それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
「気付けば、もうこの日だね」
「大晦日だね~」
ソファに座っているユノのポツリとした感じの声とルキアの前で彼女を指で遊んでいたアーキテクトが答える声が食堂に響く、そう本日は年の終わり、大晦日である、という事で三度目の今年も食堂では日本組とスリーピースとG36やネゲブ達がが年越しそばを調理してる中、ユノはそんな事を呟いた。
そしてその言葉に反応するように膝の上に座らされているルキアが彼女の方を見てから手を伸ばして
「あう」
「おっと飽きられたか?」
「抱っこかな?よいしょっと、よしよし……本当に今年はなんだか早かったなぁ」
「わしからしてみれば今年『も』なのじゃがな、はぁ落ち着いて一年を暮らせる日は来ないのかのぉ」
そんなことを呟くは我らがお祖母ちゃんであるナガン、彼女は湯呑を手に持ち今年の出来事をゆっくりと思い出していく。
年始早々に隣のB基地のナガンの捜索にキャロルが出撃したのがこの年の大きな出来事の最初であり、次に大きな出来事と言えばやはり
「お主とクフェアの妊娠、いやはやクリスマス・イブで朝帰りした時にはもしやとも思っていたが実際に聞いてみれば驚いたものじゃ」
「ん、ちょっと待って、確かに妊娠も大きな出来事だったけどさ、お祖母ちゃんのMOD化もあったよね」
そう、あれもあれで大きな出来事でもあったこの事をユノがジト目気味に指摘すればどこ吹く風という感じにお茶を飲み、確かにそうではあるがと答えてから
「わしのこれなんぞ、さして大きなことではあるまいて、少しばかり調子が悪かったということに過ぎん」
「その割には深刻そうな声で私に話してくれたのは誰だったかしらねぇ?」
声の方を見ればFAL、確かにあの日に自分が衰え始めたかもしれない、そんな事を相談したのは彼女だった。だからこそ今しがた何てことはなかったと語るナガンに対してFALはその時を思い出しながら笑みを浮かべて
「でもまぁ弱気なナガンが見れたことは役得だったとも言えるわね」
「む、むぅ、仕方がないじゃろうて、その時は本気でそう思ってしまったのじゃからな……そもそも、わしの稼働年数を考えれば無理もないじゃろうて」
彼女らしからぬなんとも可愛らしい反論を見せればFALはハイハイ分かりましたよと答えてからそろそろ出来上がりそうな今年の年越しそばを受け取りに向かう、その様子につられ調理場の方を見れば一〇〇式を始めとした調理組が慌ただしく並べている光景を見れば、ユノとナガンも頷き自分たちも受け取りに立とうとして
「座らされました」
「あはは、まぁルキアちゃんを抱えていますし、私もノアに座っとけと言われましたしね」
丁度受け取りに行こうかという所でクリミナが座ってて下さいましと言われ同じくノアにそう告げられてクリスを抱きながら座りに来たクフェアと話していた。
と言っても直ぐに自分たちの分を持ってきてクリミナとノアが対面に座り、それからワラワラと彼女たちの周りに座っていき、食事を始める、もう三度目となる年越しそばではあるが今年のは更にグレードが上がり、なんと野菜の天ぷらが乗せられていた。
日本組としては海老の天ぷらもと考えてはいたらしいのだが、それは無理だったのでこの策になったらしいが、大変好評だったと書いておこう。という事で年越しそばは毎度のようにペロッと完食され、、今は食後の雑談が始まっている。
「うーん、相変わらず此処に帰ってくると前線基地の概念が一気に崩されていきそうだね」
今年の大晦日には今年の大きな出来事の一つである、ユノとノアの義母となったペルシカも共に年を越して年始めの一日目くらいはゆっくりしていこうと帰ってきていた。
妊娠から始まり、P基地が【早期警戒管制基地】、ユノ自身にも【特務指揮官】という大層な肩書が付いたと思えばペルシカが二人を養子に迎えるという怒涛の展開に流石のナガンも
「いやはや、たった一日でどっと疲れたと思ったわい」
そう言えば、ノアちゃんはペルシカお母さんの事はきちんと呼んだの?」
「んあ?あ、えっと……ま、まだ呼べてねぇ」
突然、話を振られたノアはバツが悪そうにそっぽを向いてから小さな声でそう答える、勿論あれから彼女に対する態度は物凄く柔らかくなった、がいざ彼女を『お母さん』と呼ぼうという所になると口が開かなくなるというのを今日まで繰り返していたりする。
「ノア、焦らなくても私は大丈夫だからね?」
「わりぃ……認めてはいると思う、ただ何でか分かんねぇけど、その、なんだ、えっと」
とても珍しいものを見ているかもしれないとユノ、いや、クフェアもそんな風にノアを見つめる。どんなことであろうとバッサリと言い放つのが良くも悪くも彼女だと言うのに、後も口ごもるというのは非常に珍しいことである。
が、そんな視線を飛ばしていればノアも気付くというわけで、彼女は更に気恥ずかしそうに頭を掻いてから
「でもよ、もっと大きいことあっただろ、特にアタシらにはさ」
「そうだな……俺達の全て、それらと戦い、そして勝った。代償は小さくはなかったがな」
キャロルの言葉にユノとノアは頷く、始まりは命を懸けて情報を持ってきたアナから、そしてそこからヨゼフ・アルブレヒトと新たに生み出された自分たちのクローンである【ネーヒスト】と【アレス】との戦い、国家保安局や正規軍の一部と協力をし彼の決して絶対悪とは言い切れない企みを打ち砕き、その計画の要とも言える技術の全てを灰すら残さずに消し去ることが出来た。
だが、それは決して犠牲がなかったというわけではない、戦いの最中で皆が皆、話には出していないが負傷をした、特にナガンなんかはヨゼフとの戦いで右目を失った、しかしもっと大きかった別れ。データが全て収められている基地を自爆させるために、何より上がってしまった妹達に最後の頼みをするために残り基地とともにこの世を去ったネーヒスト、ユノは彼女を思い出しながら
「ネーヒストちゃん、レイラお母さんの所に逝けたよね」
「必ずな、レイラの奴もやっと眠れたからな、あの世で笑顔で出迎えておるじゃろうて」
勿論、別れだけではない様々な出会いも勿論一年の中で沢山あった、嬉しいことも幸せなことも、だけどその中で一つ上げろというのならばユノは、いや、この基地の面々はこう答えるだろう
「ルキアとクリスちゃんに会えた、多分、一番嬉しかったことだと思う」
言葉にせずとも分かっているとユノの周りの者達が頷くが、名前を呼ばれた二人はと言うとユノとクフェアの腕の中で穏やかな寝息を立てていた、そこで時計を見てみれば
「む、何じゃもうこんな時間だったか」
「新年まであと一分とちょっとくらいしか無いですわね」
「そりゃ眠くなるか……可愛いなぁ」
「えぇ、とっても可愛いです」
とノアが寝ているクリスの頬を指で突けば、少し笑ったみたいな反応をしてからまた寝息を立てる、そんな二人を見てから寝ているルキアを見て、それからクリミナやルピナスたち、そして今年はお前たちと過ごせることが嬉しいとオートスコアラー達と同じ席に向かい語り合っているキャロル、最後に食堂に集まっている基地の皆を眺めてから
「きっと楽しいことが沢山、これから貴女を迎えてくれるよね、あ、そうだった、皆……」
眠っているルキアを起こさない程度の声だったがその場の全員には届いたようで彼女の方を見つめる、それを確認し笑みを浮かべながら
「来年も、よろしくね」
今年もP基地は新たな年を迎えられるのであった。
めっちゃ雑な振り返りだったな!てかもう人数多すぎて書ききれないッピ!!
という訳で大晦日でした、来年は……まぁのんびりと書いていきましょうかね、そろそろカフェとかにも顔を出したい、あぁでもネーヒストちゃんをどうにかするのもありかなぁ(チラチラ
では皆さま、よいお年を!