それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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クリス・エストレーヤの目線


☆ お淑やか子猫系少女

5:30、いつもこの決まった時間に目覚め、外がよく見える窓に配置されている椅子に座って眺めるのが日課。何時からやってるかと言われるとちょっと困る、気付いたらとしか言いようがないから。

 

ただ一つ言うのならばこうしているのは別に外の景色が好きだから、というのではない、この街が嫌いというわけではないし外が嫌いというわけでもない、ただ眺める理由はそれじゃないというだけ……あ、そろそろかな。

 

壁掛け時計を見てそう思ったら気付けば椅子から立ち上がって窓から少しだけ身体を出す、それから扉が開く音がすれば行ってきます!と言う声と共に元気よく飛び出したのは

 

「あ!クリスちゃんおはよー!!」

 

「相変わらずルキアちゃんと同じくらいに早起きだなぁ、おはようクリスちゃん!」

 

「おはよう、二人とも……怪我しないようにね?」

 

現れたのは私の大切な幼馴染のルキアと彼女の師匠であり孤児院の院長さんのロペラさんの二人、向こうからの挨拶に私は手を降ってからそう返せば大丈夫!と何処からそんな確信が出るのだろうかというルキアの声に安心感を覚える、決まって毎日この時間からジョギングから始まる修行を始める、なので私はそれを見送るためにこうして起きて外を眺めていたのだ。

 

……それに、まだこの家に引っ越す前からルキアは妙に早い時間から起きているから気付けば私も釣られて起きるようになってしまったというのもある、それでも寝不足とかはないから良いのだけど。ともかく、二人が走っていき見えなくなってから自室から出てクフェアママとノアママに朝の挨拶をするために下に降りる。

 

「おはようございます、クフェアママ、ノアママ」

 

「おはようクリス」

 

「今日も早起きだなクリス、へへ」

 

いつも思うのですがノアママはどうして毎朝、私の挨拶に答えてからこうして抱きしめるのでしょうか……でも気持ちいいから良いのですけど。っととそうじゃなくて何か手伝えることは無いかと聞いてみれば、クフェアママは大丈夫と答えてから丁度飛行してきたドローンを指差す、見れば出来上がった料理や食器を器用に運んでいる。

 

デフォルメされた少女のキャラクターのホログラムが表示されているドローンが来ているということはとリビングの大きなテレビの前に置かれているソファを見れば、私よりも小さな体で黒の髪のツインテールが特徴的な、だが見た目に似合わないくらいにダラけた体制で自身がデータの海から拾い集めてきたという【特撮】を見ていた彼女に

 

「ウロボロスちゃん、来てたんだ」

 

「……この身なりでも貴様よりは遥かに長生きなのだがな、あぁおはようクリス嬢、邪魔しているぞ」

 

物心ついた頃からルキアと『ちゃん』付けで呼んでいた癖でずっとそう呼んでいるのだけどウロボロスちゃんはその度に不満げな表情を隠す素振りを見せずにそう返す、でも孤児院の友達もみんなそう呼んでるよと伝えると更に不満げな表情を強めたけど、多分もうずっと呼ばれると思う。

 

いつもならナガンお婆ちゃんも居たりするのだが今日はルキアの方で朝食を食べるみたい、少し残念です……だけどウロボロスちゃんが居るから賑やかなのは変わりない朝食を食べ終えて、学校があれば勿論向かいますが本日はお休み、なので今日は気が向いたと言うウロボロスちゃんと修行から帰ってきて同じく朝食を食べ終えたルキアと一緒に街を散策することに。

 

「しかしまぁ……」

 

「どうしたのウロボロスちゃん?」

 

だからそう呼ぶなとという視線を一瞬私に飛ばしてから直ぐに先頭を歩くルキアに戻す、道行く人に挨拶をし、会話し、知り合いからは気付けば何かをお菓子を貰っては

 

「はい、クリスちゃん、ウロボロスちゃん!コレ美味しいって花屋さんがくれたよ!」

 

「うん、ありがと。あ、鞄にしまったほうが良いよ」

 

「勿論!帰ったらみんなに分けるんだ~、どんな味がするんだろ?あ、アウローラちゃんにルーナちゃん!」

 

「散歩をしているだけだと言うのにルキアの動きだけで飽きないものだ」

 

ウロボロスちゃんの言葉に私は小さく頷く、ルキアと散歩をしていても時間が許す限り付き合える、それほど彼女は好奇心で動く、あっちに美味しそうな匂いがするとか、向こうに可愛いネコが居たとか、意味もなく何かを見つめてみたりとか、上げたらきりがない程にルキアは様々な反応を見せてくれる。

 

前に聞いたのだけどその光景を学校の友達が見た時は飼い主と子犬と例えられたのだが、私としてルキアの事を確かに子犬っぽいとは思ってもそういう眼では見ていないのだけど……と考えていると耳が何かを拾った。

 

ふと周りを見る、この音は間違いないと確信を持ってその方向を見れば、丁度始まったばかりだろうこの街のアイドル、いや、今や世界のアイドルになりつつあると言っても過言ではない【スリーピース】のゲリラライブがそこにあった。ともすればルキアもそしてウロボロスちゃんも気付く、が

 

「クリスちゃん、スリーピースってもう居ない!?」

 

「何だあの速さ!?お、追うぞ!」

 

二人がなにか叫んでいるけど今の私には関係ない、彼女たちのライブというのならばそこに行かなければ、そう、何を隠そうスリーピースが大好きで、ゲリラライブに出会えた時は絶対に聴きに行く、なので自室には勿論CDもある、DVDもある、グッズもある!

 

ノアママやキャロルおばちゃんの基地の人達だっていうのは知ってるけど、だからといって会いに行ったりはしてない、向こうから来た時は別だけど。私はただの1ファンに過ぎないのだから……彼女たちが好きになったのは基地にママ達がまだ住んでた頃にずっと会っててそのときに歌を聴いて感動したからで、自分から会いに行かないのは単純に毎日会えてたからっていうのも理由だけどね。

 

スリーピースのゲリラライブをみんなで楽しんでから、今はスチェッキンさんの移動式屋台でMG5さんが作ってたチュロスを食べながらベンチで休憩している。

 

「話には聞いていたがスリーピースがそこまで好きだったとはな」

 

「大好きです、とても満足してます」

 

「クリスちゃん、今までのスリーピースの踊り全部覚えてるんだよ!」

 

当然ですと言葉にせずに少しだけ自信気に胸を張ったのだがその動きでウロボロスちゃんの眼が少し曇ってからはぁと深い溜め息を吐いて、投げやりに

 

「確認するが、お前達13歳だよな?」

 

「え、そうだけど?」

 

「はい、それがどうかしましたか?」

 

「ちっ、将来が恵まれてる奴らめ、私もアーキテクト殿に言って通常ボディでも作ってもらえないものか」

 

ルキアは急に不貞腐れたウロボロスちゃんにどうしたのさ~とひっついて、じゃかしい!と返されるが私は理解できた、うん、同年代の友達も同じ反応するからねと自分の胸を見ればこの歳にしては立派な物、でもクフェアママもノアママも大きいからコレは遺伝じゃないかなぁって思う。

 

「あ、ウロボロスちゃん、メロンパン食べる?」

 

「当てつけか貴様!」

 

「え、なんで!?」

 

ルキアは、もう少しこう、空気を察する必要があるんじゃないかな、でもそこが良い点だったりするのだけどね。そんな楽しい時間は過ぎて夕食の時間、とは言っても夕食の時は私達だけじゃなくてルキアのお家の人達と一緒に食べるので一日が終わり、眠るって時まで賑やかじゃない時間は無いかもしれない。

 

その静かな穏やかな眠る少し前の時間、私は窓から星を眺める、なんでかは分からないけど、このキレイな星が私達を見守ってくれてるような気がして、だから数分だけじっと眺めてから

 

「おやすみなさい」

 

……明日は学校だ、苦手な算数頑張ろう。




もう少しこの時間軸のお話も増やしていきたいね~、そして一人称で書いてここまで書きにくかったっけってなるというね……

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