それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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おや、M82A1の様子が?(例のBGM


大乱闘ドールズフロントライン! SessionEX

大規模作戦から数日後のP基地、特殊ラボにて彼女たちは集まっていた、そして何だか少しばかり固い空気にもなっていた。

 

まず一人はこの基地の指揮官にしてラボの一員という側面も持っているキャロル、続いてラボ主任であるアーキテクトとラボ員の89式と88式、だが全員が全員とても難しい顔を晒している、と言うのもあの作戦で起きた事柄に頭を悩ましているのだ。

 

「……はっきり言おう」

 

その空気の中、キャロルがその人物に重い口を開いた、がその声には悔しさみたいなのが感じられる。対してそんな声を向けられた人物、大規模作戦にてあのフードマント集団との戦闘でコアを貫かれておきながら、復活を遂げて更にはパワーアップ、挙げ句イグナイトモジュールの稼働時間を限界である999秒にまで伸ばしてしまったランページゴーストの副隊長のアナは真剣な面持ちでキャロルの言葉を待つ

 

「全く分からん」

 

「……え?」

 

「悔しいが、俺たちでは何がどうなって、その結果に至ったのかという過程がさっぱり分からんと言っているのだ」

 

「色々推測は立てたんだけどね~」

 

アーキテクトの言葉通り、ラボの面々は考えられる事柄を片っ端から照らし合わせてみたのだが彼女の身に起きた変異【トリガー】、彼女がギルヴァから聞いて話では悪魔化する本来のそれではないので利便上【イグナイトトリガー】と予備ことにしたのは置いておき、ともかくそれに対しての答えが出てこなかったのである、だがアナの身体に起きていることの一つは判明はした。

 

「イグナイトモジュールのリミットが伸びたことに関しては一応の答えが出た。端的に言ってしまえば、お前は【傘】と【シェム・ハ】の2つにウィルスを制御下に置くことに成功しているという事が考えられる」

 

「驚きなのがこの999秒って時間はアナさんの身体の限界じゃなくて、イグナイトモジュールの耐久限界の時間なんですよね……」

 

キャロルの言葉を理解するのに反応が遅れ、続けて88式の言葉に言葉を失いながら驚くアナ、それは本当に大丈夫なのだろうかと言葉にしなくても出ている不安にアーキテクトが

 

「アナっちの身体には何の異常は出てないよ、いや、まぁこれで異常が出てないのがもはや訳が分からない事なんだけどさ、ともかく今後のイグナイトモジュールの運用にも何の問題はないってことだね」

 

「そう、ですか……でも何で制御下に置けたのでしょうか」

 

「……考えられるとすればその【トリガー】に答えはありそうだがな、はぁともかく科学という観点からではこれが限界だ、故にS10前線基地にお前には出向いてもらうことにした、詳しい日程などは向こうからの連絡を待て、ではもう下がっていいぞ」

 

「分かりました、失礼します」

 

とここでアナの要件は終了、だがキャロルはまだまだやることがあるとナガンに通信を繋げる、今度の案件は今回の作戦で後半で自身が権能解放中で指揮ができなくなった時に現場にて執ってくれたB基地に関することである。

 

聞けば、とんでもない被害を被っているらしい、特に車両やヘリ、持ち込んだ機器などが片っ端から消し炭になったとかで大赤字らしい。

 

「祖母上、どうだった?」

 

《呵々、向こうのナガンが大赤字だと言うレベルじゃよ、当たり障りないレベルだが聞けた分は今データを送るぞ》

 

と送られてきたそれの内容に思わず同情の念を覚えてしまうキャロル、もし同じ立場でこのような被害が出たら流石の彼女も本気で頭を抱えることになっていただろう、その点においてはこの基地の少数精鋭運用は助かっている部分だ。

 

「指揮車……輸送ヘリ……索敵レーダー車に兵員輸送車……」

 

《それにプラスして通信機器などなどらしいの、しかも今回の作戦は勝ったとも負けたとも言えない結果に被害は甚大、報酬も禄に出なかった、一基地には洒落にならん状態じゃな》

 

「そうだな、だがオートスコアラーをメンテナンスし更には改造まで施せる技術者を擁している基地がこのまま倒れるのは惜しい、それにユノを救ったという個人的恩義もある」

 

だからこそ向こうが困っているのならば助けよう、キャロルは言葉を続けてからスチェッキンに通信を繋ぎ、今回のことの話をすれば向こうは何やら端末を操作してから

 

《指揮車と索敵レーダー車は本社から、輸送ヘリは資金難の基地が買ってくれないかという話があるし、この基地に遊ばしてるウィンダムが二機あると思うからそれを使おう、兵員輸送車はガーデンの街工房が最先端のものが出来たという話があるから買い取ってみようか》

 

「ふむ、分かった。予算に制限はかけない、この基地で確保しろ」

 

《了解、私の資金プールから賄えるのは賄っちゃうよ》

 

さて忙しくなるなぁとウキウキ声のスチェッキンとの通信が切れてから、アーキテクト達ラボの面々には通信機器をなどの生産を指示、一週間もしない内に揃うという報告を聞いてからキャロルはナデシコに接続し

 

「こちらS09P基地、キャロルだ。ワイズマン指揮官、少し話したいことが……」

 

それから大規模作戦の際のオートスコアラーのメンテナンスと自身では思いつかなかった方法での改造の礼、現場指揮を任してしまった事に対する謝罪とこれにも礼を、それから今度、自分がオートスコアラー共にそちらに挨拶に行く際に届けたい物があるという話をしている側でオモイカネが

 

「いやぁ、相手が困ってるなら手を差し出そうというのは立派な考えだけど、姉妹揃って限度って物を知らないのがあれだよね、玉に瑕ってやつだよね」

 

キャロルから挙げられる、B基地へのお礼の品々の内容にワイズマン指揮官の若干呆れたと言うか引き攣った声にオモイカネが苦笑で答えるのであった、因みにその日にこの話をユノ達にもするのだが、オモイカネの一言に

 

「あ~、ガンスミスさんに一度来てもらった時に沢山報酬出して驚かれたね~」

 

「そ、そんな事があったのですか?」

 

「おぉ、懐かしい思い出じゃな、うむ、大きく出せばいいというわけではないと学んだ日じゃったなぁ……カリーナにこっ酷く怒られもしたが」

 

当時を思い出してかナガンが声のトーンを落として言葉に出せば、ルキアとクリスを見に来ていたカリーナが指で彼女たちの相手をしつつナガンの方を向いて

 

「当然ですわ、もう、ルキアちゃんとクリスちゃんは限度を図れる娘になるんですよ?」

 

「……そうか、多ければ良いもんじゃねぇのか」

 

「そう、みたいですね」

 

大丈夫なのだろうかこの一家、カリーナが急速に膨れ上がった不安に溜息を吐き出すのであった。そんな風に日常が流れている中、教会ではM82A1が祈りを捧げていた、何時もと変わらず……いや、この日だけは少し違った。

 

気付いたのはHMG21と共に自分たちも祈りを捧げようと来ていたG3。彼女は教会の扉を開けたと同時に中から異常な空気を感じ取ると同時に先に入ろうとしたHMG21の首を引っ張って飛び退いた

 

「ぐえっ!?お、お姉さ……?」

 

「……」

 

どうやらHMG21の目には映っていないらしい、が一時期とは言えあのM82A1の元でシスターをしていた彼女にははっきりと映っていた、M82A1を中心に黒い、暗い、昏い、触手のようなモノが広がり、中心にいるM82A1の姿も人形としての彼女ではないこの世ならざる姿になっていることを。

 

あの大規模作戦の後半で起きた超常現象についてはG3も聞いていたし、それが彼女の仕業だということも直ぐに気づいた、だがその時は善意だと彼女が答えたので深くは考えなかったが、此処で漸く気づく

 

(善意で怨嗟を晴らし、昇天させた上で怨嗟が濃すぎて晴れしきれないものを……自身の依代に)

 

いや、これ以上考えるのはあとだと腰に掛けてあるサブアームのG17を取り出して教会の鐘に照準を合わせてから発砲、鐘の音が鳴り響けば祈りを捧げていたM82A1はハッと顔を上げ、その時にはG3の目に映っていた全てが霧散していた。

 

「M82A1、貴女まだ中に眠らせていたのですか」

 

「……ふふっ、いずれ必要になるものよ、起こせるようにはしておかないといけません」

 

「戦場をどうしたのですか……」

 

「えっと、お姉さん、何がどうしたの?」

 

HMG21の言葉に、彼女を忘れていたとG3が珍しい失念していたという表情をしてから、さてどう説明したものかと悩む姿にM82A1は何時もと変わらない穏やかで、だが感情を感じさせない笑みを浮かべる、彼女の足元の影の頭部に山羊と呼ぶには禍々しい二本の角が生えていることに誰も気付かないまま……




とまぁ、色んな所に適当にお話を投げつつ今回のコラボ大会は幕を閉じましょうか、本当にお疲れさまでした!

え、M82A1はどうしたのかって?皆が姉なるものって言うからさ、ほら、分かるだろ?あ、因みに私はあのマンガ好きです(唐突な報告

M82A1さん【姉なるもの】

詳細不明、ただしあの村では彼女を崇めていたと言うよりは彼女を依り代に卸していた【ナニカ】を崇めていたのかもしれない、唯の怪異では枠に収まらない、ナニカを……

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