それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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G3達の出番は多分来週です


故人を想う

Vectorはルンルンと言うテンションで目的の人物を探していた、少々日付外れてしまったがまぁそんな事を気にする基地ではないので問題ないだろうと思いながら準備をし、それを手に基地を練り歩く。

 

此処最近では基地もフェアリーリリース作戦後は非常に穏やかであり、確かに突発的な緊急任務などは発生することはよくあるが終えてしまえば、のんびりなものであり今日は特にそれが色濃く現れ、Vectorもだから今日を狙ったのである。

 

(あ、居たわね)

 

どうやら見つかったらしい、Vectorは軽い足取りでその人物に近寄れば向こうも足音で気づいたのか振り向き、彼女に気付けば普段どおりの陽だまりのような笑みを浮かべて

 

「どうしたのVector、なんだか楽しそうだけど?」

 

「えぇ、丁度貴女を探していてね。ルキアとクリミナもおはよう、元気そうね」

 

「きゅあ、きゃっ」

 

「それで、ユノに何か御用でしたのでは?」

 

などと聴いてみてはいるがVectorが手に持っているそれになんだか寒い予感がすると引きつった笑みが浮かびそうになるのをこらえていたりする。勿論、ユノも気付いてはいるが特に何かを感じているということはなく、何の用事だろうねぇとルキアに話しかけている。

 

ともかく、彼女の用事とは何なのだろうとユノ達が彼女に視線を送れば

 

「ユノ、厳密に言えば過ぎてはいるけどこの季節は日本ではとある時期だったってのは知ってるかしら?」

 

「あ、知ってるよVector、確か【お盆】って言うんでしょ!」

 

ユノが自信満々に答える、ご存知かもしれないが今は先生を目指して勉強を積み重ねて様々な知識を会得している、ただ何をどう勘違いしたのかは不明ではあるが学校の先生は様々なことを知っているというのを真面目に受け取ったようであらゆる分野の知識を吸収、その成果の中に今回の知識も眠っていたようだ。

 

はっきり言ってしまえばユノの答えは正解である、少々時期は過ぎてしまったが確かにお盆ではあり、今朝方は一〇〇式がそこそこの量のきゅうりとナスを食堂に運び入れていたりする、今頃お盆特有の飾り付けを作ろうと奮闘している頃だろう。

 

が、今はそんなことはどうでもいいとVectorの心にはそれに支配されていた、朝早くから起きて態々こうして準備までして、小道具まで用意していざ披露しようとしたタイミングでまさか彼女から答えが飛んでくるとは思っても居なかった彼女は

 

「先生は、物知りなのね」

 

「え、あれ、どうしたのVector、なんだか物凄く落ち込んでるけど!?」

 

「恐らくはその手に持った【おぼん】を掛けたギャグでも披露したかったのでは?」

 

テンションが落ちに落ちましたという声で、だと言うのに何だか爽やかな表情でそう告げるVectorにユノはなにかしてしまったのかと慌て、クリミナは冷静に分析しそう答える、今日も基地は平和です。

 

という事で本日はお盆、冒頭でユノが自信満々に答えはしたのだが流石に詳細まではまだ覚えていないのでと食堂にて一〇〇式からの熱心な解説を聞き終えたところである。

 

「死んだ人間が戻ってくる時期、か……それってこれに乗ってくるってことなのか?」

 

これ、ノアがそう言いながら指をさすのは割り箸で作られた馬に見立てたきゅうりと同じく割り箸で作られた牛に見立てたナス、きゅうりは霊が早く戻って来てくれるように、ナスは景色を楽しみながらゆっくりと帰ってもらえるように、という意味が込められている。

 

「これに乗って帰ってくるレイラを想像すると笑えてくるのぉ、アヤツ乗馬なんて出来たか?」

 

「少なくとも聴いたことはないですが、出来ても不思議ではないかと思われます」

 

因みにだがレイラは普通に乗馬もこなせていたらしい、この情報は後日偶々、ガーデンの雑貨屋でエゴールとばったり出会ったナガンが聞いたものであり、そこからお主本当にアヤツのことが好きだったんじゃなと突かれると言葉に詰まる正規軍大尉が居たとか。

 

そんな余談はおいておき、周りではユノ達以外にも故人を想い同じ様にその2体を作っている者たちもチラホラと見受けられる、中にはヴァニラも居り作っては見たものの、これに娘が乗ってくる?と疑問符を浮かべていたり居なかったり。

 

この基地は普段の振る舞いから忘れられそうだが過去に大切な誰かを喪ったという者たちは多い、ヴァニラも、IDWも、ヤークトフントの面々も、キャロルもそうであり、言わずもがなノアも自身の無力で救えなかった妹たちを思い出せばこういった行事に参加することも吝かではない、ないのだがやはり

 

「……妹たちがこれになぁ」

 

「意外とノリノリだったりしても不思議じゃないと思うけど、ほら、なんか可愛い感じしない?ってああ、ルキアにはまだ食べれないよきゅうりは」

 

「ぶぅ」

 

「呵々、親に似て食い意地があるのぉ」

 

そういう問題なのかなぁと思いながら、不満げに手を振るルキアをあやしつつ、隣のクフェアに抱かれてノアが弄っているナスをただ見つめているクリスを見るが彼女も決して落ち着いているとかではない、その証拠に

 

「ほぉらクリス、ナスの牛だってよってっん?持ちたいのか、割とデケェから持てるのか?」

 

まぁいいや、ほらとそっと近づければ、その小さな手からは想像できない力強さでガシッとナスを掴んで何を思ったのかブンブンと上下に振り始めるのだが持ちだけで精一杯のそれを振れば当然ながらスッポ抜けるわけでナスは放物線を描き、そろそろお昼だし余ったきゅうりとナスで何か作りましょうかとG36が加熱していたフラウパンにホールインワン、ジュ~とナスが焼ける音と匂いがノアの鼻をくすぐれば

 

「あぁ、牛はまぁ焼けば美味いからな」

 

「でもあれ帰りのための牛、ですよね……」

 

「だぁ」

 

満足げなクリスの声、突如飛来したナスに驚きつつも状況を即座に理解したG36が焼けていくナスを見つめ苦笑を浮かべ、ユノとクリミナはやっぱりノアちゃんの子供だなぁと笑みを浮かべ、今の一連の流れを見ていたナガンは堪えられないとばかりに笑う。

 

笑いながら彼女は想う、もし本当にレイラと【ユノ】が霊として帰ってきているとすれば、こう告げてやりたいと

 

(安心して見て回り、ゆっくりしていってくれ、お主の子たちは幸せに過ごしておるからな)

 

なお、この日のお昼と夕食はきゅうりとナスのフルコースだった模様。




多分、レイラさんとか帰ってきて孫の姿見たらはしゃいでるんだろうなぁ
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