それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
観戦組 クリス、キャル、ルーナ、ペコ
でお送りいたします
昼食を終えた、が無論ながらまだ昼休みが終わったということではないので彼女達はそのまま、食休みの雑談を行っていた……のはクリス含めた基本的にお淑やかもとい、大人しいと分類される人物であり
「……今日も元気に混ざってるわね」
「それがルキアらしいところですから」
食堂で食後のお茶を飲みながら雑談をしていたクリス達の視線の先、そこは校庭であり小中高一貫となっているのでこの時間帯となれば生徒たちが集まりに集まって、それでいて学年関係なしに楽しげに遊んでいる姿が見られるようになる。
そしてその中に彼女は居た、制服姿で男子たちに混ざりそれはもう元気よくサッカーをしているルキアの姿が、いや、彼女だけではなくニノンとアウローラも混ざっている。
「あれさ、絶対に周りの男子たちの目に毒だと思うのよ」
「ルキアやローラちゃんは勿論だけど、ニノンちゃんも決して無いわけじゃないからね……」
「器用に胸でボールをトラップしますよね~」
もぐもぐとパンを食べながらペコがそう言うが周りは違うそうじゃないと言う感情にとらわれる、確かにこの年代にしては中々にあるあの胸囲で器用に胸トラップをしているのは驚くのだがそれ以上に、飛んだり走ったりすれば揺れ、更にはサッカーならば一応女子相手ということで男子は手加減気味にボールを奪うために接触したりする、そしてその度に故意ではないとは言え当たるのだ。
よくまぁそれでもここの男子は彼女達をサッカーに混ぜるものだと感心する観戦組、もしかしたら思春期特有の女子と遊べるのが嬉しいとかの感情もあるかもしれないが、殆どの理由はあの三人が混ざるとハイレベルな戦いになるのが楽しくて仕方ないのだろう。
実際、昼休みにやるサッカーにしては既にハイレベルなことになっている、日々修行だ特訓だとロペラの所で中国武術から始まり様々なモノを習っているルキア、同じく(色々と間違っているが)ニンジャになるべく独学とは言え修業を続けているニノン、そして素質があり『レイディアントガーデン』で過ごしているということで自然とルキアと同じく様々なことを習っているアウローラ、しかも遊びとは言え勝負事になれば自然とギアが上がる三人……
つまりどういうことかと言うと全く加減というものを知らないサッカーが始まるのである
「ローラちゃん、まさかその距離からルキアちゃんにトスを!?」
「最早見慣れたとは言え差も当たり前のようにあれに合わせてオーバーヘッドとかされると反応に困るわよね」
「そしてそれを止めるニノンちゃんも大概だよ」
「しかも周りからの歓声が凄い」
かなりの速度とシュート角によりキーパーでは止められないそれを自慢の瞬発力で止めてフッフッフッ、この程度なら楽勝でゴザルよ~と言う声が聞こえそうな顔のニノンに、さっすがニノンちゃん!と悔しいながらも楽しくて仕方がないという表情で笑うルキア、その少し後ろで中々やるデース!と称賛してそうな顔のアウローラ、そして周りには今の一連の流れを見てまるでプロの試合を見ましたという大歓声を上げるギャラリー達、なおルキアのオーバーヘッドを近くで目撃した男子の一部はとっさに視線を逸したとかなんとか。
ともかく、それで試合が終わりというわけではないのでそこからニノンのドリブルが始まり、今度はそれを止めようとルキアチームが動き出せばまた盛り上がるギャラリー達、そんな光景をクリス達が眺めていると丁度彼女も休憩だったのだろう、調理場担当のネゲブが腕を組みながらふらっと現れて
「何時見ても思うんだけど、えらい人気者よね彼女」
「あ、ネゲブさん。うん、だってルキアは良い子だから、皆に好かれても不思議じゃないです」
「……絶対に親の誑しっぷりを遺伝してるのもあると思うのだけど、私も混ざっていいかしら?」
「とか言いつつ既に座ってるじゃないの」
キャルの言葉にネゲブがどうせ断らないでしょと答えながら近くにあった急須でお茶を淹れて一息付いてから
「ところで折角だし、恋バナとか無いわけ?」
「何がところでなのよ……って、私にはないわよ!?」
「このメンバーって不思議なくらいにそういった話が出てこないですよね、ありますかルーナちゃん?」
「ううん、全く。クリスちゃんは?」
「え、全然」
幻聴だろう、何人かの男子もしかしたら女子も混ざってるかもしれないが、彼らから何かを斬られたような音がネゲブの耳に届いた、それと同時にまだチャンスは有るからという慰めの声も聞こえるような気がした。
この調子ならば恐らくは外で男子に混ざっているあの三人にも無いのだろう、そう察するのは容易だったネゲブだったがあえて
「じゃあ、あの三人は?」
「あったら驚きだわ」
「そもそもあの三人に恋という概念があるかどうか……」
「Likeしか無いんだろうなぁ」
「あ、あはは」
駄目だこりゃ、分かりきってた返答に苦笑を浮かべてしまうネゲブ、何かと面倒見が良い彼女はそういった相談やらも全く受けないということではないので実を言うと外の三人は勿論、この場の彼女達に好意を持っててという話も来たりはしている。
が、現状がこれである、一応恋の話に関しては私以上にスペシャリストが居るからと『レイディアントガーデン』でお手伝いに入っている
『ネゲブてめぇ、いい加減にしろよにゃ……!!』
どうやらP基地が誇る恋のキューピッドでも中々に手に負えない案件らしい、しかし彼女は思っている、今はなくともきっと将来はそういう相手とこの子達も出会えるだろうと。
(まぁでも、それを心配するのは私の役目じゃないか)
「逆に聞くけど、ネゲブさんには居ないの?」
「鍋かしら、フライパンかしら、それとも包丁かしらね」
「ネゲブさんって戦術人形ですよね!?」
クリスの迫真のツッコミに彼女は答える、最近は銃を握る時間のほうがめっきり無くなっていると、というタイミングで昼休み終了5分前を告げるチャイムが鳴り響けば、彼女達はネゲブに挨拶をしてから教室に戻っていくのを見送り、校庭に視線を向ける。
流石に試合はチャイムが鳴った時点で終わっておりルキアが自チームと相手チームの面々に健闘を称えるように肩を叩いたりしてから言葉を掛けているのだが
「……ありゃ、勘違いが生まれても仕方ないわ」
爽やか笑顔の美少女に掛け値なしの言葉と下心全くなしのボディタッチによる挨拶を恥ずかしげもなく行う無垢さ、彼女がユノの子供だと言われる所以である。
そういや、☆付きの話になると人形が殆ど出てこないのは大丈夫なのだろうか(今更)まぁ大丈夫か!!(開き直り
次でリディアンの風景はラストかな、ユノっち視点で書こうかな。