それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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SAKIMORIオンステージ!


大乱闘ドールズフロントライン! Session10

「ああクッソ、あれ結構気に入ってたんだぞアタシ!!!」

 

敵側も流石にノアの大型航空兵器【ミーティアデンドロビウム(仮)】は厄介だと思ったのか、フードマント集団の中から親玉と思われる存在が現れ、ほんの一瞬ノアが地上へ攻撃のために高度を下げたタイミングで二対のビームソードで迎撃、回避が間に合わずに斬り裂かれ、脱出したノアの一言目が上記である。

 

「くそぉ、クフェアやクリスに見せるつもりだったのに……」

 

「見せられても困ると思うんだよなぁ」

 

いつもの任務の空気になりつつあるランページゴーストだったがそこでふとノアがアナの姿を見てから、数秒思考が止まり、それから

 

「その格好どうしたんだ?なんかこう、ギルヴァ達と似たような感じすっけど」

 

「ちょっとありまして、それよりもまだ戦闘は終わってません……まぁもっとも」

 

言いながら自身の得物であり相棒である深紅の太刀【絶刀・天羽々斬】を相手を見据えこう続ける。敵は強力であり数も居る、だがそれでも負ける気はしないと、諸々のシステムの復活にルーラーによる強化、これだけ揃っていれば負ける要素は無いと。

 

「だけど油断は禁物ってね、そうでしょ副隊長、隊長」

 

「あぁ、特にあのビームソードが厄介だな、まだまだ距離があるとは言え、流石に接近されるとアタシもキツイぞ」

 

「ならば私が対処します……すみません、少々この状態に慣れるために先に仕掛けさせてもらいます、援護頼めますか」

 

どうやらこの形態では自分が前衛として暴れたい様子に、ノアは任せろと20mmバルカン砲を生成、RFBもルーラー三人による強化の恩恵を受けてはいるが先程の制限解除の反動が来ているので大人しめにすると伝えればアナは一つ頷き、構え、既に彼女の姿はそこには居なかった。

 

「なっ!?」

 

「何度見ても驚くんだけど、でもあれ瞬間移動とかじゃなくて純粋に速すぎるってやつだよね」

 

RFBには何も見えず、ノアには辛うじて影が見えたという速度で動き出し、次にはフードマント集団の最前線にて居合の構えをし一閃、数体が巻き込まれ血煙となるがそれに目を配る様子もなく、一体を踏み台に飛び上がり

 

(この未知の感覚が魔力とすれば……こうすれば!)

 

まだ扱い始めて数分と経っていないので当然ながら慣れない魔力の操作をしつつ空中で生み出したのは無数の紅い魔力の刃、そしてシューティングスターを起動させて地上に突撃すると同時にそれらも地上の敵集団へと降り注げば、この光景は正しく

 

(千ノ落涙!?ど、どうしよう隊長、副隊長が完璧に【あれ】を真似し始め……駄目だこの人も少し前に絶唱してる!)

 

「ヘヘッ、こりゃ負けてられねぇな!」

 

彼女に負けじとノアもバルカン砲と腰部からのマイクロミサイルで蹴散らしている側で、いよいよこの部隊、例の作品の汚染が深刻だと一人電脳で頭を抱えるRFB、勿論ながらアナが知る由もなく、地上に着地と同時に側の一体を縦一閃、だがその僅かな隙きにと背後から迫ってくるがそれを

 

(我が身、(つるぎ)はこれだけと思うな!)

 

縦一閃した体勢から天羽々斬を持った右腕を軸に逆立ちする要領で足を振り上げれば、両足の先には先程の物とは形状の違う紅い魔力の刃が作り出されており、その背後を突こうとした一体を逆風の形で斬り捨て、更には両足を開いたと思えばそのまま独楽のように身体を回転させて周囲の敵を一気に斬り倒す、その技は彼女は電脳内で叫ばずにはいられなかった

 

(逆羅刹!!!でもあれ考えてみると凄い身体能力と言うか身体の柔らかさだよね)

 

この時点で頭を抱えるのは止めて、楽しんでしまおうという思考になった模様。そんな感動の視線を送られていることに彼女が気付く訳もなく、数回と回転してから体勢を戻し、天羽々斬を構えたのだがその刀身には魔力を纏わせているのか紅くなっており、そのまま動かずに右切上の形で振り抜けば、紅き斬撃が飛び出し直線上の敵を無慈悲に両断、無論これにもRFBは反応する

 

(おお!碧ノ一閃、いや、紅ノ一閃!!)

 

もはやノリノリである、しかもそんな事を考えながらでもRFBも決してサボっているわけでもなくフードの敵を殴り倒したり内蔵武器で薙ぎ払ったりしているので意外と彼女も成長しているというものである。

 

だが当の本人は斬り捨てながらも一つ気付いたことが在った、確かに天羽々斬で直接斬った存在は血煙と化してしまっていたが魔力の刃の方でも残骸が残ってない、見れば機能停止した側から砂のように自壊しているのが分かった、それはつまり

 

「(鹵獲されると困る?)隊長、そちらで倒した敵は残ってますか!?」

 

「いや、どいつもこいつも砂になりやがる!」

 

「うわわ、こっちもだ!なんだコレ、どうなってるの?」

 

これだけの数を用意しておきながら、自壊機能も全てに例外なく付けられている、恐れるのはその技術力と生産力の両方を持っているという事だろうか、だが今はそれを考える場面ではないと雑念を振り払い、迫りくる敵を薙ぎ倒すが如く蹴散らしていけば、遂に奴が動き出した。

 

リーダーユニットと思われる二刀のビームソードを携えた個体が他の一般ユニットとは比較にならない速度で一番前に出ていたアナの眼前へと詰め、勢いそのままに連撃が彼女を襲うがこれを天羽々斬でいなし、時に躱していくのだが

 

(速い。だけではないのか!)

 

スピード、パワー、思考速度、その全てが比較にならないという実力にまだこの形態に慣れきっていない彼女は斬り合えてはいるのだが若干苦しい表情を浮かべる、更に驚きなのはアナを援護しようとノアとRFBがそれぞれ射撃を行うのだが、致命打になるのだけを的確に、しかも剣戟を行いながら弾いていく、これにはノアも

 

「チッ、一筋縄じゃってやつか!」

 

「隊長、周りもまた動き出した!」

 

が、そこで上空から2つの影が勢いよくそれぞれの得物でリーダーユニットに攻撃を加えるとその衝撃でリーダーユニットは吹き飛び、更には周りの一般ユニットも根こそぎ吹き飛ばされて、辺りには土煙だけが舞い上がる。

 

一体誰が、とは誰も思わない。ノアとRFBはこんな事出来るのは大体決まっていると思っているし、アナはイグナイトトリガーを引いてから感じれるようになった魔力で直ぐに理解した、そして土煙が大剣で払われれば

 

「これは悪夢だね。主に敵にとってはだけど」

 

二人の悪魔に思わずRFBが言葉を漏らせばノアもまぁなと答えてから上空を見上げれば、同じくトリガーを今日引いてフル装備になっているルージュの姿、彼女は

 

「遅れました。でも必要無かったですかね?」

 

「いいや、寧ろ来てくれて大助かりだ」

 

その後、ギルヴァ達と軽く会話を挟んだり、形は多少違うとは言えトリガーを引いたということにギルヴァがアナの頭を撫でるという行動に周りが驚いたりもしたが、直ぐに全員は構えて

 

「行くぞ……」

 

「我が太刀……」

 

「「受け止められると思うな」」

 

あれを受けながらもなおも健在であるリーダーユニットと一般ユニットの集団へと駆け出す、そんな中、RFBは自身のパワードスーツの異常に気付いていた。

 

ここまでマトモに休憩無しで連続稼働を続け、時に攻撃を防ぎ、時に限界一杯まで機能を使い、実を言うと内蔵武器も弾切れ寸前で、制限解除の反動でルーラーからの強化込みでも動きが悪くなっている部分があったりシステムそのものがレッドアラームを出していたりする。

 

(お願い、もう少し私の我儘を聞いてくれよマキシマムスーツ!)

 

復活こそしたが目の前で副隊長であるアナが一度は殺された、このメンバーなら大丈夫だとは思うがそれでも今度は誰がという不安が臆病である彼女に襲う、だからだろう

 

(もう、誰も死なせたくないんだ、泣かせたくないんだ、だから……力を限界まで貸して!)

 

彼女の想いに応えたいが出来そうにないと言う返答のように一瞬だけスーツからのスパーク音が響くが無視を決め込む、この彼女本人も認識していない焦りが生み出すのは……

 

お ま け

ラーニョチームとヒポグリフの一幕

 

【ラーニョチーム編】

 

祈祷者の軍団が現れてから撤退部隊の時間稼ぎのために戦い続けていた彼らは幸いながら脱落者こそは出てなかったが、現在は大問題に直面していた、それは

 

【弾薬あるやつー!】

 

【0でーす!】

 

【空でーす!】

 

【底ついてまーす!】

 

【ついでにエネルギーも危険域でーす!】

 

どうするんだよこれー!とラーニョリーダーの叫びが木霊する、とどのつまり彼らはもう既に戦闘ができる状態では無くなっていた、しかも本来であれば補給できるはずの基地は既に焼け野原、困ったぞこれーと嘆いていると

 

【なんか来たー!】

 

《騒ガシイ、奴ラダ》

 

一体のラーニョが報告を上げると同時にぞろぞろと大きなバックパックを背負った人形がラーニョチームの周りに、いや、見れば様々な所で修理ないし補給を行っている、ともかくその人形はラーニョチームの状態を見て

 

《直グニ、エネルギー、弾薬ノ補給ヲ行ウ》

 

【マジで!?やったー!】

 

【これでまた戦えるぞー!】

 

【あ、天然オイル無い?え、無いの、そんなー】

 

【榴弾の火薬ちょっと多めに、駄目?そっかー】

 

【こちらラーニョリーダー、スユーフさん、補給が終わり次第こちらもそっちに向かうねー!】

 

賑やかな自律思考型多脚戦車チームは無事にオートスコアラー及びB基地のワイズマン指揮官と合流するのであった。

 

【ヒポグリフ及び81式編】

 

彼女はと言うとあの臨時本部が襲撃される数十分前に、それを空から察知した彼女が即座に基地に戻ると航空戦力が来ていることを伝えて

 

「今すぐ整備兵の皆さんは乗って!!」

 

と彼女らしからぬ感情的な声で空へと避難、ギリギリの所で彼らとともに難を逃れたのだが、とりあえず跡地でも立て直すと彼らの言葉で着地しようと旋回した時に、彼女は誰かが立っているのを見た、明らかな瀕死、だと言うのに81式のパイロット用に極限まで調整した眼が顔をはっきりと捉えた

 

(笑っている?それに【世界の輝きを更新せよ】……?覚えておき指揮官に後で報告しておきましょう、何か嫌な予感がします)

 

それから彼らを降ろし、出来る範囲での整備と補給を済ませてから戦場へと飛び立つ、途中でリバイバーの行動でジャミングが消え通信も復活、どうやらB基地のワイズマン指揮官に指揮権が委ねられているようなのでと合流しようとした時、一つの通信が入った。

 

《こちら、正規軍傭兵分隊兼元グリフィン所属のアラマキだ……航空機、車両なんでもいいワシを友軍まで運べる奴近くはいないか?》

 

アラマキ、確か何時だったかS10前線基地との合同作戦の時にも居た名前だと思い出してから、81式は

 

「こちらS09P基地所属の航空支援ヘリ【ヒポグリフ】パイロット、81式。そちらの通信を拾いましたのでランディングゾーンの指定を貰えれば向かいます、私も味方の合流したいですからね」

 

《ありがたい、すぐに指定しよう》

 

地上では未だ戦いは続くが、それももう長くは続かないだろう、そんな事を思いながら、客人を迎えるためにヒポグリフの少し進路を変えるであった。




とここで本来であれば仕留めるつもりだったのですが、ちょっとばかり主催者側にパスです、まぁRFBちゃんはこのメンバーの中だと普通の人形だからね、焦る気持ちもしゃーなし

そしてラーニョチームは万能者が連れてきた増援のお陰で戦線復帰

81式さんは何か見ちゃいましたがまぁ良いでしょ!あとアラマキさん拾っておきますので自由にどうぞー

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