それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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フェアリーリリース作戦のSession数超えるのでは?


大乱闘ドールズフロントライン! Session11

「RFB!!??」

 

コールサインではなく本来の名でノアが叫びながら駆け出し、アナがリーダーユニットとRFBの距離を離すために斬りかかれば、ギルヴァ、ブレイク、ルージュの三人も続き戦闘が始まる。

 

少なくともほんの少し前まではトリガー四人ならば圧倒できた筈、だが今の敵は突然の強化によって四人が相手でも引けを取らないレベルになっており、傍から見れば何が起きているのかという速度と下手に近寄れない衝撃波の戦いになっている、がノアはそちらは見ずに両腕を切断されたマキシマムスーツの中で気を失っているRFBの側まで行き、状態を確認する。

 

あの一撃で頭部が一番の不安だったが無駄に強固に作られたヘルメット自体は大破しているものの、中の頭部は軽く血を流しているだけで済んでおり、腕に関してもマキシマムスーツのAIがそうさせたのか、スーツの腕と一緒に両断されたというわけではない様子に一度安心をしてから

 

「おい!おいってば!!!」

 

「うっ……たい、ちょう?」

 

どうやらヘルメットのお陰で気絶はあの一瞬で済んだらしい、その事を確認できたノアは一つ息を吐いた姿を見てRFBは自分に何が起きたかを思い出す。

 

飲まれたのだ、敵が突如として出してきたあの空気に、誰かが死ぬという恐怖を突きつけられ、だけど自分がタンク役として前に出なければという気持ちの鬩ぎ合いの結果、あのような醜態を晒したのだと。

 

「……ごめん、隊長、私、怖くなって、それで」

 

「気にすんな、アタシだって少しは怖いからな」

 

この言葉にRFBが驚いたようにノアの顔を見る、だって笑ってるじゃないかと、怖いと思ってる様子なんて欠片もないじゃないかと、だが彼女も何も感じていないというわけではない、万能者と同じというわけではないがそれでも近い気配に

 

「正直、ほんの少しはビビってたりする、アイツラみたいに接近戦を仕掛けようとは思えないくらいにはな」

 

「隊長が……?」

 

「あぁ、何だその顔、アタシだって怖い物は怖いんだよ、わりぃか」

 

ぶっきらぼうで、だけど敢えて本音を話すことで自分の緊張みたいなのを解そうとする彼女の言葉に、RFBは

 

「ちょっと驚いただけ、隊長って怖いもの知らずだと思ってたから」

 

「ハハッ、それこそまさかだ、クフェアに怒られるのは今でもこえぇよ……さて、RFBはここで休んでろ、あとはアタシらが」

 

「ううん、私もまだ戦う」

 

言葉を遮るようにそう答えれば、どうやって戦うんだよとノアが聞く。自分の武器であるマキシマムスーツは見ての通り大破した、彼女自身の愛銃だけではとてもじゃないがあのフードマント集団にすら苦戦するだろう。

 

だが彼女にはまだ武器は在った、機能を停止したマキシマムスーツから抜け出すと背中に回ってから操作をすれば空気が抜ける音がしてから取り出されたのは黒色に彩られた装甲で縁の部分は黄緑色で彩色されている十字架を模った大型の盾、これはS10前線基地のマギーから彼女に送られて一品、名を【R.ガード】

 

本来であれば悪魔と戦うことを想定した代物なのだが彼女はマキシマムスーツの背面に収納箇所を増設してもらい持ち込んでいたらしい、それを手に取り、念の為にと愛銃を腰にマウントしてから、ノアを見据えれば

 

「怖くねぇのか?」

 

「怖いよ」

 

怖い、それは今も変わらない、だけどあの発狂し、そして反撃を受けて気を失った一瞬、そして今さっきのノアとの会話で彼女は

 

「だけど怖いっていうのは多分、正常なことなんだと思う」

 

きっと、自分はそれを人並み以上に感じやすい、だけどノアだって、多分アナだって何かしらの恐怖と戦って、ああして大きな力を手に入れている。

 

「分かったんだ、怖いからこそ立ち向かわなきゃいけないって」

 

「……乱戦になった状態でさっきみたいになっても助けられないかもしれねぇぞ」

 

「フフッ、『それこそまさかだ』、だよ。もう、あんな姿は見せない、敵が確かに怖い、でもそれ以上に、見てるだけで何かを失うほうが今は怖い」

 

だから戦うんだ、RFBの目が表情が、そして纏う空気が何かを乗り越えた、そんな事を感じられるモノに変わりノアは少し驚いた表情をしてから、いつもの攻撃的な笑みに変えて

 

「分かった、シンデレラ!お前はギルヴァ達と協力してソイツを仕留めろ!マキシマムとアタシが周りを抑える!!出来るな?」

 

「勿論!マキシマム、これより作戦行動に移る!!」

 

ノアが右に、そしてRFBがR.ガードを構えて左へと駆け出し、手始めに目の前の一体に思いっきりR.ガードを横に振り回し打ちのめす、が攻撃後の隙だらけの彼女目掛けて一体が素早く襲いかかる。

 

が、彼女はそれを分かっていたとばかりに振り向いてしっかりを敵を見据えてながら攻撃を受ける寸前でR.ガードで防げば魔力障壁が展開、一際甲高い音が響き、カウンターとばかりに防いだ姿勢のまま体当りするようにぶつける。

 

何故こんな芸当が、そう思われるかもしれない。だが先程も言ったが彼女はあの発狂を、得も言えぬ恐怖を体験したからだろうか、今までは恐怖を力に変えていたそれを次は恐怖を利用することで攻撃が来る方向、タイミング、それらを図れるようになった。

 

怖いからこそ自分の命を脅かす攻撃が分かる、怖いからこそ自分に向けられているそれがどこからなのか理解できる、怖いからこそ、彼女はノアに習って勝ち気な笑顔を敵に見せながら

 

「さぁ、来なよ!臆病者の戦い方ってのを見せてやる!」

 

高らかに宣言した声はリーダーユニットと戦闘中のアナにもしっかり届いていた、声に対して先ずは安堵、そして自分自身に怒りを覚えた

 

(私がこの力をもっと扱い切れれば!)

 

RFBは負傷せずに済んだかもしれない、だからこそもっと、もっと!力を!と苛烈とも言える攻撃をギルヴァ達と繰り出すが向こうは予知でもしているのかと言わんばかりに攻撃をいなしていく、その姿に更に彼女はこの思いを強くしてしまうが

 

「焦るな」

 

「っ!?」

 

「その力はもうお前のだ、扱い切ろうとは考えるな」

 

リーダーユニットと剣戟を行いながらだと言うのにギルヴァは自分にアドバイスのような言葉を掛けてくる。どういう意味なのだろうかと考えるよりも先にギルヴァは更に言葉を続ける

 

「銃爪を引いた時のことを忘れるな」

 

「銃爪を……あっ」

 

そうだ、自分はこの力を手にした時、なんて言った。己の物にしようとするんじゃなく、幻影に、イグナイトに、そしてレイラ指揮官になんと言った?立て続けに色々と起きたが故に少し前のことだというのに忘れかけていたそれを思い出したアナは、一度距離を取ってから目を閉じ、息を吐きだし身体全体に入っていた余計な力を抜き出す。

 

『武器の性能に頼り過ぎるな。意識を集中しろ、雑念は刃を鈍らせる……精神を研ぎませるんだ、そうすればおのずと見えてくるはずだ』、自分が勝手にそう思っているだけだが師とも言えるフランク・イェーガーの言葉を再度頭の中で復唱し、電脳で自分はこの力と共に戦うのだ、故に身体を委ねよう、自分が行うのは唯一つ、他の何も雑念は要らないと唱えてから

 

「ふぅ……往くぞ」

 

ただ速く、相手が自分たちの行動を予知し動くのならばそれよりも速く動き、斬る。その想いに応えたのか、その動きはギルヴァ達の目から見ても突如現れたと言うレベルの速度でリーダーユニットの背面に現れるが

 

「(これでもまだ防ぐか!だが)私一人ではない!!」

 

「忘れてもらっちゃ困るなぁ!」

 

防がれたと同時に次にブレイクが斬りかかるがリーダーユニットはもう一刀のビームソードで防ぐ、それと同時にアナの攻撃を防いだ方を力の限り弾き飛ばし

 

「疾ッ!」

 

「コキュートスよ……」

 

迫りくるギルヴァの無銘を防ぐが、刹那、彼の耳に静かな、だが冷たさを感じる声が聞こえたと思えば脚が動かなくなり、見れば凍り付いている己の両足、ならばとギルヴァを弾き、これを行った存在、ルージュに向けて凍り付いた脚を無理やり剥がそうとするが

 

彼の視界の両隅で光が見えた、それは片やは今までの攻撃を防いだことによりエネルギーが限界まで溜まったR.ガードの攻撃形態【リヴェンジ】の砲口から、もう片方は【ブラッディ・フィーバー】に【レーゾンデートルⅡ】を装備させてレールガン状態のチャージの光。

 

「とっておきだ!!!」

 

「ぶち喰らえってんだ!!!」

 

大出力な一撃はリーダーユニットを貫かんと迫りくるがそれを最大出力まで上げた二振りのビームソードで防がんと構え、凄まじい衝撃と音と同時に拮抗、だが両腕を振り上げることで上空に逸らすことに成功するが次に見たのは、始めに弾かれてからそのまま上空に上がり魔力を練り上げていたアナの姿。

 

大剣なんて目じゃない、それこそ山すら両断できるのではという形に作られた魔力の刃の柄の部分をシューティングスターにより最大出力のブーストと同時に蹴りつけて自身を貫かんとするそれにもう一度ビームソードを構えようとするが

 

「!?」

 

「邪魔はさせん」

 

「見せ場はやるよ、だから決めな嬢ちゃん!」

 

両腕は二人の悪魔の刀と大剣により虚しく宙を舞う、回避は脚の氷を考えれば間に合わない、完璧なる詰み、こうなったのならば自壊してしまえば良いのだがリーダーユニットは不思議とそれが出来なかった。戦士としてのプライドか、或いはその魔力の刃に籠められた彼女の想いを感じたのか、ただ迫りくるその刃を見つめているだけ。

 

「てやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

籠められているのは怒り、それは仲間を傷付けたリーダーユニットへか、将又、仲間を庇うことも出来なかった己の未熟へか……もしくはその両方か、天からの刃は速度を落とすこと無くリーダーユニットの胴体を貫き

 

見事ダ……

 

そんな言葉が聴こえたのかアナが着地同時に振り向けば、既に自壊し砂に変わるリーダーユニットの姿、だがと彼女は応える

 

「まだ、私は未熟な剣です」

 

(この空気で言葉に出すのはあれだけど、最後のは見事な天ノ逆鱗だったなぁと)

 

やはりこの戦術人形、既に手遅れなレベルに汚染が進んでいるらしい。




【もう当たらない必殺技とは】天ノ逆鱗、敵を撃破【呼ばせない】

マキシマムスーツは多分後で万能者の増援が直してくれたんじゃないかな(適当)

因みに追加設定としてはRFB自体もパワードスーツを操りにあたって改造されてるので実は一般的なRFBよりは高性能だったりする。

この後のこと全く考えてないので周りに合わせよう、うん。

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