それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
フェアリーリリース作戦後、P基地の技術部は最重要施設と変貌していた。ユノ達に関するすべてのことの元凶とも言える存在、【ヨゼフ・アルブレヒト】の研究データをアーキテクトが吸い出しているのだから当然といえば当然なのだが。
だが当たり前ながらクローン云々の部分は吸い出していない、あれらは作戦最後の対消滅自爆に巻き込まれ灰すら残さずに消えている、彼女が抜き出してきたのは取り返しがつかない所まで来てしまっていると思われていたこの世界を再生する術、あらゆる汚染を浄化する物質の生成に関するデータである。
ヨゼフはこれを【サルバシオン】と名付けていたらしい、そしてこれの開発を始めてアーキテクトが気付いたのは彼がなぜ世界を支配するような真似に出たのか、当初は彼がそういう方法で支配し世界を救済すると思われていたが違った、ヨゼフほどの天才でも……
いや、天才だからこそ彼は気付いてしまったと言うべきだろう、コレを作り出す前に世界は、人類は滅びるということに。だからこそ強行とも狂っているとも、何より外道と言われるような手段を用いて世界の支配を進めようとしたのだろう、誰も争えない、余計なことをしない状況にし生成までの時間を稼ぐために。
そしてアーキテクトが、ペルシカが認めるほどの天才でも時間がかかると判断したのを一朝一夕でどうにか出来るわけもなく、しかし彼とは違い一人ではなくペルシカやD08ドリーマーを始めとした協力者のお陰で少しづつだが形になり始めていた。という事でそんな未来で世紀のこの発明によって世界を立て直す立役者になる彼女は今日も今日とてサルバシオンの開発に勤しんでいる、それこそぶっ通しで数時間も行うほどに、なので流石に止めるべきかと88式が
「主任、一度休憩したほうが良いと思います」
「ふえ?あ、もうそんなに時間経ってた?」
「ざっと6時間くらい?いやまぁ、私達も途中で時計見てないから分からないんですけどね」
89式の言葉を聞きながらグッグッと体を伸ばし肩を回すアーキテクト、確かに身体が結構固くなっているのを見るにそれくらい経っているようだと感じ、それでも成果は確かにあったとモニターを見る。
まだ完成までには道のりは遠いが、それでもこの物質の凄い所は推定4割弱の完成度でありながら
「これでも放射能汚染なら一日要らない速さで除染できるって考えると完成したら本当にコーラップス汚染もどうにか出来るんじゃないかって希望に繋がるよ」
「確か前の作戦で資源地帯が核汚染されてましたよね、そこで実地試験出来ませんかね?」
「出来たらデータが入り良いかもしれませんが、【サルバシオン】は極秘の研究です、あまり派手なことをすれば他者に目に付いてしまう可能性が……」
あ~と89式の声がラボに響く、しかし悪くない案ではあるのでキャロルを通してペルシカに伝わることにはなるだろう、実際に行うかは別としてだが。ともかく一度休憩にしようかと解散、息抜きに散歩しようと数時間ぶりにラボを出て、ユノ達がいると思われる中庭へと向かえば
「うーん、あっちもこっちもベビーラッシュ、うんうん良いことだ」
「しかも三つ子だって、三つ子……三人同時に産んだんだよね、凄いなぁ」
「なんでしょう、ユノなら三つ子でもすんなりと産んでしまいそうな気がしますわ」
「え~、私だって痛いときは痛いよ?ね~、ルキア」
「んあ?」
話の内容はDG小隊のレストとノアの夫婦の間に子供が生まれたという内容、これが入ったのはアーキテクトがラボから出てくる数分前であり、彼女が来たときはユノが向こうと通話していた最中だった、尚、レストは始めは指揮官に連絡を繋げたらしいのだが御存知の通り、この基地の指揮官はキャロルになっているので少々騒がしいことになったらしい。
まぁそんな余談はさておき、更に向こうが落ち着いてからではあるがP基地に顔を出しに来るという話もある、とすれば
「お、じゃあルキアとクリスに新しいお友達が出来るってことだね?あ、ユノっちが教師を目指してるって話はしたの?」
「実はしてないのです、来てもらった時に話そうかなって……あ、でもキャロルちゃんが私が指揮官を辞めた理由を話す時に言っちゃってるかな?」
「してそうですわね、それにグリフィンが民間学校事業を始めようとしていると話は本社に居ればすぐにでも耳に入りそうですし、そこから気付かれるっていうのもありそうですわね」
クリミナの言葉に、もしかしてサプライズとしてはもう機能していないのでは?と真顔になるユノにアーキテクトは思わず笑いだせば、ルキアもその声と表情が面白かったのか笑い出す、とここで彼女はふと気付いた。
あれ、ルキアってこんなに首を動かしてたっけと、そして
「もしかして、ルキア、首座ってる?」
「あら、もう知ってると思ってましたわ、えぇ、つい数日前くらいに今では自由に首を動かして興味がある方向に向きますわよ」
「クリスちゃんも同じくらいか、向こうの方が少し早かったかな?でも順調に成長してるんだってわかって嬉しかったなぁ」
「ユノ、少し泣いてましたわね」
クリミナ!?とユノが秘密にしておいてよとばかりの声を向ければクリミナは涼しい顔をしてごめんなさいませと笑う、だけどアーキテクトは思う、もし自分のも子供というものが出来てそういった成長が目に見えたとなれば
「まぁ、あたしだって涙腺が緩むかもしれないかなぁ」
「「!?」」
「……多分、サルバシオンが完成した時には感涙をってあれ、どうしたの二人共、何だか安心したみたいな顔してるけど」
まさかアーキテクトにそこまでの母性が!?と一瞬になった二人だったが、その後に続いた言葉の彼女らしさに思わず安堵の息を吐いてしまい、それを見たアーキテクトが不思議そうな声を上げてから自分の顔を見ているルキアに
「ねぇ、ユノっちママ達が息を吐いてるんだけど、どうしたんだろうね?」
「あぶ~、きゃ」
「そっか~、分かんないかぁ、そりゃそうだよね」
「アーちゃんがさ、誰か男性とかを好きになったら、どうなるんだろうね」
「間違いなく荒れる人が一人居ますし、なんというか彼女にそういう存在が現れるのがあまりに想像できないのですよね」
ルキアと戯れるアーキテクトを見ながら夫婦はそんな事を言う、だがクリミナの言う通りであり、実際未来でも彼女の隣に立っているのは助手である88式であると言えば大体察しが付くことだろう。それから暫く彼女たちと雑談を楽しんだアーキテクトはまたラボに戻りそして
「さぁ、未来の子供たちのために張り切って開発を進めようか!」
今日もラボは稼働している、未来のために、世界のために、何よりも親友の為に
因みにこのラボからデータを盗もうとしてもダミーラボに案内された挙げ句掴まされるのはこれ以上無いほどに科学っぽく書かれたユノっちの料理レシピです(唐突な追加設定)
あ、DG小隊の話は『人形達を守るモノ』の最新話を読もう!あとこちらは何時でもウェルカムよ!
サルバシオン
意味は救い、救済
来週予告(未定)
「申し訳ございません、未成年の方にお売りすることは……」
「これでも31です!!!」