それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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アナさんはそのうち、イグナイトとかし始める


ランページゴーストの一幕

「にしてもだ、アナ」

 

不意にランページゴーストの隊長であるノアが口を開いた。今は任務も終わり、一休み入れてから帰還というタイミングなので特に問題はないのでアナとRFBがどうしたのかと視線を向ければ

 

「オメェ最近、銃火器を取り出すよりも先になんだっけ、そのアメノハバキリを振るってのが多くなってねぇか?」

 

「あ~、言われると副隊長が【アジダート&フォルツァンド】を抜くのは見るけど、AN-94とか左腕のガトリングとか使ってるの最近は見てないね……っていうか確かに敵が見えたらシューティングスターで接敵と同時に剣を振ってるような?」

 

二人からの指摘にアナは顎に手を当てて目を閉じ、最近の自信の戦い方を振り返ってみる。改良前の飛行ユニットを装備している時は飛ぶというよりも跳ぶだったので今のように高速で接敵は出来ず、AN-94または左腕の義手を変形させたガトリングで制圧射撃、中距離から近くなれば【アジダート&フォルツァンド】を抜いて射撃、と確かに高周波ブレードを振るのは比較的に最終手段ではあった。

 

が、改良されシューティングスターと名を変えてからは性能が段違いに上がったのもあり、向こうが待ち構えていようと速度による奇襲が可能となり、ともすれば出る結論というのが

 

「アメノハバキリを振るったほうが早い、そう判断してるだけなのですが」

 

「いやその理屈はおかしい」

 

RFBからのツッコミにそうだろうかと本気で考え始めるアナ、これにはノアも思わずオメェそんなキャラだったっかと聞きたくなるが、彼女は彼女で上空からの20mmバルカン砲や必要に応じて重火器を使うのがメインなのであまり目立ってはいないが地上に降りてからだと割りかしシュタイアークリンゲを振り回して暴れている光景が目撃されている。

 

そして言わずもがな、RFBに至ってはパワードスーツによる近接戦闘が主であり、内蔵武器は最近の主な任務で相手となる人間とかだとオーバーキルも良いところなので控えていたりする、つまりは

 

「この小隊って、近接戦闘がメインになりつつあるよね……」

 

沈黙が場を支配する、しかしこれは気まずいとかではなく無言の肯定である。その証拠にアナとノアがそれぞれ自身の近接武器を取り出して眺めてから、最後にRFBのパワードスーツを見つめて

 

「まぁ、悪いことじゃねぇから良いんだけどよ」

 

「高度な柔軟性を持ちつつ臨機応変に行動できるってのが売りってことなのかなこれ」

 

「それは行きあたりばったりというのでは……」

 

というやり取りが行われている彼女達ランページゴーストだが、民間の間やグリフィンの一部では実は密かに人気になりつつある小隊だったりする。ノアは言わずもがな、現れる前の綺麗な聖詠、圧倒的火力と翼のようなスラスターで救助者の前に現れる様はまるで天使に救われたようだと話すものが居るほどである。

 

しかし、他の二人も同じように話題になることが多い。アナは誰が言ったかまるで侍のようにその手に持った蒼い一振りで相手を切り捨て、儚げな、だが凛々しい表情で残心とも言える納刀をする姿は一つの芸術だと言われたりも。

 

RFBはこちらは彼女自身のテンションの高さもそうなのだが、パワードスーツ『ハイパーマキシマムムテキドールスーツ』で現れてはまるで正義のヒーローのような戦い方に一部のその手のもの大好きな人々の心に強く響くのである。

 

だがしかして、人気になるというのは良いことばかりではない、自身の明らかにオーバースペックな技術力の装備にそれのお陰だろうがとやっかみを言われたりも、他にも

 

「流石にここよりも良い給料出すから来てくれないかって言われるのは驚いたよ」

 

「引き抜きと言うやつか、まぁあり得ん話ではないだろうな」

 

場面切り替わり、ノアは空中哨戒にあの行ってしまったがアナとRFBは帰還、羽根を伸ばしていたところルキアを抱えたユノとナガン、そしてキャロルが現れてそのまま雑談になり、その流れで最近こういう事があったんだよねという話で上記のRFBの言葉につながる。

 

引き抜きという物自体は珍しくもない、他の基地では割と聞く話ではあるのだがP基地、もとい早期警戒管制基地と名を変えてからのここでは初めて聞く話題であり、ユノもそんな事あるんだと驚いた表情でRFBを見ていた。

 

「ま、当然ながら断ったけどね、ここよりも良い待遇ってそれこそ繋がりがある基地レベルだし、だったら引き抜きなんて来ないからね~」

 

「しかし、我々ランページゴースト始めとするこの基地の面々が金でどうこうできると思われているのは少々癪に触りますね」

 

「それが奴らの常套手段になっているということじゃよ、一々気にしてたら身が持たんぞ?」

 

確かにそうですがとアナは答えてからお茶を飲み思考を落ち着かせようとしたところで視線を感じ、その方に目を向ければユノに抱えられているルキアが自身を見ていた。

 

何か気になるものでも持っていたかと自身を見渡すが特に無く、だが向こうは明らかに興味を持った瞳で見ている、はて?と思っていると

 

「ふふ、そう言えばアナさんのことをルキアはマジマジと見たことなかったっけ?」

 

「え、そんな事は……」

 

無い、と言いかけてふと思い出してみる。ルキアが生まれてからはよく顔を出していた、だがここ最近では任務に出撃したりも多くなって、首が座ったり行動が多くなった頃の彼女とはあまり顔を見せてあげていなかったような気がすると

 

「あるかもしれません、えっと」

 

「ほら、ルキア、アナさんだよ」

 

「あーう」

 

どう接したものかと悩んでいるとユノが気を利かせてルキアを彼女に近づければ向こうから手を出してくる、なのでアナは右手を指を差し出してみればギュッと掴み、笑みを浮かべる。

 

そのなんとも微笑ましい光景、何時までも眺めていたいものだとキャロルが思ったタイミングで彼女の通信機が着信を告げ、少し失礼すると席を離れる。彼女のあの通信機、基本的に業務用のそれが鳴ったと言うことはまた急な任務だろうかとアナとRFBが思っていると、予想とは反して短い会話の後、戻ってきた彼女から出てきた通信の内容は

 

「S10地区前線基地のマギーからだ、どうやら向こうの指揮官始めとする4人がここに来るらしい」

 

「呵々、この間のヤークトが暴れた依頼の件じゃろうな」

 

「では私とRFBが出迎えに行きましょう、隊長にも通信は入れておきます」

 

「ギルヴァさん達が来るのかな、だったらルキアのことも紹介してあげて……あ、私が先生目指してるのも話しておかないと」

 

こうして来訪者を迎える準備が始まるのであった。




最後の通信の話は『白黒モンブラン』様の『Devils front line 』からお客様が来るよという話です!

ふと思うのよね、アナさんと鎌ネイトとの切り合いとか書いてみたいとか

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