それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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これ本編のSession数超えるのでは?


大乱闘ドールズフロントライン! Session6

何かを調整するように機械を操作し、それから自身が付けている航空ヘルメットのマイク部分を口元に動かしてから

 

「こちらヒポグリフ、ナデシコ応答を……ランページゴースト応答を……オートスコアラー応答を……」

 

ここは臨時本部のヘリポート区画、そこで補給のために寄っていたヒポグリフの機内でパイロットである【81式カービン】が無線機を調整しながら通信を行おうとするのだが返ってくるのはノイズのみ、その様子を見ていた初老の整備兵が

 

「どうだい、嬢ちゃん」

 

「……駄目ですね、やはり通信関連は全てダウンしているようです。そちらで分かることは?」

 

「聞いてる限りだと人形関連のシステムが全部不具合を起こしてるらしい、ダミーも使えねぇだとか」

 

それを聞いて、そうですかと答えてから無駄ではあるがと改めて呼びかけを行うがやはり繋がらない、重要拠点への攻撃開始と同時に補給に戻った自分が最後に目撃したのは地下から現れた鉄血の増援、そして戻ってみれば通信などが不具合により繋がらず、更にはと整備兵に視線を向ければ

 

「ダミーは問題有りませんがIFFシステムにも影響が出ているようですね、こっちのほうが少々厄介です」

 

「洒落にならねぇな、てかダミーが問題ないってそうか連れてきてなかったな、で、これからどうすんだい」

 

この問いかけに対し81式はキョトンとした表情をした、彼がどうしてそんな質問をしてきたのだろうと、これからも何も自分が行うのは唯一つ

 

「これより空に上がります、補給は済んでるのですよね?」

 

「終わってるには終わってるが空って、システムとかも全部不調を起こしてるこのヘリを飛ばすなんて出来るわけ……」

 

「問題有りません、そもそもヒポグリフは始めから全てマニュアル操作ですし、私自身も戦術人形としての機能は最低限にあとはパイロット関連の物しか積んでませんから」

 

へ?と整備兵から声が漏れるが81式はそれを気にする様子もなく離陸前の機器の点検を行っていると彼から

 

「冗談だろ?だって、姿勢制御とか武装の照準だとかは」

 

「全てここからマニュアルで制御を行っているだけです、それよりももう離陸しますので降りて下さい」

 

眼が本気だった、少なくとも口から出任せの類ではないと言うのがはっきりと分かった整備兵はそれ以上は何も言わずに、いや、降りる直前に彼女の背中へただ一言

 

「死ぬなよ、嬢ちゃんみたいなパイロットを失うには惜しい戦場だからな」

 

「ご心配なく、死ぬ時は晴れていて柵もなにもない平和な空でって決めていますので、ヒポグリフ、これより離陸致します」

 

勿論ながら通信は繋がらないので誘導のハンドサインに従いながら空へと上がりる。ここでこの基地の81式について少し語ろう、彼女が空へと憧れを持ったのは民間時代からだった、更に言えばとある師匠とも言える人物の影響で骨董品という枠すら超えた飛行機【レシプロ機】のそれに惹かれてしまったのだ。

 

全てがマニュアル、機械制御なんてほぼ無いそれで大空を自由に飛び回るその姿に彼女のメンタルは惹かれに惹かれ、教授を付けてもらうほどだった、そして自分はパイロットが出来るという売り込みで彼の伝手で技術と記憶をそのままに81式として生まれ変わりP基地へと来ることになる。

 

そういうこともあり今の彼女はこの職場を気に入っている、しかも自身のリクエストに完璧以上に答えてもらったヒポグリフという機体を与えられ、こうして空を飛べる。だがそれでもこの異常下で飛ぶのは無理があるのではと言われそうだが、彼女からしてみれば寧ろ何故システム等が死んだだけで飛べなくなるのかという疑問に思うほどだ。

 

だって昔はそんなのなかったじゃないかと、過去の2つの大戦では確かに友軍からの索敵支援などはあっただろうが全てを己の腕で、眼で、感覚で大空で敵機と戦い、地上に向け味方を巻き込まないように攻撃をしていたではないかと、だからこそ人形である自分たちに出来ない道理は無いだろうと。

 

故に彼女は四六時中ヒポグリフを飛ばし続けた、現実で、仮想空間で、極限までリアルに作り上げたフライトシミュレーターで、数十、数百、数万、数億、銃を握るよりも操縦桿の方が圧倒的に長くなろうと気にせずに、あらゆる状況下での飛行を行い続けた。

 

そして今、その努力が実る事になる。離陸と同時に高度を上げ、その途中で彼女の口元が少し笑みを浮かべて

 

「ふふっ、まさかこんな形であの人と同じ状況の空を飛べるようになるなんて……師匠、これから貴方が見た空を飛びます」

 

確かに鉄血が行った作戦は効果が絶大だった、だがそれでも彼女たちは失敗を犯してしまった、その日、眠れる鷹を目覚めさせてしまったと言う小さくはない失敗を

 

離陸暫く上空を旋回していた彼女が眼にしたのは約三千にも及ぶであろう一度は撃退したはずのパワードスーツの軍団【祈祷者の軍団】が、原理は不明だが突如として現れ、それはここを包囲するつもりなのか、広がるように動き出していた。

 

(混乱に乗じてということですか)

 

通用するかは不明だがとステルス機能を全て起動、広がり切る前に軍団の端へと舵を切るのだがその事に彼らが気付いたという素振りはない、そもそもにしてこの状況で航空戦力が飛んでいるということも想定していないというのもあれば、士気を上げるために声を上げているが故に唯でさえ静音性の高いヒポグリフの音に気付けていないというのもあるだろう。

 

そのまま彼らの上を取りつつ進路を定め、スイッチを幾つか入れればバルカン砲及び誘導爆弾スタンバイというアナウンスが流れ、マニュアルモードの照準がモニターに映される

 

(照準合わせ、誘導爆弾を無誘導状態に設定、投下位置確認……良し、3、2、1)

 

その時、彼らがまず見たのは自分たちの陣形の端から突如としてとしか言い表せない形で現れた機影とバルカンのアイドリングの音

 

「な、戦闘ヘリ!?」

 

「回避行動、急……」

 

二門からの20mmバルカン掃射が彼らを襲い無慈悲に穴だらけにし食い破っていき、続けて落下音が断続的に聞こえれば爆炎と衝撃が襲いかかる、進路は間違いなく自分たちを突っ切る形だと分かれば彼らもヒポグリフへ攻撃を敢行するのだがその全ては回避もしくはフィールドに阻まれてダメージにならない。

 

臨時本部を混乱に陥れようとした彼ら、だが今は逆に混乱に陥っていた、無論だからといって彼女が手を緩めるわけもなく、三千と居た敵は大幅に数を減らし、このままヒポグリフに食い尽くされていくだろう、しかしそれでも81式の表情は晴れない、彼女は見てしまった、ここ以外にも戦闘が行われているのか黒煙が上がっているのを

 

(援護に行きたいですがここを手薄にするわけにも……皆様、どうかご無事で)

 

願いながら81式はヒポグリフを駆り、迫りくる敵を退けていく。場面代わりオートスコアラーの援護により撤退を開始した部隊にも祈祷者の軍団が襲いかかっていた、しかも背後と前方からの挟み撃ちという形で、そんな状況で護衛をスユーフから任されたラーニョチームは悠然とスユーフに命令された彼女たちの盾となるべく祈祷者の軍団の前へとそれぞれ躍り出る

 

【弾幕張れー!ミサイルとかを撃ち落とすんだ!】

 

【廃屋からもなんか出たー!すっごい強そうなのが居る!】

 

【決死隊の皆、早くAA-2改の方に逃げるんだ!彼女たちには手を出させないぞ、おらおらー!】

 

【今度は僕たちが殿の番だ!死を恐れるなー!】

 

【敵の数が何だ、怯むな!ラーニョチームの恐ろしさを奴らに刻み込んでやれー!】

 

自慢の機動力を武器に徹甲榴弾に換装したチェーンガンとラーニョチームの内、三機が榴弾砲を、残りの二機が12.7mmガトリングガンで射撃を行い、時には自身の並の戦車よりもある装甲で逃げ遅れそうになっているものの盾になる。

 

時に突撃、時に撹乱、あらゆる戦術を彼ら独自の繋がりで連携を取り、とにかく撤退の時間を稼ぐ、これで破壊されようがお構いなしである、いや、一つ懸念があるとすれば

 

【ねぇ、この電子攻撃だと僕たちの今回の経験値、バックアップ取れないんじゃない?あれ、かなりやばくないこれー!?】

 

【前言撤回、死を程々に恐ろー!ここの経験値持ち越せないのは勿体ないぞー!】

 

【所で残りの弾の数と敵の数が全く合わないんだけどー!】

 

【弾薬が空になるまで撃ち尽くせー!無くなっても体当たりで戦えー!】

 

【突撃だー!戦車である僕たちに退却の二文字はないぞー!】

 

場違いなほどに騒がしい声が戦場に響く、しかし彼らが行っている行為は決して無駄にはならないだろう。




つい勢いと言うか、彼女あんまり目立ってなかったからって理由で臨時本部側の祈祷者の軍団を蹴散らしてしまったけど大丈夫なのだろうか?(土下座準備)問題あったら何とかこう修正しよう、うん。

え、ラーニョチーム?あの子達は良いやつだったよ(おいこら

P基地の81式さん
大空ジャンキー、被弾して敵地に墜落するくらいなら機体を自爆させてでも空で死ぬとか言いかねない娘。システム面を航空関連にしてしまっているので実はダミーが使えないし射撃も得意ではない、だけどあらゆる航空機を完璧以上に操縦可能で、その全てをマニュアルで行うことが出来るとんでもねー奴。

戦場の運び屋と言われた男の弟子だとか何とか。

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