを一口飲んでから静かに、淡々と、彼女の前の異名を口にした。P基地所属のスチェッキンは何時だったか語ったが前まではガーデンの暗部の首領の元でそれこそ何でも売るような商売人を務めていた、故にこう語られる。

 

「【オールアラウンドトレーダー(何 で も 売 っ て 差 し 上 げ ま す)】これ、貴女のことよね」

 

「驚いた、ナガン以外にも辿り着いた奴が居るなんて」

 

言い当てられたことに驚きながらも動揺も何もなしにいつもの調子に答えるスチェッキン、別段その通り名が自分だと他人にバレたとしてもあまり痛くないのでもんだ無いという感覚らしい。

 

実際、オールアラウンドトレーダーという異名は裏でも表でもそれなりに有名ではあった、金さえ用意すれば確かな物を販売する人形の商人、だがそれが誰なのか、追おうとしても雲を掴むような錯覚に捉えられるほどに掴めずに誰もが諦めてしまう、故に彼女の存在は今では都市伝説の一つみたいな扱いになっている。

 

が、実際はこのオールアラウンドトレーダーという異名は伝承されるタイプの通り名であり、その都度、人形であり人間でも有るがために無数に存在してしまい、特定できない、それがバレていない理由である。そしてこの通り名をこのスチェッキンはまだ手放していなかったりするが、PKもそこまでは探っていないので知らない話である。

 

「まぁ、それだけよ、偶々この話を聞いてもしかしてって思っただけ」

 

「実際、結構便利な通り名だけどね~、さてコーヒーご馳走さま、んじゃまた何かあったら頼みに来るね、あぁっと今回の粉ミルクの報酬、此処に置いておくからね~」

 

粉ミルクの報酬、そんな約束もしてたわねと思いながら去り際に置かれた茶封筒を見つめて、中身を見てから

 

「こんな事しなくても話さないと思うのだけどね?」

 

少しだけ色がついた中身にPKが珍しく苦笑するのであった。




なんかこのスチェッキン、知り合いに【何でも変えて差し上げます】とか【何でもお手伝いします】とか居そうっすね

予告
????「は、離しなさい!私はただシャフトちゃんのサポートで一緒に運動しようとしただけで何もやましい事なんて考えて、はな、離せぇぇぇぇ!!不当逮捕よこんなの!!!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。