それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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今回もコラボ話!『白黒モンブラン』様の『Devils front line』から依頼が飛んできたのでヤークトフントに暴れてもらいます!

あらすじ
違法カジノなら閉店しても問題ないのではとヤークトフントが動くことになった。あとラーニョが量産されたので初陣も兼ねてるらしい。


スリーセブンをぶち当てろ

S地区にあるガーデンとはまた違うが規模の大きな街、誰しもが寝静まるような暗闇を切り裂くようなネオンの輝きを放つ建物、見てくれは大規模なカジノ、だが蓋を開けてみればあらゆる非合法や違法なことだらけの真っ黒な違法カジノ場。しかし何も知らない、もしくは知っていたとしても素知らぬ顔者たちはあるかどうか分からぬ希望、一攫千金を夢見る者たちが集い、眠らずに駆け引きに酔いしれる、夜の遊び場……だったその建物は今現在、怒号と悲鳴が溢れていた。

 

我先にと逃げる客、ほんの数十分前まではスリル満点な駆け引きに酔いしれていた筈だった、だがそれは突如、一人の少女によって幕を閉ざされた。

 

「レディースアンドジェントルメン!やぁやぁ、一攫千金を夢見て集ったお客人達!!」

 

何時からそこに居たか、身体のシルエットがはっきりと分かるような黒のスーツに身を包んだ少女は綺羅びやかなシャンデリアの上に両手を広げ声高らかに現れ、目下のカジノ客たちへと言葉を投げ掛けるが無論、そんな不当者をカジノの警備達が見過ごすわけでもなく警告もなしに銃撃を開始、だが銃弾は彼女の目の前で全て弾かれることになる。

 

一体何が、誰しもがそれを思い浮かべる前に彼女の目の前に光学迷彩が剥がれるように姿を表したのは四本脚の蜘蛛のようなフォルムの機械、それから少女は攻撃に曝されているというのに笑みを崩さずに

 

「これから君たちにちょっとしたゲームを提供しよう、内容は簡単さ、お客人達がベットするのはその命で、内容は私『達』を殺すか、ここから逃げるか!あぁ安心してよ、ベットした命が惜しくて降りるってんなら私『達』は決して危害を加えないで見送ってあげる、でもまぁお客人が勝ったところで美味しい蜜は殆どないんだけどね!」

 

但し、言葉と同時に背後から銃弾が撃ち込まれる。その機械の防御の及ばない所からならばという所だろうが警備の思惑とは裏腹に銃弾はスーツに阻まれ、逆に少女が手に持っていたライフルでその頭を無慈悲に撃ち抜かれ、辺りに血を撒き散らす結果となり、その血が客の一人に掛かるがそれでも周りは静まり返りまだ状況を飲み込めないでいると……

 

それを合図にするようにカジノの窓をぶち破り現れたのは少女の側にいる機械と全く同型の存在が2機とその背中のポッドが開かれれば少女と同じスーツを着用した二人の少女が現れ、警備に攻撃を開始した所で客の全員が漸く自分たちが置かれた状況を理解、ともすれば始まるのは

 

「いやぁ、煽ったのは私だけど、ここまであっさりと我先に逃げようとするとはね」

 

彼女、いい加減に正体をバラすとするならばヤークトフントの一人であるM21が己の下で始まった客たちの逃亡劇、もとい自分が先に逃げるんだという怒号とそれによって倒されたり何だりされる人達の悲鳴に思わずそんな事を呟けば、攻撃をしてくる警備、もとい傭兵達に反撃を加えている自立思考型多脚戦車【ラーニョ】が

 

【人間は命が大切だから当然の反応じゃないの?】

 

「ラーニョは頭がイイなぁ」

 

と漸く量産体制が整い生産されたラーニョチームの一機を撫でつつ下の様子を眺めてみる、ついさっきは呆れた感じな事を呟いてはいたが目下で暴れているのはヤークトフントの狂犬二人であるKS-23とイングラム、何でもありの残虐ファイト上等の人形二人の戦い方を見れば、その暴力が自分にも向くかもしれないと考えれば確かにこうなるのも無理はないかと思っていると

 

【それよりもまだここに居ていいの?確か、この後は入り口で待機じゃなかったっけ?】

 

「おっと、そうだったそうだった。ってことでヤークト3、4、分かってると思うけど正当防衛以外で客に手を出しちゃ駄目だからね!!」

 

今回の作戦の目標はあくまで『違法カジノの制圧及び関連者の排除』でありその中に唯の利用者である客は含まれていない、当然そのことは分かってはいると思うのだが一応の忠告を述べる。

 

《あ?んなこと分かってるっての、おらどうしたどうした!!宴はまだまだ始まったばかりだろうが!!!!》

 

《クケ、クケケケケケ!!えぇ、しっかり覚えてるわ、『外食』が禁止されてるから暴れるだけ暴れるけどねぇ!》

 

分かってるなら良いんだけどさと呟きつつラーニョのポッドにに乗り込めば光学迷彩を発動、それをも目撃していたはずの傭兵は消えたと同時に音も、気配も、そしてセンサー類にも反応が消えたそれに驚愕の表情を見せるがその余裕は狂犬二人を前に長くは続かずに応戦を余儀なくされ、その間にM21とラーニョは悠々と客たちの唯一の逃げ先である玄関ホール入り口に向かい、逃げゆく客一人ひとりの顔をデータ送信していくのであった。

 

残された二人とラーニョ2機はメインホールにて大暴れを繰り広げていた、対してカジノ側は傭兵、攻められることを想定して改造されていた自動感知型武装スロットマシンと圧倒的な数だと言うのにたったあれだけの戦力相手に対して劣勢、いや、蹂躙されている

 

がまだ負けてはいないと隊長格が通信で何かを呼び掛ければ、イングラムの隣の壁が開き、そこから現れたのは鹵獲でもしたのだろうかガトリング砲に換装されているマンティコア、しかもすでに射撃体勢に入っており回避は間に合わないかと思われたが彼女を庇うようにラーニョが前に躍り出ると同時に弾幕の嵐に晒される、敵はコレで一機落としたと意気込もうとしたが現実は彼らに無慈悲であり、ラーニョはその弾幕に晒されながらも割と余裕そうに叫んでいた

 

【あだだだだだ!!???】

 

【こんにゃろ!】

 

イングラム付きの一機が盾になっている間にKS-23付きのラーニョが胴体下部に装備されている50mm榴弾砲が吠えれば、マンティコアを爆散、その勢いのままに右腕の7.62mmチェーンガンで傭兵たちに牽制射撃を加え、その間にイングラムが自身のラーニョの様子を見るが装甲を抜かれた様子はないのを確認してからニタリと笑みを浮かべて

 

「フフ、イイ物が量産されたわね」

 

【ボディが凹んだ!!!】

 

【なんだって!?損害賠償だ!弁護士を呼べー!】

 

「何言ってんだオメェら……っと、どうやらマンティコアもおかわりがあるし、他にも追加注文があるらしいな」

 

見れば、メインホール以外にも壁が開く音と機動兵器は向かってくる音が彼女達の耳に届く、が二人の顔はコレでもかと言うほどに笑みが浮かび、対象的に傭兵達の表情には絶望が浮かび始めていた。これだけ書けばこの先がどうなるかなんて分かるだろう、幾ら数があろうとも彼らは相手が悪すぎたのである……

 

地上部分ではそんな風に大乱闘が繰り広げられている最中、ヤークトフントのリーダーUSPコンパクトとヤークト2であるMG4はというと地下施設を自身たちに配備されたラーニョに乗り込んで潜入していた。目的は地下のメインサーバーにある顧客リストのデータ、道中でも傭兵とマンティコアと同じく鹵獲されていたイージスとマンティコアが彼女達を阻もうとするがMG4のラーニが胴体下部に装備している12.7mmガトリングガンとMG4がポッドから身を乗り出して愛銃が吠えれば壁にもならずに目的地に到着する。

 

「どう?」

 

「少し時間を下さい、アリババ、これよりツールを接続しますのでお願いします」

 

《ういうい、コレくらいなら2分もあれば十分さ》

 

【うわわ、沢山来たよ!】

 

【薙ぎ払えー!】

 

「黙って仕事して」

 

MG4の冷たい声にあ、はいと迎撃を始めるラーニョ達、それを尻目にUSPコンパクトはFMG-9から渡されていた携帯端末をサーバーに繋げてモニターを見れば凄まじい勢いで抜かれていく顧客データ、確かにこの分ならば2分でも十分だろうと確認してから、別の端末を手に取り電源を入れる。

 

端末の画面に表示されているのはこのカジノの見取り図と幾つかの点滅している点、これは今回の作戦の依頼主であるS10前線基地から違法カジノは更地にしても構わないと言う旨だったのでと、在ってもどうせ困るだろうということで本気で更地にするためにセットされた爆薬である、無論それだけではなく画面にはここよりさらに地下が表示されており、そこにはこのカジノを取り仕切っている支配人が現在避難している。

 

(馬鹿ですよね、ここを抑えられたら出れないというのに……それとも私達がどうであれ迎えに行くとでも思ってたのでしょうか)

 

セーフルームとも言えるそこに繋がるのはエレベーターが一つ、それだけ。他にも脱出口でも作ればいいだけだったのに支配人は何を思ったのか作らなかったらしい、しかもこんな違法カジノを経営するだけあって真っ黒な存在であるということで彼女達が出した結論は『ここを彼の終の棲家にしてしまおう』という内容、早い話が支配人をこのままほったらかしにして建物と地下を爆破、そのまま生き埋めという事、しかもご丁寧に跡地になったそこには小型のジャミング装置も設置する徹底っぷりである。

 

などと考えているとアリババから吸い出し完了という報告が上がり、USPコンパクトは通信機を繋げてからMG4達の様子を見れば迎撃は終わったようで小さく彼女から頷かれる、それを確認してから

 

「こちらヤークトリーダー、こちらの任務は完了、地上はどうですか?」

 

《だらっしゃ!!っと丁度いい、今終わったところだ!》

 

《ケケッ、数だけは立派だったわねぇ》

 

《こちらヤークト5、お客もみんな逃げたかな?いやぁ、選り取り見取りブラックリスト登録者ばっかりだったよ》

 

どうやら地上組も滞りなく任務を終わらせたらしい、ということでUSPコンパクトは各員に離脱を指示してから自身もMG4と共にラーニョに乗り込みカジノから脱出を開始、その間際に未だ何も知らずにここより更に地下に籠もっている哀れな支配人に向けて

 

「……良い夢を」

 

【ボク知ってる、それ皮肉って言うんだよね!】

 

えぇ、そうね。ラーニョの言葉に答える彼女の顔はとても冷たかった。ともかくヤークトフントは無事に任務を終えることになる。もう一つ付け足すとすればその日、街からカジノを運営していた建物が『謎の』倒壊を起こし、そこの支配人が行方不明になった、という事だけだろうか




いやぁ、好き勝手に大暴れしましたねコイツラ……問題ないかな、大丈夫かなコレ(不安

ラーニョチーム
一番初めに作られたラーニョと新たに生産された4機のラーニョによって編成された部隊、基本的に別けては呼ばれずみんなラーニョとなっている。作戦時には各員に一機ずつ配備され、作戦支援を行うことになっている。

多機能戦闘用スーツ【マルチロールスーツ】
P基地技術部門が今までの戦闘データなどを元に作り出した多機能スーツ、戦闘用とは銘打っているがその中身はステルスに光学迷彩、移動時の静音性の確保など潜入にも使える機能が備わっており、勿論ながら戦闘面でもフォースシールドとディストーションフィールド技術の応用で防刃防弾は当たり前に完備、更にはパワーアシスト機能も搭載されていると盛れるだけ盛りましたというスーツになっている。

がお陰で生産コストはP基地から見ても高く、現在は1小隊のしかもメインフレーム分しか製造されていない。

因みにデザインとしては攻殻機動隊の作戦時の草薙素子が着てるあれに近い。

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