それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
なのにユノっちが主役じゃないのかよと言うね……そしてDG小隊の面々の出番も多くないと言うね、すまぬ……
親としての会話、赤ん坊同士の興味津々だという声、本日P基地にはDG小隊のバレット夫妻とレスト夫妻がそれぞれ産まれた子供を連れてやってきている。
そして今はP基地の夫婦組であるユノ達と祖母であるナガンと共に子育てだったり、これからだったり、子供のことだったり、それ以外にもなんてことのない雑談だったりを交わしているのだが、その光景を窓から見える範囲で眺めている影があった。この基地の者だったら見慣れた、だが他の者からすると驚愕に値する牛飼い姿のハイエンドモデル、ゲーガーである。
無論だが盗み見ているとか聞いているとかではない、丁度ゲーガーが通り掛かったので挨拶ついでに彼女達の会話に耳を傾けているのだ。
「あっと、ごめん、お仕事中だったよね?」
「構わんさ、それに暫くはやることもないからな……なんだ、麦わら帽子が気になるのか?」
「麦わら帽子と牛飼い姿がサマになるハイエンドモデルっていうのも不思議な光景だな……というか、部屋に入れば良いんじゃないのか?」
「そうしたいのは山々だが、農業と動物の世話をして汚れを落としてないからな。あぁ、そうだ、帰る時に声を掛けてくれ、渡したいものがある」
麦わら帽子を興味津々の子供たちに渡しながらゲーガーがそう告げ、それから暫く会話を楽しむ、とは言っても基本的に参加するということはなく変わらず窓の枠に体を預けて聞いているだけなのだが、その表情は穏やかで、その顔を見たナガンが彼女の側まで向かい一言
「なんじゃ、まるで成長を喜ぶみたいな顔しよって」
「む、そんな顔してたか?」
「思いっきりしておったぞ?まぁ分からんでもないがな、アヤツらがこうして子供を抱え、平和な会話に花を咲かせるという光景を見れるとは思ってもなかったからのぉ」
貴女のそれと自分の感情とは違うのではないかと思いながら、ゲーガーはユノ達を見つめる。とは言っても先ほどとは変わらない光景、だが指摘されてから見てみるとなるほど確かに彼女達の、もっと言えばユノがこんな風に楽しげにしていると考えると己は嬉しいのかもしれないと納得する。
なぜ、と言われたとしても彼女は答えられないだろう。別段、妹のようだったり、娘のようだったりユノを見ているわけではないのだから、だけど
「あの、ゲーガーさんが優しい表情でこちらを見ているのですが」
「……どうしたんだアイツ」
「お婆ちゃんも同じ感じで見てるって、ルキア、麦わら帽子は噛むものじゃないから」
「ぶわっ」
確かに噛まれるとそれは困るなと流石にゲーガーからのツッコミが入ると笑いが溢れ、それを受け取ってからゲーガーは彼女達に一言告げてから農場兼牧場エリアへと戻り、ヤギの【マシロ】の小屋の側のベンチに腰を掛け、先程までの光景を思い出しながら息を吐き出す。
平和な時間の、友人たちとの、そして親としての会話、時よりぐずったり、声を漏らす子供に笑い掛けたり声を掛けたりする光景、それを眺め彼女は良いものだなと確かに思った、過去に人類に反旗を翻し、殲滅せんとした自分が
「まぁ、悪くはないか」
「鉄血のハイエンドモデルから、そのような言葉が出てくるとは。やはりこの基地、いや、彼女には不思議な力があるのでしょうね」
突如としてゲーガーの耳に届いた声に驚きながら隣を見ればいつの間にか座っていたのだろう、【M82A1】の姿がそこにあった。
気配も音も、何一つ感じられずに自身の隣に居座るという芸当を行った彼女にゲーガーは驚愕の表情を隠さずに居れば向こうはそれに反応を示すこと無く、いつもと変わらない穏やかな、だが不自然なほどに何も感じられない表情で見据えてくる。
「何が言いたい」
「貴女は疑問に思ったことはないのですか?何の違和感もなく、上位者であるエリザの命令を書き換え、こうして過ごしている自分に、それはまるで」
「
そこで初めてM82A1の表情が動いた、少しだけ驚いたという風に。どうやら彼女は何か勘違いしているらしい、いや、ゲーガーはまだ聞いていないので知らないが彼女自身が過去に力によって崇められていたからこそ、そう考えていたのらしいが、少なくともゲーガーははっきりとコレは答えられる、決して力によって変えられたのではないと
「私は、そしてアイツも、何の力も持たない、されど確かに前に進んでいく意思を持っている一人の少女に、自然と変えられただけだ。そこに、不自然な力は働いていない」
「これは、申し訳ありませんでした。なるほど、彼女達が
【かの者】どういう訳かM82A1がユノをそう呼んでいる、教会組は微妙にズレている奴が多いなと苦笑を浮かべようとした時、ふと思い出した。こうして自然と会話をしているが、M82A1は確か今朝方に……そこまで思い出した時、ハッと気付けばすぐ隣に確かに居たはずの彼女が無く、周囲を見渡していると基地を見学していたのだろうか、ミラを抱えたバレットが現れ、驚いた表情のまま周囲を見ているゲーガーを見つけ、近づいてきた所で彼女から
「……誰かとすれ違ったりはしたか?」
「え?あぁ、スリーピースだっけ?彼女達と挨拶したくらいですが」
その答えに、そうか、なら良いと答えてから折角だからとこのエリアの案内を始める、客人を持て成すというのもあったがそれ以上についさっきまでの出来事を今は考えたくなかったというものがあった。何故ならば、M82A1は『今はガーデンの警邏のために基地に不在の筈』なのだから、教会組で固まって警邏というのも色々と問題なのではという意見は無くなかったが、彼女達が出るとそれはそれで街の犯罪率が下がるので通ることになった、というのは余談なので置いておこう。
そんなちょっとしたアクシデントがあったがこのちょっとした交流は無事に終りを迎える、DG小隊の帰り際にバレットがこの基地のM82A1の事を話して全員の顔が青ざめることもあったが、それも置いておこう。ともかく彼らの帰りの前にゲーガーは
「ここで採れた野菜と卵、それと蜂蜜だ……あぁ、分かっていると思うが赤ん坊に蜂蜜は駄目らしいからな、気を付けろよ」
牛飼い姿でそれらを渡すゲーガーは誰がどう見ても、立派な農家の人だったと全員が思ったのは言うまでもないだろう。因みに付け足す形になってしまうが、アーキテクトが本部預かりとなっている同型のハイエンドモデル『グリンダ』と仲良くなり、更にはグリンダからP基地のアーキテクトを姉として呼ばれたということに関してはゲーガーはただ一言
「姉は選んだほうがいいと思うぞ」
「ちょっと酷くないそれ!?」
グリンダが将来、このトラブルメーカーの悪い影響を受けないか、今から不安になるゲーガーであった。
Q 教会組全員で街の警邏に出して、問題は起きないのですか?
A (揃いも揃って信徒化してたりするけど表面化はしてないので)起きてないです。
コラボしてもらったのにこの体たらく、本当に申し訳ねぇ……あ、あと今週もう一話更新すると思いますが、今度もコラボ話しです!ヤークトフントが大活躍するよ!