それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
ここはペルシカが主任を務める16Labの一室、勿論ながら彼女だけで作業を行われているというわけでもなく他にも職員が居るのだがその内のついさっき仮眠から戻ってきた一人がふと気づき、近くの同僚に
「あれ、主任はどこに?」
「主任なら今日の仕事片付けて娘と孫に会ってくると迎えに来た人形とP基地に向かったよ」
その言葉にあぁと即座に納得、確か最後に会ってから一週間くらいは経っているで顔を見に行きたくなるのも無理はないだろう、なのだが少し前までとペルシカリアという人間の今までを知っている身としては彼女のその変化には驚きを隠せない。
人形と科学一筋と言っても過言ではなかった博士が、ある日突然、少女を保護し当時は気まぐれだったと思うのだが知識を教え、気付けば養子にまでしてしまう、だが分からなくもないと一つ頷いてから
「それにしてもああも人が変わるもんなんだなぁ」
「確かにね、でもそれだけあの娘の存在が大きいってことでしょ……まぁでも分かるわ、ユノちゃんも可愛いし、その子供も愛らしいもの」
うっとりとした同僚の言葉にその部屋の職員が全員頷く、ユノを保護した時、ペルシカだけが世話をしたわけではない、慣れないながらも彼ら彼女らも携わり、ついこの間ペルシカの元を訪れたユノを見て彼らもまた娘みたいな感情を抱いてしまっているのであった。
とまぁLabはそんな空気の中、その後も作業が行われるのだが割愛しペルシカはと言うとP基地にて家族との団欒を楽しんでいた。
「思うのよ、ルキアとクリスが大きくなったらなんか無尽蔵にお小遣いあげちゃいそうな気がするって」
「駄目だからね、ペルシカお母さん……」
「あ、あはは、冗談に聞こえないのがペルシカお義母様の怖いところですね」
「止めぬと間違いなく出てくるからな、使わないで放ったらかしの給料とか有るじゃろうし」
「ラボの主任のお給料、末恐ろしい額が出てきそうですわね」
実際有るから困ってるとは口には出せずに愛想笑いで誤魔化すペルシカに苦笑する一同、どうやら将来的にはペルシカは孫に甘々なお婆ちゃんになってしまいそうであるが、ユノやクフェアもしっかりしているし、そこで今の話を聞いて呆れ気味な表情を浮かべているノアがしっかりと節制させたりするだろう。
「甘やかしすぎんなよ、ていうかまだ先の話じゃねぇか……」
「この歳になると時が経つのが本当に早く感じるんだよ」
「うむ、少し前まではと思ったら、もう大きくなっているなんてことは良くあるのじゃ」
だよね~と二人して頷く様子にイマイチ理解できない他は小首を傾げる、だが将来、具体的には13年後にはこの時の言葉を彼女たちも理解するだろう、時は急に足を早めるんだということを……
そんな風にペルシカはこの時ばかりは主任という肩書を外し、血が繋がってなかろうが大切だと言える娘と孫達と過ごすことで仕事の疲れを癒やしていくのだが、今日に限ってはそれだけではなかった。
「こんな時間に集まってもらってすまないね」
「それを言うのならば家に帰ってきてまで仕事の話をしなければならないそっちのほうだろう、本来であればゆっくりしてもらいたいものなのだがな」
「本当よ、ユノちゃんなんか仕事なら手伝おうかなんて言っちゃうんだし」
「あの能天気バカは何いってんだ……んで、ランページゴーストまで集めてってことは任務だろ、何かまたでかい案件か?」
時間にして夕食後、まだ就寝までは時間があるがそろそろという頃、ペルシカに呼ばれ特殊戦術室には指揮官であるキャロルと副官のFive-seven、ランページゴーストの3人が集まり、通信越しだがオモイカネも接続状態になっている。
事の始まりはペルシカから通信では言えない重要な話を持ってきたと夕食時にキャロルに話したのが始まり、代表してノアが聞けばペルシカはオモイカネに指示を飛ばしてとある地点をモニターに映す、そこは
「鉄血支配下の資源地帯か、ここの攻略の話となれば確かに通信でおいそれとはいかないな、で詳細は?」
「今回の作戦は地上と地下からの攻略なのだけど、P基地もといランページゴーストには地上の方をお願いしたい、地下にはバルカンとナイトメア、それとDG小隊とリバイバーが向かう手筈に、地上には君たちとパラケルススの魔剣で攻めてもらうことになる」
「まぁ地下じゃアタシらの機動力は活かしにくいしな」
「ですが見た感じだと工場群だけあって煙突や、高い建物が多い感じですね、隊長が空から偵察、と言うのがベターでしょうか」
アナの指摘通り、工場群という事で高層ビル群と比べればまだマシだがそれでも見通しが絶対に良いというわけでもなく、高所も数多く存在する、自分たちならばここにスナイパーでも配備して敵襲に備えるだろうと考えれば攻めるには容易ではないと難しい顔になる。
だが忘れてはいけないのはこの基地だからこそ出来るチートに近い方法、アナの言葉にキャロルが
「ノアでも全域は難しいだろう、だとすればナデシコの出番だ、オモイカネ、現状のこの地点に何か反応はあるか?」
「もう既に探っておいたよ~、地下にも地上にも反応多数、大きいのだと地下に2つ、地上にも2つ、地下の2つはどっちもUnknown反応、地上の方はドリーマーと同じくUnknownが一つ、ハイエンドクラスなのは間違いないね」
これが反応が出てる場所だよとマップに赤い点が表示されて地上の方のUnknownの反応の位置にRFBがうげっと声を漏らす。
高所、それも奥地で一番見晴らしがいい場所だろう位置にその反応が写っているのだ、勿論作戦当日までその位置にいるとは限らないが
「厄介だな、そのドリーマーに手間取れば狙い撃ちという事か……などと思ってくれると考えるだろうな」
「タイミングを見てアタシがコイツに突っ込む、蹴りでも入れりゃどうとでもなるだろ、っても都合よく行かせてはくれねぇだろうけど」
「状況次第ですね、どちらにせよ数が多い鉄血下級兵も倒せないといけないですし」
「えっと、じゃあそのパラケルススは私が護衛する感じにしたほうが良いよね、レールキャノンってことは自衛手段とか乏しいだろうし」
それから数時間ほど、念入りに当日の動きを確認、では解散とキャロルが告げノアが部屋から出ようとした時、ペルシカに呼び止められる。
用があるんならさっき言えば良かったじゃねぇかと思いながら彼女の前に座れば何やら相談があるらしい、その内容は
「バルカンが、ねぇ」
「えぇ、何だか思い詰めてるという感じで」
話を聞けば彼女が居ない間に自身の小隊は壊滅、最近ではその仇と戦ったようなのだが最新装備である【ミョルニル】により暴走状態になるも敗北、そのことが彼女の心に深い闇を落としているようであるということ。
もし今回の作戦で敵が出てくれば間違いなく戦うだろう、そして……と聴いた所でノアが口を開いた
「昔のアタシを見てる気分だな……自分が無力だったから全てを失った、その怒りをぶつけるだけのあの時のアタシに、いやまぁアタシとソイツとじゃ状況は全然ちげぇんだけどさ」
ペルシカが自分に言いたいことは嫌でも理解できる、できるがそもそもにして自分はユノのように言葉で心を動かすような器用な真似は出来ないと思っている、故にノアは
「もし、もしバルカンが暴走したとか明らかに馬鹿な真似しようとしたら全力でぶん殴る、蹴る、頭突きでもして正気に戻す、任せろ、殺さない荒事は(ココ最近は警邏でゴロツキ相手によくやって)大得意になったからな」
「……お、お願いだから自分の体も大事にして頂戴、貴女も大事な娘なのだから」
「分かってら、だけどまぁ額が割れるくらいは許してくれ、うん」
あ、頭突きだけは絶対にするつもりだ、自信満々のノアの表情に母親として心配になるペルシカだった。
数日後、資源地帯攻略作戦開始、ランページゴーストは出撃するのであった。
という事で【oldsnake】様の作品【破壊の嵐を巻き起こせ!】の大コラボ回に参加します!!
ランページゴーストは好きに使ってね、因みにナデシコもスタンバってるからこっちもいいですよ!