それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ガタゴトと、言うほど揺れるわけではないアーキテクト謹製のファミリカーがのどかな光景の道を往く、鉄血もELIDも裏で暗躍するなにかも感じさせない、この世界においてもある種の理想郷に近いこの地区にこの車は進んでいく。
そうして進んで目的地に到着し、誘導された地点にファミリカーを止め、彼女たち、言わずとも分かるだろうユノ達が降りれば出迎えたのは
「久しぶり、F45、皆も元気そうだね」
「うん、そっちも元気そうで安心した、あっとと、いらっしゃい」
ここはF小隊と彼女たちの指揮官『ディミトリ・ベルリッジ』の基地……ではなく、彼女たちがよく手伝いに入っている牧場、本日はルキア達を自分たちの基地に居る以外の動物と触れ合わせようということでやってきたらしい。
だが、勿論ながら基地の交流という面もあるのでとユノが通信端末を取り出してスイッチを押せば投影モニターに映し出されるキャロル、彼女はディミトリの顔を見てから
《こちらS09P基地、指揮官のキャロル・エストレーヤだ。こうして顔を合わせるのは始めましてだったな、本来であれば出向ければよかったのだが通信越しで申し訳ない》
「始めましてディミトリ・ベルリッジだ、それに気にしなくても問題ない、気軽に基地を離れられる立場ではそちらはないからな」
《そう言ってもらえると助かる、そこの元指揮官のようには行かなくてな》
「どういうことなのかな、キャロルちゃん」
どうもこうも、指揮官をしていた時から何かと交流と言って出向いていた貴様の行動力に呆れているだけだと隠しもせずにキャロルが言えば、ユノは不満げな表情をするがクリミナを始めとする周りの者達は確かにという部分もあり黙っている空間が出来上がり、いや、一人だけ、F416が
「In other words, it's restless」
「I think it was a necessary task?」
F416としてはルキアとクリスが生まれてから割と直ぐに会った時と同じようになんて言ったの?と返してくると思っていたのだがユノの口から出てきたのは流暢な英語、これには思わず目を見開いて彼女を見てしまい、対してその視線を受けてからユノは抱きかかえているルキアをあやしながら
「私これでも先生を目指してますから、沢山の言葉を話せるように頑張ってるんですよ~」
「はは、F416が一本取られるなんて珍しい物を見たよ、奥さん、随分と強かになったって言われない?」
「ふふ、そこがユノの可愛いところですわ、まぁ負けず嫌いっていうのが大きいと思いますけどね」
F11とクリミナの会話が聞こえているからなのか、若干顔を赤くしているが負けず嫌いというのはあながち間違いでもない、会えば当時の自分ではまだ理解できなかった言葉で意味ありげな事を言われていたので、それに対してギャフンと言わせたかったというのもあるにはあるからだ。
と彼女たちがやり取りしている側では、クフェアとノア、そしてクリスにF9が声を掛けていた。
「やぁやぁ、お~、少し前に会ったときよりもまた大きくなってるな~」
「ビックリだろ?聞いてはいたんだけどさ、本当に大きくなるのが早いんだよなぁ」
「ほら、クリス、F9さんとF45さんに挨拶してみて?」
「ぶわっ」
「あ~、可愛い~」
こんな風に感動しているF45だが、ルキアとクリスと初めて会った時はと言うとこんな感じではなく、物凄く遠慮というかなにか怖がっている感じであり、どうしたのかと聞いてみれば
『い、いや、なんかその、触ったら壊れちゃいそうで』
『砂糖菓子とかじゃないんだから……』
なんとも彼女らしい理由ではあるのだがF9が呆れる感じの声をしたのも無理はないだろう、だが一度触れ、その反応を見てしまえばあっさりと虜になり今では普通に接することもできる。
と、今回の遠征は実は彼女たち以外にも三人ほどついて来ていたりする、その件の三人組の姿を見た向こうのハンターとデストロイヤーが
「ゲーガー、お前は相変わらずその姿なのか、とかアーキテクトの胸が大きくなっているとかは置いておこう、それよりもだ……」
「ぷっ、ふふっ、アハハハハハ!!???え、あんたウロボロス!?アッハッハ!!なによその姿!」
「貴様も変わらんだろうがデストロイヤー?」
「はぁ?あんたよりも大きいわよ私は~?」
遠慮なく言えばデストロイヤーとロリボロスの姿は五十歩百歩であるがそれを二人が認めるわけもなく、バチバチと火花が散りそうな勢いで睨み合っている光景を尻目にアーキテクトはハンターに挨拶をしてから
「因みに作ったのは私だよ、ほら、流石に姿そのままってのは色々と問題だったからさ」
「いや、分からなくはないが……まぁ元気そうで何よりだ」
「そちらもな、そう言えば話に聞いたのだがハンター、乗馬を始めたそうだな」
ゲーガーがそれに触れればハンターは急に生き生きと乗馬について、いや、馬について語り始める。どうやら将来的には大草原で馬を駆ってみたいらしい、その話を聞いていたアーキテクトはその姿を想像し、それから
「保安官の姿とかハーちゃん似合いそうだよね」
「西部劇見てたなそう言えば……」
まだ入り口だと言うのに賑やかになる面々、いや、別に今回のメンバーだからというわけではない、この流れがいつもの光景なのだ、それから今回の目的である牧場へと案内される。
入ってすぐに迎えるのはユノが此処に始めてきた時と同じように大きな牛、柵越しでも中々の迫力であるそれにルキアとクリスは少し固まってから
「あぶっ!」
「おっとと、ルキア、いきなり触りに行くのは流石に危ないからね~」
「クリスもだからな、ていうかお前が積極的に動くなんて珍しいな、そんなに牛が気になったのか?」
「ぐぅ、あ!」
「モ~」
見慣れない人間と赤子、そしてその赤ん坊が騒いでいるということに反応してなのか牛が急に一鳴きすればルキアとクリスは目を丸くして牛を見つめる。
この反応に流石に驚いちゃったかなと泣き出しても直ぐにあやせるようにクフェアとユノが構えるが
「ぶぅ!」
「あう!」
二人が見せた反応は牛の鳴き声に応えるように声を上げてからなんとか触れようと手を振るうという行動、これには周りは和みながらF416が
「Your liver is settled」
「これ、馬とか見せたら面白い反応してくれそうね」
デストロイヤーの思い付きにロリボロスが確かに見れそうだと答えれば次の目的地が決まるという訳で、その後も全員で楽しく牧場巡りを行った。
馬を見せに行けば牛と同じような反応をし、偶々この馬の世話をしている少女が近くに居たので許可をもらって触らせてもらい、羊の所に向かえばモフモフな感触にルキアが何度もポンポンと叩いてみたり、あっちこっちと時間を忘れ楽しみ、周りを楽しませ、そして
「寝ちゃったね」
「あれだけ騒げば疲れちゃうよね~、寝顔も可愛いなぁ」
「おっと、もういい時間だ。基地に帰るならそろそろ行かないと遅くなるね」
F11の言葉にF45もあっと声を漏らす、確かにこの辺りは平和ではあるがユノ達の基地があるS地区はそうではない、ノアやゲーガー達が居るので危機に陥ることは少ないかもしれないが絶対ではない以上、明るい内に帰らなければならない。
流石に泊まるというのも難しいのでユノも名残惜しそうに思いながら、F小隊とベルリッジ指揮官に
「今日はありがとうございます、この娘達も良い刺激を受けれました」
「こちらこそ、良い休暇を取れたよ、また何かあったら遠慮なく来てくれ、歓迎するよ」
「うん、F小隊も勿論歓迎する」
「今度会う時はもう歩いてそう、楽しみに待ってるよ!」
「Study to become a teacher, do your best」
「気を付けて帰るんだよ、まぁ心配はいらないと思うけどさ」
四人の言葉にユノは勿論、ノアたちも言葉を返し、またファミリカーの前ではハイエンドモデル組が同じように別れの挨拶を行ってから、ファミリカーに乗り込み彼女たちは家路を向かうのであったが、その途中
「そろそろ、マスターさんの所に遊びに行きたいね」
「まぁ一応、アタシが置いてった通信端末には写真とか動画を送ってるけど、送れてるか分かんねぇからな」
どうやら、今度の休みの目的地は決まったようだ。
だから大人数を捌けないのに無理して出すからグダグダに成るんだよお前ぇ!!
……じゃあ俺、担当ウマ娘を三冠にする作業に向かうから